誰がためのデュアルGPUカード──GECUBE「GC-D26XT2-F5 Gemini 3」イマドキのイタモノ(2/2 ページ)

» 2007年10月22日 11時30分 公開
[長浜和也,ITmedia]
前のページへ 1|2       

たしかに「2倍」のパフォーマンスを発揮するが

 カードの中身を見ると、どうしても「デュアルGPU」「1枚でCrossFire」という特徴に注目しがちであるが、“現時点”においてCatalystが4GPUのCrossFireをサポートしていないため、(3D性能という視点に限っていうならば)単体利用が前提となるGemini 3の使い勝手を考えれば、単純に「実売価格4万6000円前後の2スロット厚グラフィックスカード」ということになる。同価格帯のGPUには、NVIDIAのGeForce 8800 GTS(320Mバイト)や、Radeon HD 2600 XTのグラフィックスメモリ1Gバイト版といったあたりが並ぶ。

 そこで、ここでは、Gemini 3のパフォーマンスを「イマイタ」レビューで取り上げたミドルレンジGPUの測定結果と比較するとともに、同様に取り上げた同価格帯のGPUのレビューで測定した結果も並べることにした。

ベンチマークシステム環境
CPUCore 2 Extreme QX6700(動作クロック2.66GHz)
マザーボードnForce680i SLI搭載マザー
メモリDDR2-800MHz/1GB×2ch
HDDST3160023AS
OSWindows XP Professional(SP2)

3DMark06 3DMark Score
3DMark06 SM2.0 Score

3DMark06 HDR/SM3.0 Score
3DMark06 Perlin Noise (SM3.0)

3DMark05 3DMark Score
3DMark05 Pixel Shader

DOOM 3 timedemo
Quake 4 Guru3D demo

FarCry Hardware OC River
F.E.A.R. Test settings

 ミドルレンジGPUにおけるGemini 3のパフォーマンスは、3DMark06、3DMark05といったFuturmark系のベンチマークと、DOOM 3、Quake4、Farcry、F.A.E.R.といった市販ゲーム系で、その傾向が極端に変わる。これは、これまでもRadeon HD 2000シリーズではよく見られた現象だ。

 Futuremark系のテストでは、すべての項目において、Gemini 3は突出したパフォーマンスを見せている。GeForce 8600 GTを軽く超えているのは当然として、デュアルGPUカードらしく、グラフィックスメモリにGDDR4を採用したRadeon HD 2600 XTに対しても、2倍とはいえないまでも、1.5〜1.8倍もの性能向上を見せている(3DMark05の3DMarksや、3DMark06のPixelShaderなど一部例外はあるが)。ただし、同じ価格帯のGeForce 8800 GTSの結果には(一部のシェーダテストを除いては)、遠く及ばない。

 市販ゲームのベンチマークになると、Gemini 3はデュアルGPUカードらしからぬ成績を残している。単体構成のRadeon HD 2600 XTに対しては、FarcryとF.E.A.R.において1.8倍(Farcry)、1.6倍(F.A.E.R.)とそれらしい結果を示すが、単体構成のGeForce 8600 GTにはわずかに及ばない。DOOM 3とQuake 4に至っては、単体構成のRadeon HD 2600 XTにもかなわない状況にある。さすがに、これはGemini 3のファームウェアのチューニングに問題があると思いたいが、そのあたりの事情はいまのところ不明だ。同じ価格帯のGeForce 8800 GTS(320Mバイト)に及ばないのは、Futuremark系ベンチマークと同様だ。

高い3D性能を持つマルチディスプレイ環境として活路を見出すか

 単純に、4万円のミドルハイエンドグラフィックスカードと考えた場合、3D性能を重視するユーザーにとって、ベンチマークの結果がGeForce 8800 GTSに大きく離されるGemini 3を選択する理由を見出すのは難しい。ほかのグラフィックスカードにない、Gemini 3だけの特徴として、1枚のカードでDVI-Iインタフェースを4つ用意している点が挙げられる。PCI Express x16スロットを2本持つマザーボードに2枚のGemini 3を組み込めば、なんと8画面の出力が可能になる。

 マルチディスプレイ環境とDirectX 10に対応した重い3Dゲームを実用的な速度で動作させたいユーザーには、実に適した製品となるだろう。ただ、そういう条件に当てはまるユーザーが、そう多くないというのも否定しがたい事実であったりする。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー