ミドルレンジのIntel P965マザー3製品を比較する──第5回:パフォーマンスと総合評価:イマドキのイタモノ「短期集中横並びレビュー」
ボリュームゾーンの「実売価格2万円台前半」のIntel P965搭載マザーを横並びでレビューする集中連載。第5回は製品ごとに適したユーザー像を考察する。
ベンチマークで3製品に違いはでるのか
基本的なアーキテクチャがほぼ同様な3種類のマザーボードだが、実際に動作させたときのパフォーマンスに違いはあるのか、ベンチマークソフトで検証した。マザーボード以外のパーツ構成は、CPUにCore2 Duo E6700、GPUにGeForce 7600GTを搭載しているグラフィックスカードという、かなりミドルレンジクラスの組み合わせとしている。使用したベンチマークは「PCMark05」「3DMark05」「FinalFantasy XI Official Benchmark」を測定した。
チップセットが同じだけあってベンチマークの結果にはそれほど大きな差が見られない。数値の大小としてはGA-965P-DS4≧P5B-E Plus>P965 Platinumとなるが、この程度は誤差と言っていい。この違いを気にしてマザーボード選びする必要はないだろう。3製品ともマザーボードの主要コントローラチップが、Intel P965+ICH8R+JMB36xという組み合わせであるので、パフォーマンスの違いが発生する要因は、PLLの誤差などによるわずかな動作クロックの違いやメモリタイミングの設定程度しかない。このあたりの差は、BIOS設定でどうにでも調整可能なため、パフォーマンスの違いは気にする必要はないようだ。
そんなあなたにこんなマザーを
同じチップセットを搭載し、ほぼ同じ価格帯で売られている3種類のマザーボードを、5回に分けてさまざまな角度から比較してみた。概略で見てしまうとほぼ同等のスペックを持つ製品となってしまうが、細かく見ていくとそれぞれの違いがはっきりしてくる。とくに、今回比較したモデルが、ハイエンドモデルから1ランク下の価格帯の製品だったため、どの部分でコストダウンを行っているかでその製品の性格が際立つ結果となった。3製品それぞれの個性はどのようなユーザーに適しているのか。最後にその考察をまとめてみた。
オーバークロックで遊ぶならP5B-E Plus
P5B-E Plusは、上位モデルでも採用しなかったマザーボード全体の固体電解コンデンサ化を実現していることと、基板全体を冷却するStackCool2の採用が大きな特徴として挙げられる。従来、P5Bシリーズはオーバークロッカー向けマザーボードの定番シリーズであったが、さらに強化されたコンデンサによってより高クロックでもその動作に安心感を持つことができる。BIOS設定で動作クロックに関連する項目の自由度も高く、起動できなかったときに自動的に安全な範囲で再起動してくれる機能など、オーバークロックを堪能するには「使い勝手のいいマザー」といえる。
上位モデルと比べてVRMのフェース数が減っていたり、ノースブリッジの冷却がヒートパイプになっていないという部分もあるが、Core2 Duo E6300や同 E6400のようなエントリークラスのCPUをオーバークロックするのならあまり心配いらないだろう。
付属品の多さも評価したい。ドライブを多数搭載してもケーブルを別途用意する必要がない。そういう意味では、初心者向けというより、ハイエンド志向のユーザーに適したマザーボードである。
長期安定志向ならGIGABYTE GA-965P-DS4
GA-965P-DS4の最大の特徴は、ハイエンドモデルが搭載するような6フェーズのVRMと、オール固体電解コンデンサという仕様になる。また、チップセットやVRMをヒートパイプ付きのヒートシンクで冷却するクーラーユニットを搭載し、マザーボード各部の温度上昇を抑えていることにも注目したい。これらの効果によって、負荷の高いサーバシステムとして長期に安定運用したい場合なども安心できるはずだ。チップセットの冷却に専用のファンを使用せず、CPUクーラーの排気を利用する仕組みは、小型で高回転になりがちなチップセットクーラーが故障リスクをなくしてくれる。
電源回路に余裕があるため、エンコードや最新の3Dゲームなどの負荷の重い処理に耐えうるハイエンドCPUを搭載した場合にも安心だ。ただし、クアッドコアのCore2 Extreme QX6700を組み込む予定ならば、初めからクアッドコアに対応しているGA-965P-DS4 Rev.2.0を購入してもいいだろう。
コストパフォーマンスならMSI P965 Platinumできまり
予算が厳しいけれども、将来的にRAIDを利用することもありそうだからICH8Rを搭載したマザーボードが欲しいユーザーならばP965 Platinumが適している。ほかの2モデルよりマザーボード単価で4000円ほど低価格であるため、その差額でCore2 Duo E6300から同 E6400にグレードアップが可能になる。ギガビットLANやIEEE 1394など、ほかのミドルレンジマザーと比較しても機能は不足なく用意されており、追加投資の必要もない。日本語のマニュアルはわかりやすいので、「初めての自作」というユーザーでも安心して使える「一枚」といえるだろう。
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