新世代ミドルレンジ「GeForce 8600GTS」を「GeForce 7950GT」「GeForce 7900GS」と比較するイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2007年04月18日 22時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 グラフィックスカードのボリュームゾーンとなると、2万円から3万円前半にかかるミドルレンジクラスの製品になる。絶対的なパフォーマンスはハイエンドにかなわないけれど、現実的なコストパフォーマンスで心理的なハードルがそれほど高くないおかげで、多くのユーザーに購入してもらえる。NVIDIAの最新GPU「GeForce 8」シリーズのハイエンドモデル「GeForce 8800」ファミリーが2006年の11月に登場して、統合型シェーダモデルの実装など最新のアーキテクチャとパフォーマンスに多くのユーザーが注目したが、より幅広いユーザーには最新世代の「ミドルレンジGPU」が現実的な製品として待ち望まれていた。

 17日に発表された「GeForce 8600 GTS」「GeForce 8600 GT」「GeForce 8500 GT」は、その最新世代GPUのミドルレンジラインアップとなる。NVIDIAが想定しているそれぞれのストリートプライスはGeForce 8600 GTSで199〜229ドル、GeForce 8600 GTで149〜159ドル、GeForce 8500 GTで89〜129ドルとなっている。GPUの発表にあわせてグラフィックスカードベンダーや日本の代理店から国内で登場する製品が次々と発表されているが、その実売価格はGeForce 8600 GTSで2万円台後半から3万円前後に、GeForce 8600 GTで1万円台後半から2万円前後に、GeForce 8500 GTで1万円台前半にほぼ分布している。

 その価格帯から考えるに、GeForce 8600 GTSは、これまでのハイエンドラインアップの下位モデル「GeForce 7950 GT」の下位に位置して「GeForce 7900 GS」の後継となり、GeForce 8600 GTがGeForce 7600 GTの、GeForce 8500 GTはGeForce 7300ファミリーの後継とそれぞれを見ることができる(GeForce 8600 GTS搭載グラフィックスカード製品の実売価格はこちらを、GeForce 8600 GT搭載グラフィックスカード製品の実売価格はこちらを、GeForce 8600 GT搭載グラフィックスカード製品の実売価格はこちらをそれぞれ参照されたい)。

 ここでは、GeForce 8600ファミリーの上位モデル「GeForce 8600 GTS」を搭載したXFXの製品「XFX GeForce 8600GTS 256MB DDR3」(型番:PV-T84G-UDF3)を使ってそのパフォーマンスをベンチマークで測定する。なお、GeForce 8600 GTS搭載カードでは、多くのカードベンダーから「オーバークロックバージョン」が登場すると予想されている。XFXもオーバークロックバージョンとなる「GF 8600GTS 730M 256MB DDR3 XXX」(型番:PV-T84G-UDD3)を用意しているので、このカードでもパフォーマンスを測定して、定格動作のカードと比べてどの程度違いが出るのかも見てみたい。

XFXのGeForce 8600搭載カード「XFX GeForce 8600GTS 256MB DDR3」(画像左)とそのオーバークロック版「GF 8600GTS 730M 256MB DDR3 XXX」(画像右)。外見は「ほぼ」同じで見分けがつかない。型番の「XXX」とコアクロックを示す「730M」「675M」がパッケージにおける相違点となる

ForceWareで動作クロックを確認する。左が定格動作版で右がオーバークロック版になる

 定格動作版の動作速度はコアクロック675MHzにメモリクロック1GHzであるのに対し、オーバークロック版ではコアクロック730MHzにメモリクロック1.13GHzとなっている。コアクロックにおいて約8%のオーバークロックになる。

 動作クロックは異なるものの、XFXが出荷する定格動作版もオーバークロック版は、そのサイズ、外面、基板におけるチップのレイアウトなどがほとんど同じで簡単には見分けがつかない。ともに、DVI-Dインタフェースを2つ持ちHDCPに対応する。外部電源入力として6ピンのPCI Expressコネクタも1つ用意されている。外見から判断する限り、両者ともリファレンスカードと同じ1スロット厚のクーラーユニットを搭載している。搭載するメモリもGDDR3/256Mバイトだ。

 それぞれを見比べて唯一違っているのが、基板後端にあるコンデンサだ。定格動作版にはすべて同じ種類の電解コンデンサが実装されているが、オーバークロック版には1つだけ種類の異なるコンデンサが実装されている。

基板で唯一分かりやすい両者の違いが基板後端に実装されたコンデンサ。左が定格動作版で右がオーバークロック版になる

 今回測定に用いたシステム構成はCPUにCore2 Extreme QX6700(動作クロック2.66GHz)とチップセットにnForce 680i SLIを載せたマザーを組み合わせている(ただし、マザーボード側のオーバークロックに関する機能はすべて無効にした)。メモリはDDR2-800MHz/1Gバイトを2枚組み込み、OSはWindows XP SP2を導入している。比較対象用のGPUにはGeForce 7950 GTとGeForce 7900 GSをそろえた。なお、グラフィックスカードに適用するForceWareのバージョンは、GeForce 8600 GTSでNVIDIAから提供された「158.16」を、GeForce 7950 GTとGeForce7900 GSではNVIDIAのWebページでGeForce 7シリーズ用として公開されている最新バージョン「93.71」をそれぞれ用いている。

 評価用のディスプレイにはデルの30インチワイド液晶ディスプレイ「3007WFP-HC」を使っている。そのため、ベンチマークでは2560×1600ドットの解像度条件でも測定を行った。GeForce 8600 GTSがミドルレンジから安価なハイエンドまでをカバーすることを考えると、超高解像度における測定はそのコンセプトから外れるかもしれないが、あくまでも「GeForce 8600 GTSのベンチマークデータの1つ」ということで参考にしていただければと思う。また、搭載するビデオメモリが256Mバイトであるため、アンチエイリアスや異方性フィルタリングの条件を重くすると測定できない場合や、ベンチマークテストが動いても明らかに正常じゃない結果が出る場合がある。そういう値は比較データとしてグラフに含まれていない。

 測定にはベンチマーク専用ソフトの「3DMark06」「3DMark05」に市販ゲームタイトルから「DOOM 3」「Quake 4」「FarCry」「F.E.A.R.」のtimedemo、もしくはベンチマークモードを利用した。解像度は「1600×1200ドット」「1920×1200ドット」「2560×1600ドット」の3種類でアンチエイリアスと異方性フィルタリングの条件を「4Xアンチエイリアス」「異方性フィルタリング=8サンプル」と「8Xアンチエイリアス」「異方性フィルタリング=16サンプル」に変えて測定を行っている。

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