電気街は戦後60年を経て“お墨付き”を得た:改めて確認する秋葉原の都市再開発計画(後編)(2/2 ページ)
行政や振興会による大規模な都市再開発計画は2008年までに完了する予定だ。駅周辺に新しい高層ビルが並び、秋葉原という街だけでなくこれまでの“アキバ”のイメージも大きく変わってきている。後編は今後の秋葉原、そして「電気街」「アニメの街」といったカラーがどのように変化していくのかを探っていく。
完成した街を、さらに育てていく新たな団体とは
2008年には、秋葉原のまちづくりを先導した協議会「Aテーブル」が解散する。しかし2006年秋より、完成した街をマネジメントするための新しいグループが結成される予定がある。
「Aテーブルのメンバーがそのまま残るわけではなく、有志だけが参加することになる」(クロスフィールドマネジメント)とのことだが、メンバーは重複する可能性は高くなりそうであると聞いている。
「秋葉原電気まつり」の開催などで知られる秋葉原電気街振興会も、Aテーブルのメンバーだ。同会によると次のチームに加入するのはまだ検討中だが、街の将来像について「家族連れが安心して楽しめる街でありつづけ、かつ今後も発展していくことを望む」と述べているように、まだ計画は終わっておらず、もう少し長いスパンでまちづくりを構想していることがうかがえる。彼らも今後の街計画にも欠かせない存在の1つであるといえる。
従来のいわゆる“アキバらしさ”を形成していた「電気街」は、行政のバックアップもあり、今後もその地位は揺るがないだろう。では「アニメ」や「萌え」といった現在の“カラー”は変わっていくのか。
東京都と千代田区は「サブカルチャーも秋葉原を形成するに重要なカラーだと考える。たとえ行政側が変えろといってももちろん変わらないだろうし、当然命令する気などもまったくない。街のありのままの姿として成長していって欲しいと思う」と、ほぼ同様のコメントを残した。
クロスフィールドマネジメントは「IT産業と萌えやサブカルは、非常に親和性が高いことは明白。アニメがこれだけ流行したのも、PCの普及と関連性が深いからだと思う」という。現にアキバのいたるところにメイドカフェがあり、中央通りにはアニメショップも多く並ぶ。「萌え」系ビジネスが、現在もアキバで元気がいいのは確かだ。
サブカルチャー関連のショップは「Aテーブル」や2006年秋結成予定の協議会・グループには入っていない。行政からのバックアップもなく、ある意味フリーの状態だ。そのため、衰勢は利用者や個々のショップの盛り上がりにかかっている。
秋葉原の電気街は1949年(昭和24年)にGHQ(連合国最高司令官総司令部)が、神田駅周辺で電機部品を売る露天商を秋葉原駅周辺のガード下に強制移動させたことが始まりだ。その後、ラジオから家電、オーディオ、ビデオ、PC、アニメと、流行の先端を取り入れながら現在に至っている。
改めて考えると、この再開発により電気街という機能と特徴が、50年以上経ってようやく行政のお墨付きを得たといえるのでないだろうか。
2008年以降の秋葉原そしてアキバの姿がどのようになっているのか。新しい秋葉原というイメージとともに、現在のアキバサブカルチャーも世代交代を繰り返しながら、ただしそれも完全に消えることなく街に色を重ねながら描かれていくのだろう。手を入れるほど魅力的になっていく絵画のように。
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