ウィルコムのMIDは“世界最速で”発売──インテル「Centrino Atom」発表会
インテルが4月2日に開催した「Atom」プロセッサと「Centrino Atom」プラットフォームの発表会に、ウィルコムの喜久川政樹社長がゲストとして登場。同氏はウィルコムのMIDを「近々に紹介できる」と話した。
インテルは4月2日、モバイルインターネットデバイス(MID)やネット対応低価格デバイス向けの省電力プロセッサ「Atom」(開発コード名:Silverthorne)と、その対応チップセットなどを含む「Centrino Atom」プラットフォームの発表会を開催した。
AtomプロセッサやCentrino Atomプラットフォームの詳細はPC USERの記事に譲るが、Atomはインテルアーキテクチャ(IA)と互換性のある高い処理能力を持ちながら、非常に消費電力が低く、「ポケットに入るサイズで、PCと同等のインターネット体験ができる」(インテル 代表取締役共同社長 吉田和正氏)端末を開発できるのが特徴だ。
Centrino Atomプラットフォームでは、無線の技術については厳格な規定を設けておらず、無線LANはもちろんのこと、3G(HSDPAやHSUPA)、3.9G(LTE/Super 3G)、モバイルWiMAX、次世代PHSなどを活用し、ワイヤレスにインターネットに接続できる手軽なデバイスの登場が期待されている。サイズは「小さくていつでも身につけていられるような、ポケットにはいるくらいの大きさ」(吉田氏)がMIDの要件だという。
このAtomの発表会では、日本市場でMIDを普及させるのに欠かせない通信事業者がゲストとして登壇し、AtomプロセッサやCentrino Atomプラットフォームへの期待を話した。
インテル 代表取締役共同社長 吉田和正氏(左)と、発表会でAtomプロセッサーとCentrino Atomプラットフォームへの期待を話したウィルコムの喜久川氏、ドコモの青山氏、UQコミュニケーションズの片岡氏。
モバイルブロードバンドの新しい活用法を創出してほしい──ドコモ 青山氏
最初に登場したNTTドコモ プロダクト&サービス本部 ユビキタスサービス部長の青山幸二氏は、ユーザーのリッチコンテンツに対するニーズが高まったことを受け、2006年8月から下り最大3.6Mbpsでの高速通信が可能なHSDPAサービスをスタートし、2008年3月末で人口カバー率が約96%に達したことや、2007年10月にはPC向けの「定額データプラン」の提供を始めたこと、PCメーカーと協業してHSDPA通信モジュールを内蔵したノートPCを開発したことなどを紹介。ドコモが「安心して高速なデータ通信が使える環境を提供できるよう努力してきた」(青山氏)ことをアピールした。4月1日には、HSDPAの通信速度を一部地域で7.2Mbpsに向上させたほか、スーパー3G(LTE)などの次世代の技術も早期に実現すべく積極的に活動中だという。
MIDの登場は、「いつでもどこでも快適にインターネットが楽しめる環境が実現できるすばらしい機会」だと青山氏。MIDはモバイルブロードバンドの技術を有効に活用できるデバイスであり、「今までになかったような、新しい活用方法も創出してほしい」と新たなサービスや機器の登場に期待を示した。
Atomの性能を最大限発揮できる技術として頑張る──UQ 片岡氏
KDDIやインテル、JR東日本などが出資し、2.5GHz帯を活用してモバイルWiMAXサービスを展開する計画の事業会社、UQコミュニケーションズからは、取締役執行役員副社長の片岡浩一氏が登壇した。「WiMAXで新たなブロードバンド接続環境を築き上げたい」と話した片岡氏は、1つでも多くのデバイスにモバイルWiMAXを搭載してもらえるよう頑張っていく決意を示した。
「Atomは新たなモバイルデバイスの創出に大きな役割を果たす。MIDの発展に貢献することは間違いない」とAtomを称賛した片岡氏。同氏は、モバイルWiMAXサービスを提供するUQコミュニケーションズとしても、Atomの性能を最大限発揮できるワイヤレスブロードバンド技術として、機器への標準搭載が進むよう頑張っていきたい」と話した。
世界最速のタイミングでAtom搭載機を発売する──ウィルコム 喜久川氏
すでにAtomを搭載したシャープ製デバイスの開発を表明しているウィルコムの代表取締役社長、喜久川政樹氏は、2007年の5月ころ、インテルの吉田社長と「世界最速のタイミングでAtom搭載デバイスを発売することで合意した」というエピソードを披露した。
ウィルコムは、日本で初めて定額のワイヤレスデータ通信サービス「AIR-EDGE」(サービス開始当初はDDIポケットの「AirH"」)を提供した実績を持つ、データ通信市場では老舗の事業者だ。喜久川氏は「現在公衆無線LANサービスのアクセスポイントは1万5000くらいあるそうだが、ウィルコムはその10倍を超える16万の基地局がある。人口カバー率も99%と幅広い地域で利用できる。2009年には次世代PHSのサービスも始まる」と自信を見せた。
気になるウィルコム版のAtom搭載デバイスについては、「近々にみなさんにご紹介できると思う」と喜久川氏。「私が“近々に”というと、みなさんには“いったいいつなんだ!”としかられるかもしれないが、今回は本当に“近々”だ。次世代PHSと有線ネットワークを融合したような新サービスなども考えているので、期待してほしい」(喜久川氏)
すでにコンセプトモデルも発表されているウィルコムのAtom搭載機は、間もなく登場するようだ。
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