ThinkPad X300に込められた“大和”魂:最強から最高へ(3/3 ページ)
IBMからレノボに変わって多くのThinkPadが登場した。「何も変わらない」とレノボはいうが「何かが違う」と思うユーザーも少なからずいた。そんなユーザーを熱くさせる新生ThinkPadが出現したのだ。
「1番薄いものを目指した」ものが受け入れられる
レノボ・ジャパン 研究・開発 デザイン部長の高橋知之氏は、ThinkPad X300のデザインコンセプトを紹介した。歴代ThinkPadのデザインコンセプトに影響を与えてきた著名な工業デザイナーでレノボのデザイン顧問でもあるリチャード・サッパー氏の作品と、「流行とは無縁」というデザインの特徴を踏まえた上で、「シンプルで端正」「流行に左右されない」といったThinkPadのデザインコンセプトを紹介した高橋氏は、ThinkPad X300では「いままで培ってきたThinkPadのデザインをキープしたまま」と述べつつも「新しいものを採り入れました」と、そのデザイン開発を説明した。
高橋氏は、ThinkPad X300のデザインにおいて「一番薄いものを目指した」と、筐体の薄型化を最も重要な目標として紹介しているが、ThinkPad X300では、液晶ディスプレイを支えるヒンジを、これまで無塗装だったシルバーから黒に塗り、質感を重視した塗装処理では天板などの外装部分とキーボードベゼルやパームレスト、液晶ディスプレイベゼルといった“内側”パネルで塗装の方法を変えるなどの変更が行われたほか、キーボードでは、消音アイコン、CapsLock、電源ボタン、そして、ThinkVantageボタンをLEDで点灯させるなどの、使い勝手を改善する工夫が新たに施されている。
ThinkPad X300は、前評判で盛り上がるThinkPadフリーク以上に、大和事業所で長年ThinkPadに携わってきた開発陣も力が入ったノートPCであることが、製品発表会の雰囲気からうかがえた。それは、製品説明会の会場に「基板、回路設計」「無線LAN」「熱設計」「キーボード」「ストレージ」「液晶パネル」「デザイン」「電力制御」「ThinkVantage」「筐体・機構設計」といった多岐にわたる細かいカテゴリー別に説明用のテーブルが用意され、開発を担当したスタッフ自らが詳しく説明していたことからも分かる。
開発者が自信をもって世に送り出し、ユーザーも期待感で熱くなる。そんな「ThinkPad」がひさびさに登場したと感じたThinkPad X300の製品説明会だった。
関連キーワード
ThinkPad | ノートPC | キーボード | レノボ | Santa Rosa | バッテリー | IBM | SSD | IEEE 802.11n | Core 2 Duo | 無線LAN | Bluetooth | 液晶パネル | Windows Vista
関連記事
大和研が誇る「ThinkPad X300」を速攻で分解した
レノボが威信をかけて投入した薄型軽量モバイルノートPC「ThinkPad X300」は、中身もスゴイのか。試作機を分解し、ボディ内部を探ってみた。薄く、軽く、そして頑丈なモバイルノート――写真で解説する「ThinkPad X300」
13.3インチワイド液晶と光学ドライブを搭載し、厚さ18.6~23.4ミリ、重量約1.42キロを実現した「ThinkPad X300」。そのボディをじっくりチェックした。大和の技術を結集した“究極のThinkPad”――「ThinkPad X300」発表会
13.3インチワイドで最軽量、最薄のモバイルノート「ThinkPad X300」は、ThinkPadの哲学を守る「ThinkPadらしいThinkPad」でありながら、Xシリーズの携帯性とTシリーズの機能を両立した。レノボ、ノートPC「ThinkPad R61」など計3モデルにPenrynコア搭載モデルを追加
レノボ・ジャパンは、同社製ノートPC「ThinkPad R61」「Lenovo 3000 V200」「Lenovo 3000 N200」の3モデルに、それぞれCore 2 Duo T8100搭載モデルを新たに追加した。ThinkPadに隠された“フクロウの羽根”の秘密
ThinkPadの冷却システムは、アイスクリームサーバやフクロウの羽根をヒントに作られている、と聞いたらあなたは驚くだろうか。ThinkPad15周年モデルの「ThinkPad X61s 15th Anniversary Edition」を発売――315台限定
レノボは、ノートPC「ThinkPad」15周年を記念したモデル「ThinkPad X61s 15th Anniversary Edition」を発表した。販売台数は315台限定。ThinkPadのキーボードが打ちやすい理由――大和のエンジニアかく語りき
文字が入力しやすいノートPCの代表格といえるThinkPad。そのキーボードとトラックポイントのデザインは、細部に至るまで考えた末での結論だった。「数値ではない」ことを重視するThinkPadの機構設計
「耐荷重100キロ超」「重さ1キロ未満」とイマドキのノートPCは数値で性能を訴求する。だが、ThinkPadで大事なのは数値でない。その真意を機構設計の第一人者が語った。“らしさ”を作るレノボのデザイン哲学
「ThinkPad」シリーズは、IBM時代から大和事業所で開発が行われている。そこで活躍するエンジニアとデザイナーがその取り組みについて説明する、ラウンドテーブルが8月24日に行われた。日本でも欲しいっ! 革をまとったThinkPad X61が国内で初披露
歴代のThinkPadを知るユーザーなら、筐体を革でくるりと巻いた「のり巻きケース」という言葉に反応するだろう。欧米で登場した「特別なThinkPad」はもっともっと本格的らしい。レノボとKDDI、WIN対応通信モジュールを搭載したThinkPad X61/X61sを発表
レノボ・ジャパンとKDDIは、CDMA 1X WINに対応したPCI Express Mini Card規格の通信モジュールを内蔵したThinkPad X61とX61sを発表した。オンラインサインアップで3Gネットワークが利用できる。レノボ・ジャパン、ThinkPad 「X61s」「T61p」「R61」「R61e」発表
レノボ・ジャパンはThinkPadの新製品「X61s」「T61p」「R61」「R61e」を発表した。2007年5月に発表された“Santa Rosa”ThinkPadの追加モデルとなる。ThinkPadの“拷問部屋”を体験してきました
IBM時代からThinkPadを生み出しきた大和事業所には、設計・開発を行う研究棟以外にも、“トーチャーテスト”という何やら恐ろしげな試験のための施設や、歴代ThinkPadを飾った展示スペースがある。覗いてきました。ThinkPad XシリーズもSanta Rosaに進化
レノボ・ジャパンは5月31日に、ThinkPad XシリーズとLenovo 3000 Vシリーズの新製品を発表した。先日登場した姉妹機同様、Santa Rosa世代のCentrinoを採用する。“Santa”なThinkPadが登場
レノボ・ジャパンは5月22日に、ThinkPad TシリーズとRシリーズ、Lenovo 3000 Nシリーズの新製品を発表した。TシリーズとNシリーズは“Santa Rosa”世代のCentrinoを採用する。ThinkPadは“黒いBento Box”である(後編)――黒くて四角いアイデンティティ
語られるようでいて実は語られていない、PC・周辺機器のデザインにフォーカスした本連載。PCメーカー編の第5回はレノボ・ジャパンの「ThinkPad」シリーズ後編をお届けする。ThinkPadは“黒いBento Box”である(前編)――ThinkPadのデザイン思想
語られるようでいて実は語られていない、PC・周辺機器のデザインにフォーカスした本連載。PCメーカー編の第4回はレノボ・ジャパンの「ThinkPad」シリーズだ。“ThinkPadの父”内藤氏が語る「ThinkPad X60 Tablet」
電磁誘導式と感圧式の両方に対応した業界初のタブレットPC「ThinkPad X60 Tablet」について、ThinkPadの生みの親でもあるレノボ・ジャパン取締役副社長の内藤氏に話を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.