誰がためのデュアルGPUカード──GECUBE「GC-D26XT2-F5 Gemini 3」:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
登場したときはとっても注目されるのに意外なほどユーザーが少ないデュアルGPUカード。Gemini 3はそのジンクスを打ち破ることができるだろうか。
たしかに「2倍」のパフォーマンスを発揮するが
カードの中身を見ると、どうしても「デュアルGPU」「1枚でCrossFire」という特徴に注目しがちであるが、“現時点”においてCatalystが4GPUのCrossFireをサポートしていないため、(3D性能という視点に限っていうならば)単体利用が前提となるGemini 3の使い勝手を考えれば、単純に「実売価格4万6000円前後の2スロット厚グラフィックスカード」ということになる。同価格帯のGPUには、NVIDIAのGeForce 8800 GTS(320Mバイト)や、Radeon HD 2600 XTのグラフィックスメモリ1Gバイト版といったあたりが並ぶ。
そこで、ここでは、Gemini 3のパフォーマンスを「イマイタ」レビューで取り上げたミドルレンジGPUの測定結果と比較するとともに、同様に取り上げた同価格帯のGPUのレビューで測定した結果も並べることにした。
ミドルレンジGPUにおけるGemini 3のパフォーマンスは、3DMark06、3DMark05といったFuturmark系のベンチマークと、DOOM 3、Quake4、Farcry、F.A.E.R.といった市販ゲーム系で、その傾向が極端に変わる。これは、これまでもRadeon HD 2000シリーズではよく見られた現象だ。
Futuremark系のテストでは、すべての項目において、Gemini 3は突出したパフォーマンスを見せている。GeForce 8600 GTを軽く超えているのは当然として、デュアルGPUカードらしく、グラフィックスメモリにGDDR4を採用したRadeon HD 2600 XTに対しても、2倍とはいえないまでも、1.5~1.8倍もの性能向上を見せている(3DMark05の3DMarksや、3DMark06のPixelShaderなど一部例外はあるが)。ただし、同じ価格帯のGeForce 8800 GTSの結果には(一部のシェーダテストを除いては)、遠く及ばない。
市販ゲームのベンチマークになると、Gemini 3はデュアルGPUカードらしからぬ成績を残している。単体構成のRadeon HD 2600 XTに対しては、FarcryとF.E.A.R.において1.8倍(Farcry)、1.6倍(F.A.E.R.)とそれらしい結果を示すが、単体構成のGeForce 8600 GTにはわずかに及ばない。DOOM 3とQuake 4に至っては、単体構成のRadeon HD 2600 XTにもかなわない状況にある。さすがに、これはGemini 3のファームウェアのチューニングに問題があると思いたいが、そのあたりの事情はいまのところ不明だ。同じ価格帯のGeForce 8800 GTS(320Mバイト)に及ばないのは、Futuremark系ベンチマークと同様だ。
高い3D性能を持つマルチディスプレイ環境として活路を見出すか
単純に、4万円のミドルハイエンドグラフィックスカードと考えた場合、3D性能を重視するユーザーにとって、ベンチマークの結果がGeForce 8800 GTSに大きく離されるGemini 3を選択する理由を見出すのは難しい。ほかのグラフィックスカードにない、Gemini 3だけの特徴として、1枚のカードでDVI-Iインタフェースを4つ用意している点が挙げられる。PCI Express x16スロットを2本持つマザーボードに2枚のGemini 3を組み込めば、なんと8画面の出力が可能になる。
マルチディスプレイ環境とDirectX 10に対応した重い3Dゲームを実用的な速度で動作させたいユーザーには、実に適した製品となるだろう。ただ、そういう条件に当てはまるユーザーが、そう多くないというのも否定しがたい事実であったりする。
関連記事
マスタードギガ、GeCube製のRadeon HD 2600 XT×2搭載グラフィックスカード発売
マスタードギガは、GPUとしてRadeon HD 2600 XTを計2基搭載するPCI Expressグラフィックスカード「GC-D26XT2-F5」など計3製品を発売する。GECUBE、“デュアル”Radeon HD 2600 XTカードを出荷開始
GECUBEが8月31日に出荷を開始した「Gemini 3」は、1枚だけでCrossFireが可能になるほか、将来的には“クアッド”CrossFireにも対応する予定だ。PCパーツの殿堂「Hall 2」にどっぷりはまる
このイベントの第一報で紹介したように、PCパーツが集まるHall 2には未発表未公開の製品が多数展示されている。その続報として「Intel G35マザー」「デュアルGPUカード」などなどが登場する。ASUS「EAH2600XT D4」で“GDDR4”Radeon HD 2600 XTの実力を知る
期待の新世代RadeonのミドルレンジGPUであるが、まず登場したのはクロックを抑えたGDDR3版だった。ようやく姿を見せつつある「定格動作」2600XTでこのGPUの真価を検証する。「Radeon HD 2600 XT」を「GeForce 8600 GT」と比較する
統合型シェーダユニットを採用した新世代Radeonのミドルレンジがようやく出荷を開始する。「65ナノ」という新技術とともに、期待されるコストパフォーマンスを速報する。「Radeon HD 2900 XT」を「GeForce 8800」シリーズと比較する
Radeonシリーズで初めて統合型シェーダユニットを採用した新世代GPUはハイエンドモデルで「320個」という膨大なユニットを実装する。その新世代アーキテクチャのパフォーマンスを速報する。2万台の新世代ミドルレンジGPU「GeForce 8600GT」と「GeForce 7600GT」と比較する
“8600 GTS”は実売3万円の「高めミドルレンジ」だが、“8600 GT”は実売2万円前半の「ど真ん中ミドルレンジ」。その性能は名機“7600 GT”を圧倒できるか。新世代ミドルレンジ「GeForce 8600GTS」を「GeForce 7950GT」「GeForce 7900GS」と比較する
新世代のミドルレンジGPUは、“8800”のように画期的な違いを見せてくれるのだろうか。オーバークロック版とあわせて従来モデルとベンチマーク結果を比べてみる。MSIの新製品マザーが盛りだくさん──MSIがIntel 3シリーズマザーを多数紹介
COMPUTEX TAIPEI 2007のMSIブースを東京に再現したイベントの最後には、展示されていた新作マザーの記者説明会が行われた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.