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「4倍高速」なMacBook Pro、魅力は何倍?(2/4 ページ)

インテル版Mac miniの発売も始まり、製品ラインアップの約半分がインテルCPUに移行したアップル。現在、新生Macで唯一のノートPC製品であるMacBook Proの実力と可能性を探ってみた。

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“4倍高速”は最適化待ち!?

 動作速度についてさらに比較してみたい。3Dグラフィックスのパフォーマンスを計るクロスプラットフォームのベンチマークソフト「CINEBENCH」と、Macの定番ベンチマークソフト「Xbench」を使って、PowerBook G4(1.67GHz)とMacBook Pro(2GHz)の性能を比較してみた。また、参考としてIntel Core Solo版/Intel Core Duo版のMac miniの値も掲載している。

 テスト結果を見てもらうと、CPUの違いが単純には比較できないことがわかる。

cinema4d
Cinema 4Dを使ったCPU速度のベンチマークテスト。レンダリングではPowerBookの約3.3倍、シェーディングでは約1.9倍の性能を発揮した
hardwarerendaring
GPU性能に頼るOpenGLのハードウェアレンダリングでもATI Mobility Radeon X1600の性能が発揮され、PowerBook G4(Mobility Radeon 9700搭載)の1.5倍の性能を発揮した
xbench-1
XbenchのCPUテスト。総合評価はPowerBook G4とほとんど変わらないが、詳細を見てみると得手不得手がはっきりと分かれている。ベロシティエンジン(AltiVec)に最適化されたアプリケーションの課題は大きそうだ
xbench-2
XbenchのCPU以外のテスト結果。スレッドの処理やメモリのアクセス速度が大幅に向上しているのがわかる

 例えばPowerBookとMacBook ProのCPU性能差をとってみても、CINEBENCHでは約3.2倍とアップルの宣伝文句に近い性能差が出ているが、Xbenchのスコアはほとんど変わらない。この結果をさらに細かく見ていくと、GCD LoopやFloating Point Basic(基本浮動小数点演算)のテストでは、MacBook Proが2倍近く高速だったが、逆にvecLib FFT(PowerPC G4/PowerPC G5に搭載されているSIMD機構を使ったフーリエ演算)ではMacBook Proが半分以下のスコア、浮動小数点演算ライブラリを使ったテストでもインテルCPUへの最適化が十分ではないのか、26%だけ速いという結果に落ち着いている。

 このように実際のスピードは作業内容によって大きく変わる。また、実測値は省くがMP3やH.264での圧縮でもIntel Core Duoのパフォーマンスを存分に生かしているとは思えない結果だった。これはおそらくMac OS XやQuickTimeそのもののインテルCPU最適化が十分でないからだろう。

 ただしこれは、今後Universal Binary化されたソフトが増え、Mac OS XやQuickTimeのインテルCPU最適化が進めば、MacBook Proは今以上の性能を発揮するということの裏返しでもある。現在でもほとんどの用途に十分使える性能なのだから、「その可能性を想像する」と確かに楽しみになってくる。アップルが掲げる4〜5倍速いというテスト結果は、同じような数値演算だけを続けて行なうというかなり特殊なケースの話だが、OSやアプリケーションの最適化が進めば、実際のアプリケーションの動作速度もこれに近い比率で伸びていくはずだ。

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