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6色インクを採用したキヤノンの複合機最上位モデル――PIXUS MP900(3/4 ページ)

キヤノンの複合機ラインアップが大幅に整理された。従来までの2機種6モデルから、3機種4モデルへと変わり、フォト環境を主眼にした新機種の「PIXUS MP900」が加わった。複合機では他社に出遅れていた感のあるキヤノンだが、巻き返しはなるだろうか。

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画質はトップクラス

 写真印刷の画質は間違いなくトップクラスだ。印刷ヘッドのスペック的に見ても、ノズル数を除けばシングルファンクション機の上位モデル(PIXUS iP7100)と肩を並べるので、当然といえば当然である。

 掲載した印刷サンプルは、付属の印刷ツール「Easy-PhotoPrint」で出力したものだ。キヤノン製品のレビューで繰り返し述べているように、このツールの自動画像補正処理は効果が強すぎる場合がある。有効で印刷した場合、MP900ではコントラストと明度が高くなり、発色が浅くなりやすい。自動画像補正処理を無効で出力すると色ノリがよくなり、より好ましい色調が得られるケースが多かった。

 色調の基本路線は記憶色重視で、鮮やかで好感を持つことはあっても、派手に感じることはない。巧みにバランスを取っており、色設計の熟成がうかがえる。粒状感もほとんど気にならないが、明暗差が激しい部分とシャドウ寄りの部分では、PIXUS iP7100やPIXUS iP8600と比べるとわずかに大きい。もっとも、肉眼で判別しやすいか、しにくいかという程度ではある。


(補正あり)

(補正なし)
Easy-PhotoPrintで、自動画像補正処理を有効と無効で出力したもの。この画像の場合、有効では中間調が明るくなり、黄色や赤の色が淡くなった。無効のほうが発色に深みがあり、第一印象がよい

(補正あり)

(補正なし)
同じく自動画像補正処理の有効と無効の違い。有効ではコントラストと明度が高くなり、どことなく尖った印象を受ける。無効だとコントラストが落ち着き、明度も素材画像に近いので自然な雰囲気だ

 スキャン画質については、反射原稿はまったく不満ない。原稿の色再現性がよく、シャドウからハイライトまで諧調もスムーズだ。ネガフィルムの発色もまずまずで、フィルム特有の粒状感をうまく消している。TWAINドライバの機能で「粒状感低減」をオンにすると、さらに滑らかな画像が得られるが、多少なりともディティールが甘くなるので使い分けたい。細部の描写にこだわる画像は、粒状感低減はオフのほうがよい。


反射原稿。地味な発色に感じるかもしれないが、原稿にはかなり忠実。

フィルム。少し青かぶりしているものの、簡単に補正できるレベル。粒状感を抑えてくれるのもありがたい。フォーカスの精度も高いが、細部に目をやると若干シャープネスが甘い

 MP900は画質と操作性に優れた複合機だ。ブラックインクが染料のわりには、普通紙への文字印刷もにじみが少ない。ペーパーハンドリングが昨年までの仕様である点と、フィルムのごみ傷対策がないのは残念だが、写真印刷とスキャン画質を重視する人におすすめだ。

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