倍率変更がフリーになった“黒箱”で遊ぶ──Athlon 64 X2 5000+ Black Edition:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
最初のBlack Editionが登場したとき、多くのユーザーは「これが最後でしょう」と思ったが、AMDの土居“アニキ”が「これは遊べるっ」とイチオシする真打ちが登場した。
Athlon 64 X2 5000+ BEの倍率変更で遊ぶ
オーバークロックチューニングの常道ではクロック倍率を下げて、FSBを上げていきながらその限界を探ることになるが、今回は、まずFSBを定格ままでクロック倍率を上げていき、その限界を探ってみた。今回評価に用いたAthlon 64 X2 5000+ BEは、定格でFSB200MHz×13倍=2.6GHzという設定であるが、これを、「0.5」倍刻みで上げていくと、15.5倍(200MHz×15.5=3.1GHz)までは完走し、16倍(200MHz×16倍=3.2GHz)で、設定と同時に再起動する状況になった。
次に、マザーボードのFSBオーバークロック耐性をチェックするために、倍率を10倍に落としてFSBを10MHz刻みで上げていったところ、FSB250MHzまではベンチマークが完走、FSB260MHzにおいてベンチマークの途中で「固まって」しまった。その後、倍率を10倍から0.5刻みで上げながら、FSBを同様に変えていくと、12.5倍×FSB250MHz=CPUコアクロック3.125GHzでハングアップ、13倍設定でもFSB250MHz(250MHz×13=3.25GHz)でハングアップ。どうも、3.12GHz近辺にクロックの限界があるようだ。
そこで、倍率設定を15倍にした状態でFSBを200MHzから1MHz刻みで上げていったところ、FSB208MHz×15倍=3120MHzまではベンチマークは完走し、FSB209MHz×15倍=3135MHzで設定と同時にハングアップした。
FSBとクロック倍率設定だけを変更し、リテールの空冷ユニットのみという、大変簡便なオーバークロックのチューニングであったが、倍率が上方向に変更できたことで、3.12GHzまでの動作が実現できた。今回の作業では、CPUの動作クロック限界が3.12GHz付近に確認されたが、より強力なクーラーを用意し、電圧設定に手を入れるとこのラインはもう少し上にシフトする可能性が考えられる。
バリュークラスの価格でハイエンドのパフォーマンス。これぞ「オーバークロックのためのCPU」
パフォーマンス重視で、ベンチマークの値をギリギリまで上げたいユーザーには、同じBlack EditionのAthlon 64 X2 6400+が存在する。こちらの動作クロックは3.2GHzで、今回の評価作業ではそこまで達しなかったものの、ノーマル版のAthlon 64 X2 6000+の動作クロック3GHzを超える3.12GHz動作を、ごく普通のシステムでFSB設定も電圧設定も変えることなく実現できたことは、コストパフォーマンスや消費電力を重視したいユーザーには大きな意味を持つだろう。
冒頭で紹介したように、Athlon 64 X2 5000+ BEの1000個ロットにおける単価は136ドルとされている。これは、日本の実売価格として1万6000円から1万8000円程度になると思われる。ノーマル版のAthlon 64 X2 5000+と同じ価格で(ただしクーラーユニットはないけれど)、実売価格3万円前後のAthlon 64 X2 6000+に匹敵する動作クロックを発揮するAthlon 64 X2 5000+ BEは、「遊べる」だけでなく、懐にも環境にもやさしいCPUとして、Athlonプラットフォームユーザーに広く支持されるのではないだろうか。
なお、今回のオーバークロックに関する手法は、OVERCLOCK WORKに蓄積されていた情報を参考にさせていただいた。この場を借りて感謝の意を表したい。Athlon 64 X2 5000+ BEを購入して、これからオーバークロックに挑戦したいユーザーは、ぜひ、OVERCLOCK WORKSのサイトも参考にしていただきたい。
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