ウィルコム「WILLCOM D4」ショートショートレビュー:本命“MID”のパフォーマンスと消費電力を試す(2/2 ページ)
これまでも「Atom搭載」ノートPCのレビューを紹介してきたが、それらはすべて“Netbook”としてのAtomノートだった。“Silverthorne”を搭載したWILLCOM D4でCentrino Atomの実力に迫る。
やっぱり気になるWILLCOM D4の消費電力
WILLCOM D4で最も気になるのがバッテリー駆動時間だ。先日公表されたスペックによると、約1.5時間とされているが実際の利用場面においてどれだけ動き続けてくれるのだろうか。その参考データとして、ここでは、電力管理設定と液晶輝度の設定を変えながら「YbInfo」で測定した消費電力の値を紹介する。
液晶ディスプレイの輝度を最大にして電力管理を“高パフォーマンス”にした設定のアイドル状態で約7245ミリワット、液晶ディスプレイ輝度を最低にして電力管理を“省電力”にした設定のアイドル状態で5713ミリワットを示している。さらに、高輝度高パフォーマンス設定でワイヤレスWANを待ち受け状態にすると、消費電力は7400ミリワットに上がり、実際に通信(Webサイトからファイルをダウンロードしている状態)を行うと消費電力は10212~10414ミリワットに達した。WILLCOM D4の標準バッテリーパックの容量が7.1ワットアワー(7.4ボルト、960ミリアンペアアワー)なので、高輝度高パフォーマンスでワイヤレスWANの待ち受け状態にある場合、1時間しないうちにバッテリーが切れることになる(記事掲載当初、測定結果表の消費電力の単位が間違っていました。おわびして訂正いたします)。
液晶輝度 | 電力管理 | WAN設定 | 消費電力(ミリワット) |
---|---|---|---|
高輝度 | 高パフォーマンス | WAN通信中 | 10212 |
高輝度 | 高パフォーマンス | WAN通信中 | 10414 |
高輝度 | 高パフォーマンス | WAN待ちうけ | 7400 |
高輝度 | 高パフォーマンス | WANOFF | 7245 |
高輝度 | バランス | WANOFF | 6371 |
中輝度 | バランス | WANOFF | 6083 |
低輝度 | バランス | WANOFF | 5742 |
低輝度 | 省電力 | WANOFF | 5713 |
パフォーマンスについては、PCMark05とFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3を用いて測定を行っている。WILLCOM D4は高パフォーマンス設定でCPUは1.33GHzで、省電力設定でも800MHzでそれぞれ駆動するが、用いた機材は量産試作機の状態なので、そのことを考慮してほかの機材で測定した結果を並べていない。
すでにレビューを掲載しているHTC Shiftの測定結果と比べると、PCMark05、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3ともに、各設定条件で前世代のCPUを搭載したHTC Shiftとほぼ同じ結果となっている(消費電力に関してもHTC Shiftとほぼ同じ結果だ)。
高パフォーマンス | 省電力 | |
---|---|---|
PCMark05 PCMarks | 766 | 548 |
PCMark05 PixelShade | 1.6 | 1.5 |
PCMark05 VideoEncoding | 85.5 | 47.1 |
PCMark05 Image Decompression | 4.8 | 2.5 |
PCMark05 HDD VirusScan | 12.1 | 9.8 |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 High | 349 | - |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 Low | 627 | - |
「Centrino Atom」を搭載したWILLCOM D4で測定したベンチマークテストの結果や測定した消費電力の結果は、その値で見る限り従来世代の小型デバイスとほぼ同じであった。では、WILLCOM D4に用意されたソフトウェアやインタフェース、そしてサイズと重さとボディ形態がユーザーにどのようなメリットをもたらしてくれるだろうか。それについては、“じっくりと”使い込んでから改めて考えてみたい。
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