メーカー製地デジPCの決定版か――「HP Pavilion Desktop PC m9380jp/CT」のダブル地デジモデルを検証する:タワーの魅力(2/2 ページ)
高い処理能力と拡張性を備えた日本ヒューレット・パッカードのタワー型PC「HP Pavilion Desktop PC m9380jp/CT」には、ダブル地デジチューナーを搭載したモデルが存在する。その使い勝手をチェックしてみた。
ダビング10対応、DVDメディアへのダビングに加え、HDD内でのダウンコンバートもサポート
同社の場合、ワールドワイドで販売する製品が基本となることもあって、地デジ対応PCに関しては対応そのものに加えて光学メディアへのダビング対応が遅れ気味だったが、本機ではDVDメディアへのダビングに対応し、ダビング10もサポートしている。なお、現時点では「ダブル地デジモデル」で書込み対応のBDドライブを選ぶことはできず(BD読込+DVDスーパーマルチは選択可能)、カタログスペックでもBDへのダビングはサポートしていない。この点は少々残念だ。
ダビングはDVD-RWとDVD-RAMのCPRM対応メディアをサポート。DVD-RWへのダビングは常にファイナライズを行う仕様だが、追記時に自動でファイナライズを解除するようで、追加でのダビングも問題なく行えた。ダビング時には必ずソフトウェアでのダウンコンバートをともなうが、クアッドコアCPUのおかげか実時間を超えることはなかった。
おもしろいのはHDD内でのダウンコンバート機能を備える点だ。ダビングではなく変換となるので、変換後にはオリジナルのハイビジョン映像は失われてしまうが、SD解像度でよいので手軽に再生できるようにHDD内に保存しておきたいという場合には重宝するだろう。放送側もコンテンツのハイビジョン対応はかなり進んでいるが、ワイド画面での放送であってもハイビジョン制作ではない番組もまだまだ多く、SD解像度で十分という場合も多いはずだ。
ハイコストパフォーマンスでダブル地デジという、意外と少ない選択肢
本機の魅力はやはりベースがハイパフォーマンスで拡張性にも優れ、さらにコストパフォーマンスも高いタワー型PCであることだろう。メーカー製の地デジPCは液晶一体型が多く、省スペースではあるが3D描画性能や拡張性に関してはあまり考慮されていない場合が多い。例外としてソニーのVAIO type Rが挙げられるものの、こちらは高度なビデオ編集を意識したコンセプトという事情もあり、単純にPCとしての高いパフォーマンスや拡張性、そして地デジ機能を求めるユーザーにとっては割高感を否定できない。
本文内でも触れたが、ダブルチューナー仕様の地デジチューナーはベースモデルに対しておおむね+2万円程度となっており、もともとの高コストパフォーマンスがそのまま生きる。「ダブル地デジモデル」は標準構成で12万3900円だが、この価格でクアッドコアのCore 2 Quad 6600をはじめ、2Gバイトメモリ、GeForce 9800 GT搭載グラフィックスカード、DVDスーパーマルチドライブを搭載しており、日常的なPC利用はもちろん、最新の3Dゲームを楽しんだり動画エンコードなどに利用する場合でも十分に高いパフォーマンスを備える。
HDDが標準では160Gバイトと地デジ録画には不満が出そうなので、これを500Gバイト×2のRAID 0構成(合計1Tバイト)に変更しても13万7550円だ。BTOでのアップグレードもリーズナブルで、例えば仕様機と同じCore 2 Quad Q9450へのアップグレードも+9450円で済む。好みの応じて仕様を変更しても割高に感じないのは同社の魅力の1つだ。
本機はハイパーフォーマンスでリーズナブル、高い拡張性と静音性など、ベースモデルの魅力を損なうことなく地デジ対応を果たしており、さらにダブル地デジチューナーを搭載している。メーカー製地デジPCが欲しい人にとって、貴重な選択肢の1つであることは間違いない。
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