富士通のリビング本格進出なるか?――HDMI搭載PC「FMV-TEO」の実力を探る:大画面TVにつなぐVistaマシン(4/4 ページ)
「FMV-TEO」はTVとのHDMI接続を想定したリビングPC。“TEO”というサブブランドを冠しており、今後PCが進むべき1つの道を示す製品として力が入っている。
PCとしてのパフォーマンスも良好、手堅くまとめられたリビングPC
PCとしてのパフォーマンスについては、Windowsエクスペリエンスインデックスが3.5となったが、これはグラフィックス統合型チップセットのATI Radeon Xpress 1250を採用しているためだ。ゲーム用グラフィックスのスコアは控えめだが、前述の通り、ATI Radeon Xpress 1250は動画再生支援の機能が充実しているため、その点を評価したい。
そのほかのスコアは、CPUが4.7、HDDが5.4、Windows Aeroのグラフィックスパフォーマンスが4.0とWindows Vistaの利用には申し分ない。CPUはCore 2 Duo T5500で動作クロックこそ1.66GHzだが、処理能力は必要十分といったところだ。CPUがCore 2 Duoの「T」シリーズであることからも想像できる通り、ノートPC向けのコンポーネントも利用することで静音性にも十分配慮がされている。実際動作音は小さく、CPUの負荷が大きくなるベンチマークテストの実行中でもこれといって動作音が大きくなる傾向は見られなかったし、HDDの動作音もほとんど気にならなかった。リビングPCとしてこの点もよくできている。
ベンチマークテストの結果を見ると、さすがに3Dグラフィックスの性能は期待できないが、PCMark05のスコアは3610を記録しており、一般的なPCの用途では不満が出ることは少ないと思われる。
一方、基本スペックで気になるのは、Windowsエクスペリエンスインデックスで3.9と評価されたメモリ容量だ。TEO50U/Dは1Gバイトが標準だが、256Mバイトがグラフィックスメモリとして共用されるため、実質利用できるのは768Mバイトとなる。768Mバイトというメモリ容量は、VistaをWindows Aero有効で利用するにはギリギリのスペックで、Vistaの起動後もHDDへの頻繁なアクセスが収まるまで4~5分かかっている様子だった。もちろん起動から4~5分待たなくても使い始めることはできるのだが、動作が全体に緩慢になる。
メモリスロットは2つあるが、デュアルチャンネルサポートの関係でメモリスロットに空きはなく、後から増設するとなれば標準の512Mバイトモジュール2枚をまとめて交換することになり、かなり無駄に感じる。PCの快適な利用を重視するならば、同社直販サイトのカスタムメイドモデルで最初から2Gバイトメモリで購入することをおすすめしたい。
FMV-TEOはAVラックに収まりやすいデザインをはじめ、見た目も中身も「リビングPC」という枠組みの製品としては手堅くまとめられている。リモコンの操作を面倒に感じる部分がほとんどなかったうえ、すべての操作をリモコンに詰め込むのではなく、文字入力はワイヤレスキーボードを使うという割り切りも功を奏している。「PC」の枠を超えようとはしていないところが同社製品らしいし、それは正しい選択とも言えそうだ。富士通が公開する動作確認済みのTVを所有もしくは購入する予定で、Vista搭載のリビングPCというキーワードに魅力を感じるならば、FMV-TEOはまさにうってつけだろう。
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