きょうはAthlon 64 FX-62の超性能に酔ってみた(1/4 ページ)
Socket AM2に対応したAMDのCPUが登場した。DDR2に対応した新しい“Rev.F”コアがもたらすパフォーマンスを早速見てみよう。
AMDは、同社のハイエンド向けGPUのAthlon 64 FXの最上位グレードとなるAthlon 64 FX-62(以下、FX-62)を発表した。このCPUは、新たに導入されたCPUソケット「Socket AM2」に対応しており、クロックも従来のAthlon 64 FX-60の2.6GHzから2.8GHzへ引き上げられている。今回はこのFX-62の性能に迫っていきたい。
「Rev.F」コアを採用したAthlon 64 FX-62
今回リリースされたFX-62に採用されているCPUコアは、これまで「Rev.F」と呼ばれてきた、若干の改良が施された新しいK8アーキテクチャのコアだ。Rev.Fの最大の特徴は、対応するDRAMが現行の「Rev.E」までサポートしていたDDR SDRAMからDDR2 SDRAMへ変更されたことだ。
AMDのK8アーキテクチャでは、メモリコントローラがCPUに統合されていたため、対応メモリを変更するにはCPUコア自体の設計を見直す必要があり、なかなかDDR SDRAMからDDR2 SDRAMへ移行することが難しかった。インテルが2004年にリリースしたチップセット「Intel 915」シリーズでDDR2 SDRAMに対応したのに比べると、実に2年遅れということになる(このあたりは、メモリコントローラをCPUに統合した負の部分とも言える)。ただ、当初DDR2 SDRAMの価格が高めでユーザーもなかなか導入しにくかった状況でもあった。DDR SDRAMとの価格差がなくなってきたのは2005年の後半あたりであるから、ある意味FX-62のDDR2 SDRAM対応はよいタイミングでの移行ということもできるだろう。
対応しているDDR2 SDRAMは、400MHz、533MHz、667MHz、800MHzで、メモリモジュールとしてはPC2-3200(DDR2-400)、PC2-4200(DDR2-533)、PC2-5300(DDR2-667)、PC2-6400(DDR2-800)をサポートすることになる。インテルのチップセットはまだDDR2-800に対応していないので、この点でインテルプラットフォームを追い越すことになる(もっともインテルも2006年第3四半期にリリースするBroadwaterことIntel 965シリーズで、DDR2-800に対応予定であるが)。
もう1つの大きな変更点は、これまで開発コードネーム「Pacifica」で呼ばれてきたAMDの仮想化技術「AMD Virtualization」(AMD-V)に対応していることだ。すでにインテルは「Intel Virtualization Technology」(VT)としてPentium 4やPentium Dなどに対応させているが、AMDもこうした機能を今後のCPUに搭載させていく計画だ。ただし、インテルのVTとは少し仕組みが異なるので、VTに対応したソフトウェアがそのまま利用できるわけではない。あくまで、AMD-Vに対応したソフトウェアが必要になる。例えば、マイクロソフトが現在βテスト中のVirtual Server 2005 R2 SP1のβ1はインテルのVTには対応しているがAMD-Vには対応していない。ただし、2006年末にリリース予定のβ2ではAMD-Vに対応することがβテスターなどに明らかにされている。このように徐々に対応ソフトウェアが増えていくことになるだろう。
Rev.E | Rev.F | |
ソケット | Socket 939 | Socket AM2 |
製造プロセス | 90nm SOI | 90nm SOI |
メモリ | DDR SDRAM | DDR2 SDRAM |
仮想化技術 | - | AMD-V |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.