私事だが、8月にレノボ・ジャパンのノートPC「ThinkPad X13 Gen 3」のマザーボード交換を行った。
このThinkPadには「Windows 11 Pro」がプリインストールされている。多くのメーカー製Windows PCでは、OSのライセンスはマザーボードのUEFI(BIOS)に保管されている。ThinkPadも例外ではない。
……と、ここでふと思った。マザーボードを交換した場合、ライセンス認証(アクティベーション)をやり直す必要はないのだろうか、と。そこで、自分のPCにインストールされたWindowsのライセンスがどうなっているか、確認してみようと思う。
パッと見では分からないかもしれないが、Windowsには複数のライセンス(利用許諾)形態がある。具体的には、以下の形態が用意されている。
(※1)Microsoft Storeを含む一部のECサイトで販売されている、パッケージを伴わないFPPライセンス(インストールメディアはWebからイメージをダウンロードして入手:参考記事)
(※2)PCパーツ等と同時に購入する場合に限り購入できる(ライセンスは、セット購入したハードウェアに付与される
Windowsのライセンスを有効化するには「プロダクトキー」が必要となる。プロダクトキーは25文字からなり、パッケージ版であれば「プロダクトキーラベル」に、DSP版であれば「COA(Certificates of Authenticity:出所に関する証明書)ラベル」に記載されている。
一方、完成品のWindows PCには、原則として「OA3(OEM Activation 3.0)版」のライセンスが付与されている。OA3はPCメーカーがライセンスを調達する際に使われる仕組みで、プロダクトキーはUEFI(BIOS)に書き込まれている。そのため、Windows 7までのOEMライセンスとは異なり、PC本体にはCOAラベルが貼り付けられていない。
自分のPCにOA3のライセンスが書き込まれているかどうかは、UEFIセットアップの画面で確認できる(確認方法は、手持ちのPCメーカーの取扱説明書やサポートサイトを参照してほしい)。
OA3 IDを見る限り、筆者のThinkPad X13 Gen 3は交換後のマザーボードにもWindowsのライセンスが書き込まれている。この場合、Windows 10/11 Proをクリーンインストール時にプロダクトキーの入力を省略できることがある(※3)。
(※3)プロダクトキーを求められた場合は、入力画面で「プロダクトキーがありません」をクリックし、インストールする(=UEFIに書き込まれているプロダクトキーと同じ)エディションを選択してセットアップを続行する。セットアップの完了後、インターネットに接続して「ライセンス認証」を実行すると、ライセンスが有効化される(プロダクトキーとエディションが一致しない場合は、再インストールが必要)
自分のPCで稼働しているWindowsのライセンス種別は、以下の手順で調べることが可能だ(本来はOEMパートナー向けのツールで調べることが推奨されているが、ここではそれが不要な方法を紹介する)。
マザーボード交換後のThinkPad X13 Gen 3で上記を試したところ、以下のようなダイアログが表示された。
何と、ライセンスの状態が「非正規(Non-Genuine)」になってしまっている。恐らく、マザーボードの交換に伴いOA3 IDが元の(=故障した)マザーボードから変わってしまったことが原因だと思われる。
しかし、本当に“非正規”判定なのであれば、画面の右下に「Windowsのライセンス認証(Activate Windows)」というウォーターマーク表示が出るはずである。しかし、待てど暮らせど出てこない。
そこで設定画面でライセンス認証の状況を確認したところ、「Windows は、Microsoft アカウントにリンクされたデジタル ライセンスによってライセンス認証されています」と表示されていた。どうやら、マザーボード(≒OA3 ID)は変更されたものの、ハードウェア構成には全く変更がないため、そのまま使えているようである。
少し気になる所であるが、次の再セットアップのタイミングまではそのまま使おうと思う。
この記事を執筆したもう1つの動機として、最近ECサイトでよく見かける「Proライセンスをプリインストールした激安新品PC」や「激安のOSライセンス」の存在もある。
PCにWindowsを添付(=プリインストール)する場合は、FPPライセンスかOEMライセンスを使わなければならない。しかし、SNSをよく探してみると、ECサイトで販売されているPCのWindowsがVLのプロダクトキーで有効化されていたという報告が見受けられる。また、激安ライセンスのプロダクトキーを調べたら、VLだったというケースもある。
先述の通り、VLライセンスは法人に付与される。そのため、当該法人で使うPC以外にはインストールしてはいけない。当然、誰かに売る“商品”として使うことはできない。ECサイトで極端に安いWindows PCやライセンスを見つけた場合は、面倒でもパッケージ版(あるいはMicrosoft公認のデジタルライセンス版)、あるいは正規のOEM版を使っているのか調べてから購入したい。
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