新しい17インチMacBook Proのどこがすごいのか:新MacBook Pro担当者が語る(2/2 ページ)
Macworld Expoの基調講演で発表された新しい17インチMacBook Pro。その詳細について、アップル プロダクトマーケティング ハードウェア担当シニアディレクターのトッド・ベンジャミン氏に聞いた。
長時間バッテリーの秘密に迫る
――17インチMacBook Proの顧客層について、もう少し詳しく教えてください
ベンジャミン 先ほど挙げたクリエイティブプロというのは、特にPhotoshtopやAperture、Final Cut Proといったハイパフォーマンスアプリケーションを使って、撮影現場からスタジオといった具合に、事務所外での仕事が多いクリエイティブプロの方々です。この17インチMacBook Proを使えば、スタジオにこもっているときでも、オフィスのデスクに座っているときと同様のクリエイティビティを発揮することが可能です。
もちろん、ただ大きいディスプレイが欲しいという人も大勢買っていますし、ゲーム好きの人にも人気があります。
――新製品のバッテリーは技術的に見て、従来製品とどのように違うのでしょう?
ベンジャミン まず、大きな違いはリチウムポリマー電池になっていることです。これは今日の携帯電話で使われているのと同じ技術です。一方、ほとんどのノートPCはリチウムイオン電池を使っています。
我々がリチウムポリマーを好むのは、これが大きさの点でも形状の点でも柔軟性があるからです。このバッテリーを採用したことで、我々は筐体の形状やサイズにあわせてバッテリーを作ることが可能なわけです。我々はこのリチウムポリマー電池を、プラスチック筐体のMacBook(旧MacBook)から17インチMacBook Pro、そしてMacBook Airにいたるまで、すべてのノート型製品で採用しています。
2つめの違いはこのバッテリーの活用方法で、我々はバッテリーの利用状況や充電状態を細かく計測し、バッテリーの利用時間が最大になるように調整する技術を持っていることです。同技術では、バッテリーの温度や充電具合、システムにかかっている負荷といったものを常に監視しています。そして、これらの諸条件にあわせてバッテリー充電の電圧を細かく調整しているのです。我々はバッテリーの化学を理解し、細かな微調整を繰り返すことによって、バッテリー動作時間を飛躍的に向上させられることが分かっています。
このように、我々はほかのノートPCメーカーのように、既成のバッテリーを買ってきて搭載するのではなく、バッテリーそのものの開発や製造にも非常に深く関わっています。
――でも、バッテリー交換ができないという点は、ユーザーの理解が得にくい部分かもしれませんね
ベンジャミン ええ、でも実際に注意深く見てもらうと、今日の多くの17インチノートPCは、そのボディの大きさを十分には生かせていません。長時間のバッテリー動作をうたっているものもありますが、その大半は別売の長時間バッテリーを使うことが前提になっていて、この長時間バッテリーというものは、たいていの場合、本体からハミ出た、不格好なデザインで、持ち運びに向かないものであることが多いでしょう。そうしたことから考えると、我々が今回実現した方法は、必ずしも悪い提案ではないと思っています。ちなみにMacBook Airも同様にバッテリー交換のできない筐体を採用していますが、実際に購入したユーザーからはそれほど不満があがっていません。
――実際に、これまでのMacBookシリーズ用のオプションバッテリーは、売れていたのでしょうか?
ベンジャミン 実はそれほど売れていません。インターネットなどを見ると、オプションバッテリーの話をよく見かけるので、大勢の人が買っているような印象を持つかもしれませんが、我々は実際に商品を売っている側なので分かっています。そんなに大した数が出ているわけではありません。
また、ユーザーアンケートを通して、どれくらいの頻度でバッテリーの交換を行っているかを聞いてもいるのですが、実はほとんどの人は、まったくといっていいほどバッテリーの交換を行っていません。
アップルが目指す「no disc」の生態系
――フルHD対応の17インチMacBook Proですが、Blu-rayドライブを採用しなかったのはどうしてですか?
ベンジャミン 我々はiTunes Storeというコンテンツ販売サービスを営んでおり、非常に多彩なコンテンツの提供を行っています。アップルはこのiTunesを使って、すべてのノートPC、それどころかすべてのMac、すべてのPC、そしてすべてのiPodやiPhoneといったものにコンテンツを提供していけることを目指しています。どれか特定の機種だけで見ることができるコンテンツよりは、そちらのほうが重要だと考えています。
確かにBlu-rayは技術としてはおもしろいと思いますが、iTunes Storeのほうが、Macにコンテンツを提供する手段としてよりふさわしく、アップルの生態系の中にもピタリとハマると思っています。
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