Microsoftが「MS-DOS 4.0」をオープンソース化 IBMの協力で:幻の「MT-DOS(β)」も公開
Microsoftが、IBM PC向けの「MS-DOS 4.0」をGitHub上で公開した。ある研究者がMicrosoftでCTOを務めた人物が持つソフトウェアコレクションについて問い合わせたことが、そのきっかけとなったという。
Microsoftは4月25日(米国太平洋夏時間)、IBM PC用OS「MS-DOS 4.0」をオープンソース化したことを発表した。GitHub上で、MITライセンス(※1)のもと公開されている。
- →MS-DOSソースコード(GitHub)
(※1)その名の通り、米国のマサチューセッツ工科大学が定めたライセンス体系で、「X11ライセンス」と呼ばれることもある。著作権と許諾の表示をきちんと行うことを条件に、用途を問わず使用/改変/複製/再頒布を認めることが特徴だ
MS-DOS(Microsoft Disk Operating System)は、1981年にIBM PC向けのOS「IBM PC DOS」としてIBMに供給された後、Microsoftからもリリースされた。Version 5.0まではMicrosoftとIBMが共同開発しており、両者に大きな差分はなかったが、それ以降のバージョンはそれぞれが独自開発するようになり、主に添付ソフトウェアの面で差分が生じるようになった。
IBM PC(とその互換機)向けDOSの一般向け最終バージョンはMS-DOSがVersion 6.2(上)、PC DOSがVersion 7.0(下)となる。本文にある通り、両者はVersion 5.0までは共同開発だったが、その次のバージョン(MS-DOS 6.0およびPC DOS 6.1)から、それぞれの独自開発に移行した。なお、IBM PC DOSはVersion 4.0をもって「IBM DOS」に改名され、独自開発への移行をきっかけに「PC DOS」に再改名(先祖帰り)している。一方、MS-DOSはWindows 95/98/Meにも搭載されているが、その辺の説明は割愛する
Microsoftは2014年3月、同社が初めてIBM以外のPCメーカーにOEM供給した「MS-DOS 1.25」と、初のメジャーバージョンアップ版である「MS-DOS 2.0」を米国のComputer History Museumを通してオープンソース公開し、同年9月にはGitHubにも公開している。
今回、共同開発パートナーであったIBMの協力のもと、MS-DOS 4.0もオープンソースとして公開されることになった。そのきっかけは、イギリス人研究者であるコナー・ハイド氏が、MicrosoftでかつてCTOを務めていたレイ・オジー氏にソフトウェアのコレクションについて問い合わせたことだという。
どんなことがあったのかはMicrosoftの告知(英語)に詳しいが、やり取りと捜索の結果、MS-DOS 4.00“そのもの”を発見し、現時点で見つかっているマルチタスキングDOS(MT-DOS)のβ版や、PDF化した文章と共にオープンソースとして公開されることになった。捜索は今も続いているとのことで、追加のバイナリや文章が見つかった場合は随時公開される予定だ。
なお、公開されているMS-DOS 4.0(とMT-DOS)は、IBM PC/XTの実機、Pentium搭載のPC、PCエミュレーター(PCem/86box)での動作を確認したという。「昔のPCってどんなだったんだろう?」と知りたい人は、ぜひ試してみてほしい。
関連記事
- なぜ今、NECPCは米国再進出を目指すのか? 薄型・軽量ではない日本クオリティーの持つ意味
NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が、米国市場に再びチャレンジすることになった。2015年のテストマーケティングとは異なり、今回はNECブランドで挑むのはなぜか。同社のデビット・ベネット社長に話を聞いた。 - ARMを載せたAndroidで“DOSゲーム”が復活する!
Androidスマートフォンといっても、CPUの動作クロックは1GHz、解像度も800×480ドットと、DOS時代の最上位PCに負けていない。でも、ARMでDOSゲームが動くのか? - 「クラウド」と「農業」、Kinect採用の「NUI」──“日本”マイクロソフトが注目・推進する技術
2月に社名を「日本マイクロソフト」に変更するマイクロソフト日本法人。設立25年で変化したビジネスモデルを振り返りつつ、同社が今後注目し、開発を推進するテクノロジを解説した。 - 「Windowsは壁のない世界をめざす」――マイクロソフト基調講演
CEATEC JAPAN 2008で行われたマイクロソフトの基調講演では、Windows Vista、Windows Mobile、Windows Liveをシームレスにつなぐ「Windows Life Without Walls」を掲げ、コンシューマー市場向けの取り組みを紹介した。 - 「ウチは大丈夫」――アキバの中古ショップがなくならないワケ
PCショップの閉店や規模縮小が続く中、老舗の「ネットサイクル」(元・超級電脳)が店舗の移転を発表。もしや……と不安がよぎったが、店長は自信に満ちた表情で「ウチは大丈夫」と語った。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.