地デジ+Viiv+スマートデザインは理想のAVセンターPCか──日立「Prius Deck DH75P2」:2006年春の地デジ対応モデル連続レビュー(3/3 ページ)
地デジチューナー、Viiv、Pentium D、HDMIなど、最近のPCでトレンドとなる機能をもらさず盛り込んだハイパフォーマンスなリビングルームPCが「Prius Deck」だ。今回はリビングルームへの設置を想定しながら、地デジとViivを中心にその使い勝手と機能をチェックしてみよう。
MCE2005+Viiv+HDMIで、デジタルメディアコンテンツも手軽に大画面再生
ほかのPriusシリーズにない特徴として、OSにWindows Media Center Edition 2005(MCE 2005)を採用し、インテルによるホームエンタテインメント向けプラットフォーム「Viiv」に対応、さらにHDMI端子やCPUなどViiv準拠パーツを搭載することで実現した、ハイビジョン対応のデジタルメディアコンテンツへアクセスできる機能が挙げられる。
リモコン操作だけでインターネット上のデジタルメディアサービスに接続し、まるでHDDに収められたコンテンツを再生するように手軽にコンテンツの再生が可能である。あくまでMCE 2005からアクセス可能な公式コンテンツに限定されるが、USEN「Gyao」など、アクセス可能なコンテンツは増えている。MCE 2005を投入するマイクロソフトに加えて、インテルもViivでオンラインコンテンツに本腰を入れているという昨今の流れもあり、今後はコンテンツだけでなく対応機種も増えてくると思われる。
MCE 2005の「メディアオンライン」から、オンデマンドコンテンツを視聴できる。再生できるコンテンツは10フィートUIにより、リモコンやマウスで操作できる。ブラウザを用いる場合と比較すると操作はかなり容易で、PCの操作やインターネット利用に関する知識もほとんどいらない
なお、家庭用の大型薄型テレビなどとHDMIで接続することにより、ハイビジョンコンテンツを大画面で楽しむこともできる。付属の液晶ディスプレイではPC画面・PC操作を、リビングルームのTVでハイビジョンコンテンツ視聴をというような利用ができそうだ。ただし、本機で録画したハイビジョン番組の再生はHDMI出力で行えない、少々中途半端な部分が現状ではまだ存在する。リビング設置を想定するPCとして、また新たな活用方法を積極的に提案しているモデルであると考えたい。
リビングルームによく似合う地デジ・ハイビジョンPC
これまでに上げた特徴のほか、DLNAに準拠した「DiXiM Media Server」も搭載し、ホームサーバとして機能させることもできる。LAN接続されたPCにて、同じく同梱する「DiXiM Media Client」(あるいはDLNA準拠クライアント)を使用することで本機に保存された動画、音楽、静止画といったマルチメディアコンテンツを共有できる(一般家庭での使用を想定し、DiXiM Media Clientは合計3台ぶんのライセンスが付属する)。ただし、DiXiM Media Clientでは地上デジタル放送(視聴はもちろん録画番組も含めて)を配信することはできない。
本機は、地上デジタル放送や手軽なViivの対応、そしてホームサーバにもなる、いまどきのリビングルーム設置を想定したPCとして多くのツボを抑えた機能を備えている。しかし、これら機能の連携がやや未消化である部分があるのも否めない。例えば、録画した地上デジタル放送はホームサーバ機能では配信できないし、MCE 2005からもアクセスできない。そして録画した地デジ番組の再生はHDMI出力で行えない。これは、現状のPCにおいて著作権保護が施された地上デジタル放送の取り扱いが標準化されておらず、それが原因である問題が大半を占めていることにある。もちろんこれは本機だけに限ったことではなく、PCベンダーだけでは解決できない問題も多く含むため、なかなか解決が困難でもある。
もっともこのような点を差し引いても、デュアルコアCPU採用で静音仕様、さらにスリムでデザインにも優れた格好よさは大きな購買意欲に結びつくだろう。HDDも出荷時からパフォーマンス重視のストライピング構成で出荷されるなど、地デジ対応モデルでも最上位クラスのハイパフォーマンスPCとして魅力的な部分は非常に多い。スマートでパワフル、当然地デジ対応。リビングルームに設置し、大画面テレビとも接続したい。このような近未来的な使い方を想定するユーザーであれば、一考する価値のあるPCだ。
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