連載

ノートが変わればユーザーも変わる、はず山田祥平の「こんなノートを使ってみたい」

熱狂的に好きだけど常に不満も感じてしまう。ノートPCとはそういう「機械」かもしれない。この連載は山田祥平氏がPCメーカーや電脳街に「進化するノート」を追い求めてさまよう「ロードムービー」である。

ノートPCを変えたバッテリー

 今、ぼくは、数台のノートPCを併用しているが、もっとも持ち歩くことが多いノートPCは、松下電器産業のLet's note R4だ。999グラムのこのノートは、公称で9時間バッテリーが持つことになっている。だが、経験的に1時間使うとほぼ15%のバッテリーを消費することが分かっている。

 ぼく自身の使い方では、バッテリーは劣化防止のため、80%で充電をストップするエコノミーモードに設定し、たいてい残量が10%を切ったところで使うのをやめるため、有効バッテリー容量はフルの状態からすると約70%ということになる。この状態で外出すると、とくに省電力を意識しなくても4~5時間程度は使える計算だし、実際にその通りに使えている。だから、普段は電源アダプタを持ち歩かない。それで不安になることはあっても、困ったことはない。

 昨日は、都内のホテルで、マイクロソフトによる“the 2007 Microsoft Office System Reviewers Workshop”というカンファレンスが開催された。このイベントが、途中に休みをはさみながら、13時から18時までかかる約5時間の長丁場だった。13時のオープニング直前から電源を入れっぱなしだったR4は、カンファレンスの終了直前にバッテリが9%となったので、念のために休止モードに移行させた。やっぱりバッテリー残量がわずかになったときの赤いLEDは心臓に悪い。

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 一昨日は、京都出張のために新幹線に乗った。東京から京都までの車中、前週の海外出張の間に録画したTV番組をずっと見ていたのだが、2時間20分の所要時間でバッテリの残り容量は35%になった。45%のバッテリを消費したわけで、ビデオ再生では毎時20%程度の消耗といったところだろうか。

 運用時間が長丁場になることが分かっている場合は予備のバッテリーをカバンの中に忍ばせておく。予備バッテリーの重量は310グラム。小さいペットボトルよりは軽い。昨日のカンファレンスでも持参はしていたのだが、結局、使うことはなかった。リチウムイオンバッテリーは、充電した状態で保管しておいても放電しにくいため、とくに、メインテナンスを気にする必要がないのがありがたい。きょうは長くなりそうだと思ったら、何も考えずに数十日前に充電したバッテリーをカバンに放り込むだけでいい。

 先日、別の媒体のために、インテルの新しいモバイルプラットフォーム「Napa」で設計された新機種のLet's note W4をテストしたら、さらにバッテリーの持ちがよくなっていた。1時間使っておおむね10%強しかバッテリーを消費しなかったのだ。R4のプラットフォームである「Sonoma」の30%増という感じだろうか。R5は試用していないが、ぼくの使い方では7時間くらいなら余裕で対応できそうだ。これだけ持てば、たとえば大学生が90分の授業を午前中に2時限、午後に2時限履修しても大丈夫だ。ぼくの使い方なら、困らないどころか、不安になることもあるまい。


担当編集もLet's noteを使っている。ただし、こちらはバッテリー駆動時間を重視して地味な「T」を選んでいる。出張取材ではこのようにホテルのデスクが仕事場となる

ニューコモディティ

 携帯電話なみとはいわないまでも、ノートPCのバッテリーがこれだけ保つようになれば、自ずと、そのユセージモデルにも変化が訪れる。ハードウェア、ソフトウェアの進化、パブリックネットワークなどのインフラ整備は、それを利用する側の意識に影響を与えるからだ。

 その半面、進化に人間の意識がついていけていない面もある。ノートPCの紛失や盗難による個人情報の流出が話題になることも多いが、それを回避するためには、ノートPCを外に持ち出さないのが一番といったおかしな話もまかりとおる。それでいて、門外不出のノートPCがファイル共有ソフトのウイルスに犯され情報を流出させたりもする。重要文書をPCに入れて持ち出して盗まれた場合、パワーオンパスワードに、HDDパスワード、TPMによる暗号化、指紋認証などによる鉄壁のプロテクトで、何の心配もなしというのと、紙にプリントアウトした文書を持ち歩き、それを盗まれたというのでは、どっちが責められるのか。

 そもそも、企業の態度として、PCが盗まれたときにはそれを公表しても、過去現在を含め、A4書類数枚の重要情報を紛失したことが公表されているのかどうか。これだけの頻度でPCの盗難などが届けられていることを見れば、紙の書類の紛失も、ずいぶん起こっていそうなものだが、実際のところはどうなんだろう。

 この連載では、現代、そして、ほんの少し未来のノートPCについて考えていこうと思う。ノートPCを使う側と作る側、それぞれの意識と態度、そして、それを取り巻くインフラ、さらにはセキュリティ。それに、今年はWindows Vista周辺の話題も多い。各社の戦略や物作りの方向性などを把握するために、インタビューなども織り交ぜ、業界動向まで視野にいれたネタで話を進めていくことにしよう。

 ノートPCは変わったし、もっと変わってもほしい。今、電車の中で携帯電話をいじっている人の、半分くらいの人のカバンの中にノートPCが入っているような状況がやってくるのは間違いない。そうなったときに、ノートPCが退屈なコモディティにすぎないのではつまらないではないか。


空港では(出国手続きが順調に済めば)意外と長時間待たされることが多い。いまではアクセスポイントがいたるところに設けられているので長時間駆動のノートPCがあれば「暇で暇でしょうがない」こともなくなってきた

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