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潜入調査!── 中国のちょい“裏”PC市場山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)

北京や上海を訪れた日本人は、ショッピングモールを見て「おや、意外と最先端」と驚く。しかし、この記事を読めば「別な意味」で驚くことになるだろう。

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タワー型全盛の中国安物“中古”PC市場

 中古市場では、上記の家電製品に加え、中古PCがデスクトップPCとノートPCを問わず多数売られている。

 中古デスクトップPCはショップブランドのタワーPCだったものが主流で、Willamette(Pentium 4の第1世代)以前、新しくてもPrescott(Pentium 4の第3世代)といったCPUが当たり前のように搭載されている。自作PCが盛んな中国ではパーツをアップグレードしながら長く使うのが普通になっている。そのため、中古PC市場では取り外された「数世代前のPCパーツ」も大量に流通している。

 一方、ノートPCは、数年前まで「秋葉原に陳列されていました」と思わしき、同じ型番の日本語キーボード搭載ノートPCがよくあったが、最近は英語キーボードを搭載したノートPCが多くなってきている。どの中古PC市場でも、デルやHP、COMPAQといった外国ブランドが主流だ。

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中古PCを扱う専門店(写真=左)。ショップブランドのミドルタワーPCにCRTディスプレイを組み合わせた中古PCが並ぶ。PCのシステム構成とその価格(写真=中央)。これが2008年に中国で流通している一般的なPCの構成ともいえるのだ。一時期より減ってはきたものの、ノートPCには日本語キーボードが搭載されているものも依然として少なからずある(写真=右)

 農村部では、地域の中核となる町でもPCの普及率が低いため、中古PC市場というものが存在しない(中古家電市場もほとんど見かけない)。そのため、PCを安く買おうとしても、地元のPCショップが販売するショップブランドしか選べない状況にある。そうした意味では、農村部で家電やPCを購入するのは、都市部より選択肢が少なく、価格的ハードルが高いといえる。

安物市場ではファミコン“もどき”も現役なら(写真=左)、EVDのパクリ製品も現役だ(写真=中央)。携帯電話もジャンクな雰囲気で販売している(写真=右)

 なお、中国メーカーが開発したRISC CPU搭載の安価なPCが複数の会社からリリースされているが、広大な中国の農村に店舗を展開できないためか、企業のWebページかショッピングサイトなどのオンラインで購入するしか方法はなく、農村部の人々には別の意味で手の届かない存在となっている。

 中国でも表だって紹介されない、知る人ぞ知る、そうした庶民密着型の市場。明日の生活にも困りそうな人々が集まってくるところでもあるため、治安はあまりよろしくなく、明らかに外国人と分かる服装では、規模の大小はあれ事件に巻き込まれる危険性は否定できない。この警告を無視してでも行ってみたいなら、それ相応の覚悟と「オーラ」を出して行くべし。

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