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デジカメRAWモード撮影術〜風景写真編〜(3/3 ページ)
デジタルカメラのイメージセンサで読み取った情報をそのまま“生”の状態で直接記録するRAWモード撮影は、自然の成り行きにまかせて撮影しなければならない風景写真の分野でも、実にさまざまなメリットを与えてくれる。RAWモードによる風景写真の撮影術を紹介しよう。
RAWを活用して季節感を演出する
次に、南伊豆で撮影した桜の写真を見てほしい。この時は全天が薄い雲に覆われていたため、通常の設定で撮影すると、「PHOTO 4」のように背景の山が暗く、また、桜の花びらもやや青っぽく写ってしまう。
これでは桜の鮮やかさが物足りないので、やや暗めの部分を明るめに調整し、全体の青みを抑えて桜と背景の菜の花の彩度を強めたものが「PHOTO 5」の写真だ。ピンクと黄色の彩度を上げたことで、色鮮やかで濃厚な川津桜の色合いが再現できた。
PHOTO 5:彩度を上げて鮮やかにした写真。木の幹や背景の山などの暗部を明るくするため、Nikon Capture 4の「Digital DEE」を使用した。また、「LCHエディタ」を使って、桜のピンク色と菜の花の黄色の彩度を上げている(オリジナルはこちら)
しかし、ここでもう一つ加味したい要素がある。それは「季節感」だ。春といえば、暖かくてのどかなイメージがあるのではないだろうか。そこで、写真全体のコントラストをやや低くし、中間調が明るくなるように現像したのが「PHOTO 6」である。これによって明るくてほのかな、春らしいイメージに仕上げることができた。
PHOTO 6:コントラストを下げてやわらかい描写にした写真。ほのぼのとした春のイメージに近づけるために、トーンカーブで中間調の明度を上げている。さらに、コントラストをやや下げて、やわらかい印象の写真へと仕上げた。暖かい春のイメージが伝わるだろうか(オリジナルはこちら)
写真とは表現である。そこに撮影者の観念や意図を吹き込むことによって、初めて作品としての質が向上する。自分が思い描く表現を手にするために、筆者はRAWモードによる撮影をお勧めしたい。
Photo:萩原俊哉
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