“石庭”から“雫”に変身した“Santa Rosa”ノートPC――HP Pavilion Notebook PC dv6500/CT:SantaさんノートPC連続レビュー(2/2 ページ)
“禅”デザインでおなじみの「HP Pavilion Notebook PC」がモデルチェンジし、“Santa Rosa”の採用と新テクスチャーの導入を果たした。その実力のほどを見ていこう。
15.4インチの光沢ワイド液晶ディスプレイを搭載
続いて操作性のチェックに移ろう。ワイド液晶ディスプレイを搭載した幅広のボディを持つ本機だけに、キーボードは縦横19ミリと余裕のあるキーピッチを実現している。入力時に発生するカチャカチャという軽めの音は気になるが、2.5ミリのキーストロークを確保しており、長文入力もスムーズに行うことができる。
一方、キー配列はアルファベットや記号キーで不規則な並びはないものの、HomeキーやEndキー、Page Up/DownキーがEnterキーよりも右側に配置されているのはいただけない。実際に試用したところ、文章入力中にBackSpaceキーの右側に置かれたHomeキーを誤って押してしまうミスが多発し、慣れるまではストレスを感じた。加えて、タッチパッドが左右中央部分にあり、ホームポジションに手を置くとやや扱いにくいのも従来機から変わりがない。
シンプルな2ボタン式のタッチパッドは、パッドの右端に広めの上下スクロール用エリアが用意されるので、Webサイトを閲覧する際などもタッチパッドから手を離すことなくスクロール操作を行える。タッチパッドの上部には同社製ノートPCでおなじみとなるパッドの機能をオン/オフするボタンがあり、長文のビジネス文書を作成する時などにはタッチパッドをオフにすることで、意図せず操作面をタップしてしまうといった誤動作を防止できる。
キーボードの上部には独自のAVランチャー「QuickPlay」起動ボタンをはじめ、再生/停止などのメディア操作ボタン、音量調整ボタンがあり、いずれのボタンも静電式のタッチセンサーを採用するので、軽く触れるだけで扱える。また、ボタンに仕込まれた青色LEDにより、各ボタンの機能を一目で把握することが可能だ。
ちなみに、PCの電源オフ時にQuickPlayボタンに触れると、Windows Vistaが起動した後にQuickPlayが立ち上がる。標準で添付される赤外線リモコン(HPモバイルリモートコントローラ)を使って、QuickPlayなどのプレーヤーソフトを操作できるので、AVコンテンツ再生機としても快適な操作性を得られる点もうれしい。リモコンは従来モデルと同じく、右側面手前にあるExpressカードスロットに収納して紛失を防ぐことが可能だ。
液晶ディスプレイは、従来モデルと同じ1280×800ドット表示対応の15.4インチワイドサイズの光沢液晶を採用する。光沢処理のおかげで鮮やかな発色が得られる半面、低反射処理がなされているとはいえ画面への映り込みはそれなりに発生する。左右方向の視野角は若干狭く感じられたが、液晶画面と向かい合うポジションであれば問題はないだろう。画面の明るさは10段階に調節できるが、もう少し輝度が高いとDVD-Videoなどでよりメリハリある映像を楽しめたのではないかと思う。
インタフェースは左右側面と前面にバランスよく配置され、必要な端子にすぐに手が届くので扱いやすい。具体的には、左側面にSDメモリーカード/MMC/メモリースティックPRO/xDピクチャーカード対応のメモリカードスロットや2基のUSB 2.0、4ピンのIEEE1394のほか、有線LAN(100BASE-TX/10BASE-T)やFAXモデム、S-VideoとアナログRGB出力が用意される。アクセスしやすい前面にはマイクや2基のヘッドフォン、無線LANとBluetooth(Bluetooth 2.0+EDR対応)の電源スイッチが並ぶ。右側面にはDVDスーパーマルチドライブに加え、USB 2.0ポートが1基あるので、USBマウス接続時にケーブルの取り回しに悩む心配もない。ただ、左側面にあるExpantion Port 3は今回も接続デバイスが提供されず、宝の持ち腐れ状態のままなのが残念だ(海外ではドッキングステーションなどが用意される)。
上位機に迫るテストスコアを獲得
Santa Rosaの導入によって、使用中の温度上昇やファンノイズはどの程度変わったのだろうか。そこで、システムに高い負荷をかけ続けて、実際に本体各部に触れて発熱の具合を確認してみた。
使用中に肌が触れる部分の中で高い発熱を感じられたのは左パームレストとタッチパッドで、右パームレストとキーボードには顕著な発熱は見られず、比較的高い熱を持った部分でも40度を超えるところはなかった。また、騒音は高い負荷が続くとそれなりに発生するが、騒音源の排気口が背面にあり、液晶ディスプレイが防音壁の役割を果たすことから風切り音はそれほど気にならずにすんだ。ファンノイズ自体も不快な高音成分がなく、周囲が静かな深夜でも静粛性を確保できた。もっとも、底面から吸気する仕組みのためPCの設置場所には気を配りたい。
最後にベンチマークテストの結果を考察していこう。評価機のスペックはCPUがCore 2 Duo T7300(2.0GHz)、メモリがPC2-5300対応の2Gバイト(1Gバイト×2)、容量120GバイトのSerial ATA HDD(5400rpm)、そしてチップセット内蔵のグラフィックス機能という構成だ。
PCの総合性能を計測するPCMark05スコアは、「3680」と好成績を残している。詳細を見ると、グラフィックスのスコア以外は最上位モデルの「HP Pavilion Notebook PC dv9200/CT」と互角の勝負で、3Dゲーム用途を除けばデスクトップPCの代わりに使うメインノートPCとしても不足のない性能を備えているのが分かる。もちろん、Windows Aeroやフリップ3Dを快適に利用可能だ。Final Fantasy XI公式ベンチマークを使ったゲームプレイの再現テストでは、低解像度モードならば問題なくプレイでき、統合チップセット採用機としては優秀な結果だった。惜しむらくは前ページで述べたBTOの制限があることで、外付けのグラフィックスチップを選べれば、さらに高い性能を獲得できただろう。
コストパフォーマンスは良好だが今後のBTOパーツ拡充に期待
評価機は各部に性能優先のパーツを採用した仕様ゆえ、21万3780円と少々高めの価格となっている。もっとも、CPUとメモリ容量をダウングレードすれば、15万円前後の予算で購入できる構成に仕上げられるため、予算と性能のバランスを調整して購入することが可能だ。現時点では選べるパーツの選択肢が少なく本機のポテンシャルをフルに発揮できていないが、いずれの構成を選んでもコストパフォーマンスは良好なので、これからメインマシンとして使うノートPCを購入するなら、購入リストに載せてしかるべき1台と言えそうだ。
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