無線LANを2倍に高速化、しかも簡単に――NEC「AtermWR8200N」:レビュー(3/3 ページ)
次世代無線LAN規格「IEEE802.11n」に対応した無線LANルータ「AtermWR8200N」が登場した。理論値で最大130Mbpsという高速無線LANの実力をチェックしてみよう。
本当に速い、802.11n
さて、IEEE802.11nに対応するWR8200N。もっとも気になるのはやはり無線の通信速度だ。そこで、用意したノートPC(富士通 LOOX Q)に内蔵されたIEEE802.11gと、付属の802.11n対応無線LANカードで速度を計測してみた。
今回は簡易的に通信速度を測定するため「BNRスピードテスト」( http://www.musen-lan.com/speed/ )を使い、3回試行した値を結果とした。なお、筆者の自宅の回線環境はFTTH(GyaO光)だ。
純粋にIEEE802.11nの速度を測定するならばLAN内でのデータ転送速度を測定するべきだとは思うが、筆者宅のようにFTTHが導入されている場合は無線LANの速度がネットワーク全体のボトルネックになってしまう。そこで、IEEE802.11nを導入することで、どれだけネットワーク全体の速度向上が図れるかを測定するほうが現実的だろうという判断だ。
結果は表の通りだが、802.11gでは10Mbps程度しかでていないところを、802.11nでは20Mbps以上の値を記録した。倍のスピードである。体感的にも十分な高速化を感じることができた。
(計測は11月18日午後10時30分ごろ)
まとめ
WR8200Nは、ブロードバンドルータとして十分な機能を備え、ワンボタンで接続できる簡単設定機能を搭載。無線LANにしても1ボタンでセキュリティ機能も含めて設定できる簡便さが特徴だ。しかも新たにIEEE802.11nへ対応し、無線LANが高速化されている。昔、IEEE802.11bからIEEE802.11gに変わったときのような速度の向上が見込め、動画視聴でもまったく問題のないレベルに達している。
現時点ではIEEE802.11nを内蔵して、すぐにWR8200Nに接続できるノートPCはないはずで(IEEE802.11n対応チップを搭載するMacBook Proで試してみたが、通信速度を見ると802.11gで接続しているようだった)、そうなると、高速化の恩恵を得るためには無線LANカードが必要になってしまう。
せっかくCentrinoの普及で無線LAN内蔵マシンが増えたのだから、無線LANカードが別途必要というのが少し残念だが、インテルも来年前半にはノートPC向けに「Santa Rosa」プラットフォームを投入する予定で、その後はIEEE802.11n搭載ノートPCが流通することが見込まれる。
問題は標準化作業ではあるが、このままいくと標準化完了を前に、本製品を含むドラフト1.0準拠の製品が市場に出回る状態になりそうだ。このレベルの製品ならば、標準化策定完了後もファームウェアアップデートなどで対応が可能となる可能性はあると思われるが、正確なところはまだ何ともいえない。
ただ、WR8200Nの導入によって無線LANの高速化が図れるのは間違いなく、既存のIEEE802.11b/gとの互換性も保たれている。高速化の恩恵を受けるにはカードをセットする必要こそあるが、FTTHなど高速なネットワーク環境を既に構築しており、無線LANの高速化を進めたい人にとっては検討に値する製品と言える。
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