レビュー

Vista搭載で一段と家電ライクに進化――日立「Prius One type W」Vista搭載新モデル徹底レビュー(1/2 ページ)

日立製作所の液晶一体型PC「Prius One type W」が、Windows Vista Home Premiumの採用にあわせて、ハードウェアとソフトウェアの両面で大幅なてこ入れを行った。その全容を見ていこう。

 日立製作所の「Prius」シリーズは、早くからテレパソ(TVパソコン)に特化した製品展開を行い、「家電と同じ感覚で使える」ことを追求してきた。2007年春モデルでは、かつてのフラッグシップモデル「Prius Deck」の再投入が見送られたため、ここではWindows Vista搭載モデルとしては事実上の最上位機種にあたる「Prius One type W」を取り上げる。なお、Priusシリーズの春モデル全容はこちらの記事(徹底的なコストダウンを図ってVistaモデルの普及を図る――日立製作所)を参照してほしい。

高解像度で見やすい液晶ディスプレイの採用とシステム全体のスペックアップを実現

新たに20.1インチで1680×1050ドット表示のSuper-IPS液晶を搭載したPrius One type W

 従来モデルからの大きな違いは、液晶ディスプレイを20インチワイドから20.1インチワイドへと変更しつつ、画面解像度を1360×768ドットから1680×1050ドットへと高精細化したことが挙げられる。加えて、輝度470カンデラ/平方メートル、コントラストが800:1、視野角が上下/左右178度のSuper-IPS液晶パネルの採用により、TVパソコンとして不可欠な、見やすくメリハリのある表示を実現している。実際、かなり斜めから見ても色の反転や画面の暗転はなく、複数の人が一緒にさまざまな角度から画面を見るといった、リビングのTV代わりに利用することも可能な表示品質と感じた。そのほか、OSを起動しなくてもスルー表示(録画は不可)が行えるS-Video/コンポジット端子が本体右側面に用意され、ゲーム機やAV機器などを接続して本機を外部ディスプレイとしても利用できるようになった。

 システム内部のアーキテクチャにも手が加えられた。従来のノートPC用チップセット(Intel 945GM Express)とCPUの組み合わせから、デスクトップPC用のIntel 946GZ ExpressチップセットとCPUを新たに採用することで、搭載CPUの実動作クロック向上によるパフォーマンスアップと、より安価な240ピンDIMMのメモリモジュール(前モデルはSO-DIMMだった)が装着可能になったのも見逃せない。今回は試作機のためベンチマークテストは行えなかったが、システム全体のスピードアップは確実と思われる。

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Prisu Tシリーズ液晶一体型PCのラインアップ

 ちなみに、Prius One type WはCPUにCore 2 Duo E4300(1.8GHz/FSB 800MHz)を採用し、地上デジタルTVチューナーと地上アナログTVチューナーの両方を備えた上位モデル「AW37W5T」と、Pentium 4 524(3.06GHz/FSB 533MHz)と地上デジタルTVチューナーのみを備えた下位モデル「AW35W5T」の2モデルが用意されている。外観やそのほかのスペックは共通で、メモリは1Gバイト(PC2-4200)、HDDは320Gバイト(Serial ATA)、光学ドライブはDVD±R DL対応のDVDスーパーマルチドライブという構成だ。なお、両モデルともにOSはWindows Vista Home Premiumで、オフィススイートとしてOffice Personal 2007がプリインストールずみだ。

メモリスロットは背面上部にある(写真=左)。2本のメモリスロットは出荷状態で空きがない(写真=中央)。メモリ容量は1Gバイトで、512Mバイトのメモリモジュール2枚(PC2-4200)で構成される。新設されたS-Video/コンポジットのビジオ入力端子は右側面の上部にある(写真=右)

ボディを一新するも奥行き198ミリの省スペース性は健在

 次はボディとインタフェースを見ていこう。前述のシステム一新に伴ってボディサイズは前モデルに比べ高さが39ミリ増えて460ミリとなったが、奥行きは198ミリのままで横幅は3ミリほど短くなり(503ミリ)、コンパクトな設置スペースは維持されている。ボディデザインも若干変わったほか、2007年春モデルではPriusシリーズ全モデルで銀と黒のツートーンカラーを採用することにより、シリーズとしてのデザインやイメージを統一した(Priusシリーズのデザインポリシーについては、こちらの記事を参照してほしい)。

 前面下部にDVDスーパーマルチドライブ(スロットインタイプ)のメディア挿入スロットがあり、その下に音量調節ダイヤルや輝度調節ダイヤル、USB 2.0、4ピンのIEEE1394、ヘッドフォン端子、SDメモリーカード/メモリースティックPro/xDピクチャーカード対応のメモリカードリーダといったインタフェース部を備えるが、カバーを閉じてしまえばインタフェース部は完全に隠れるので、まるで液晶TVと見まごうデザインだ。

 有線LANやB-CASカードスロット、地上デジタルチューナーのアンテナ端子、ビデオ入力端子といったコネクタはすべて右側面にまとめられ、こちらもカバーを閉じて下部のすき間にケーブルを通せば見た目がすっきりしてPCらしさを感じさせない。そのため、本機をリビングに設置した際の違和感は少ないだろう。また、本体は後ろ10度のチルト機能と左右90度ずつのスイベル機能に対応していて、微妙な角度の調整が容易なのもポイントだ。

20.1インチのワイド液晶を搭載する(写真=中央)。一見したところ液晶TVを模したようなデザインだ。主なコネクタは右側面のカバー内にまとまっており(写真=右)、左側面はすっきりとしている(写真=左)

 キーボードは2.4GHz帯を採用したワイヤレスキーボードで、10キーを備えながら横幅を狭めたタイプのものだ。キータッチは一般的なデスクトップ用キーボードと比較するとかなり浅く、A4サイズのノートPCのものに近い。キーボード上には、電源オン/オフボタンやマルチメディア操作ボタン、2つのプログラマブルボタンなどが用意され、使い勝手は良好だ。マウスは横スクロールにも対応したワイヤレスの光学式で、電池寿命が約5カ月と従来機よりも延びている。細かいところでは、本体の台座部分にキーボードを挿入できるくぼみを作り、そこにキーボードを収納しても奥行きが282ミリですむのがうれしい。

 本機をPCとして利用するには電源コードを1本つなぐだけでよく、さらに地デジアンテナと有線LANのケーブルを接続すればすぐにテレパソになる気軽さは、PCに接続された大量のケーブルが見苦しいと頭を悩ませる上級者からPCの設置に自信がない初心者まで広い層に訴えかける魅力だ。ただし、現状ではリビングルームにLANポートがある家庭はまだまだ少数派だと思われるので、有線LANだけでなく無線LANを搭載したほうがさらにケーブルを減らせて製品としての魅力に磨きがかかるだろう。

前面のカバー内にメモリカードスロットやUSB 2.0、IEEE1394端子などが用意されている(写真=左)。キーボードやマウスは無線タイプで、煩わしいケーブルに悩まされずにすむ(写真=右)
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