レビュー

“脱”据え置き印刷機のススメ――最新A4モバイルプリンタ徹底比較(後編)その小ささはクセになる!?(3/3 ページ)

屋内外で手軽に利用できるA4対応のモバイルプリンタは、主流の複合機とは違った魅力がある。後編は最新2モデルの実力をじっくり検証した。

前のページへ |       

“小ささ”に価値を見いだせるユーザーへ

 iP100とH470のプリンタとしての性能は、現在のインクジェット複合機と照らし合わせるとミドルレンジに相当する。ボディを小さくまとめた関係で、印刷速度はミドルレンジの複合機より遅いものの、ドキュメント印刷やWeb印刷、写真印刷など、たいていのシーンで快適に使えるだろう。実際、たまに文書や写真を印刷する程度の利用頻度であれば、メインプリンタとして通用するだけの完成度を持つ。

 写真印刷に限っていえば、6色印刷を行うためにインクカートリッジの交換が必要になるH470が不利といえる。標準の4色インクで写真を印刷すると、全体的に粗さが見えやすいのだ。その点、iP100は常に4色印刷で6色印刷はサポートしないが、その精細さはH470を上回る。

 本体サイズと重量は両モデルとも似たようなものだが、カバンなどに入れて携帯利用しやすいのはiP100だ。バッテリー駆動時間については、H470のほうが長時間のバッテリー駆動が可能だったが、印刷可能枚数ではiP100より少なくなる場面もあった。これはiP100のほうが印刷が速く、駆動時間が短くても多くの枚数を印刷できたからだ。

advertisement

 では、iP100とH470のどちらがおすすめかというと、なかなか難しい。オールラウンドで評価するとiP100のほうが万人向けだが、普段はドキュメント印刷がメインで、写真印刷の頻度が低いなら、H470もまったく不満はない。SDメモリーカードスロットの搭載や、純正オプションで無線LAN環境に対応できるのもH470の利点だ。

 また、購入にあたっては、価格で悩むかもしれない。各メーカーの直販価格はiP100が2万7980円、H470は1万9950円となっており、有利な要素が多いぶんiP100は割高で、H470はコストパフォーマンスで優位に立つ。そもそも、これだけの予算があれば、複合機の上位機種が買える点も忘れてはいけないだろう。iP100とH470はいわゆる単機能プリンタなので、複合機と違ってコピー機能やスキャナ機能は持たず、CD/DVDレーベル印刷もできない。

 複合機を所有している状態で買い足す場合はいいとして、個人で使うメインプリンタとしてiP100やH470の導入を考えているのであれば、圧倒的な省スペースと豊富な機能をてんびんにかける必要がありそうだ。

 やはりiP100とH470は、モバイルプリンタならではの小型で軽量なボディとバッテリー駆動への対応といった部分に魅力を感じる人に積極的におすすめしたい。前編の冒頭でも述べたように、ビジネス用途でも個人用途でも期待に応えてくれるだろう。

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.