ドイツでもASRockはTAIPEIだった:CeBIT 2009
なんとなく“お上品”な雰囲気に満ちているCeBIT 2009の会場で、「あの」ASRockブースを発見。“TAIPEI”がよく似合う彼らは、CeBITでも変わることはなかった。
3月3日から始まっているCeBIT 2009は、ドイツという場所柄か、“Green”を意識したディスプレイや演出が多いためか、“Finance”なんていう、普段接触することのない業界が参加しているせいか、どことなく、「お上品」な雰囲気に満ち満ちている。雰囲気という意味では、「ねっとりとした6月の台北市で行われるCOMPUTEX TAIPEIとCeBITって対極にあるね」というのが、ようやくCeBITデビューを果たしたPC USERの正直な感想だったりする。
ねっとりとした台北市で行われるCOPMPUTEX TAIPEIは、いたるところから怪しい妖気がわいてきて、それに似合うベンダーがブースを構えて来場者を待ち受けていたりする。そういう雰囲気がよく似合うベンダーの1つに、“特定の集団”にはいつも注目されている「ASRock」がある。そのASRockがCeBITでブースを構えていた。ASRockブースの展示内容は、Netbook、Nettop全盛のHall 21の中でも「わが道を行く」マザーボードが主流だ。
公開ブースでは、Intel X58 Expressを搭載したハイエンドマザーボードの「X58 SuperComputer」に3枚のGeForce GTX 280と1枚のQuadro FX 5800という、“2スロット厚のグラフィックスカード4連差し”で来場者を威圧する。ASRockのスタッフの説明によると、グラフィックスカードを差すスロットのうち最もノースブリッジに近い第1スロットを競合他社のX58マザーボードよりもCPU寄りに設置することで、4つのPCI Express x16スロットに2スロット厚のハイエンドグラフィックスカードを無理なく差すことが可能になったという。
長辺のグラフィックスカードを差すことを想定して、通常のレイアウトではグラフィックスカードが干渉してアクセスできなくなるUSB 2.0やIEEE 1394のヘッダピン、インジケータや電源スイッチ用のコネクタピンをメモリスロットの外側に移すなど、ハイエンドユーザーの使い勝手も考えた工夫を施している。サウンドコーデックのコントローラチップにはALC890Bを採用してS/N比110dB、DSS対応といった、イマドキのハイエンドマザーボードと比較しても高いスペックを実現しているのも特徴だ。
ASRockでは、X58 SuperComputerのエントリーモデルとして「X58 Deluxe」も2月後半から出荷を始めている。こちらは、サウスブリッジのヒートシンク形状がやや小さくなり、サウンドコーデックチップが「ALC890」となってDSSをサポートしていないなど、一部の機能が下げられているものの、2スロット厚グラフィックスカードの4本差しや、コネクタヘッダピンのレイアウト、そして、システム負荷に合わせてリアルタイムで変更する8フェーズ電源回路など、主要なスペックはほぼ変わらない。
X58 Supercomputerはすでに出荷されていて、日本の実売価格は3万2000円程度だ。ASRockスタッフの説明では、X58 Supercomputerの実売価格は295ドルを想定しており、X58 Deluxeは250ドル程度を考えているとしている。
このように、公開ブースだけでも濃厚なASRockだが、奥まったミーティングルームでは、さらにディープな実働デモを見ることができる。ASRockは、今から3年ほど前に「nForceマザーでCrossFireを動かします」というデモを秋葉原のPCパーツショップで行ったことがある。プラットフォームに依存することなく、自分が使いたいマルチGPUを構成できるので、ユーザーからすれば非常に都合のいい機能だが、その後、大きな流れとはなっていない(チートドライバなどの地下に潜った活動はあれど)。
実は、以前に某大手直販PCベンダーのデスクトップPCで「nForceマザーなのにCrossFire構成が選択できる」というBTOが用意されたときがあって、PC USERでも動作の確認をして見たが、BIOSとドライバのアップデートによって、CatalystでCrossFireが有効にできなくなっていた。
この状況は今でもそのままと思われていたが、ASRockでは、自分たちでマザーボードのBIOSに機能を追加することで、AMDが公開しているCatalystをそのまま導入すれば、nForceマザーでもCrossFireを有効にできるようにしたと説明している。
CeBITのASRockブースの奥まったミーティングルームでは、N7AD-SLIに2枚のRadeon HD 4850を組み込んだ状態でCatalyst 9.2のコントロールパネルでCrossFireが有効になっている状態を確認できたり、3DMark Vantageでベンチマークテストを実際に動かすことができたりする。
ASRockの測定では、Core 2 Duo E8300、DDR2メモリ2Gバイト、Radeon HD 4850、Catalyst 9.2 Windows Vista (SP1)の構成で、単体構成から2枚構成の結果が35.7%向上するの確認されている。その場で、3DMark VantageをプリセットのExtremeモードで走らせたところ、結果はX5462となった。
今のところ、CeBIT 2009に合わせて発表されたN7AD-SLIだけがこの機能をサポートしてるが、ASRockの計画では、今後BIOSのアップデートですべてのnForceマザーで、NVIDIA SLIもCrossFireも使えるようにする予定だ。
関連キーワード
CeBIT | マザーボード | CrossFire | グラフィックスカード | 自作 | Intel X58 Express | Radeon | SLI | GeForce
関連記事
【特集】CeBIT 2009
2009年に登場すると予想される、最新パーツと台湾ベンダーの実力をハノーバーの会場でチェックする。MSIの「Air Force」で遊ぶ
スリムノートにおしゃれな液晶一体型。“新しいMSI”を感じさせるCeBITの展示ブースだが、やっぱりそこはMSI、興味深いPCパーツも見つけてしまうであった。MSIが事前公開で見せた「ポストNetbook」の時代
CeBITの正式開幕は3月3日だが、前日の3月2日から報道向けの展示ブース事前公開やスピーチセッションなどが、いくつかのベンダーで行われている。南港展示館と世界貿易中心を右往左往して見つけたパーツたち
COMPUTEX TAIPEI 2008があったのは、もはや先週のこと。WWDCやHPのイベントが始まってしまったが、Tapeiで見かけたPCパーツを紹介しておきたい。やっぱり「ASRock」なIntel X48マザー── 「X48Turbo Twins-WiFi」で遊ぶ
ASRockと聞くと、「勝手に高クロックFSB」「勝手にCrossFire対応」といった、過激なスペックマザーという印象が強い。そんな、彼らのハイエンドモデルで機能と使い勝手を試してみた。Hall 1とHall 4で“エッジ”なパーツに遭遇する
PCパーツが集まるHall 2以外にもパーツベンダーはブースを構える。“搦め手”を得意とするユニークな彼らのブースを見てみよう。CeBIT 2009、会場手前160キロ“前前日”リポート
CeBIT 2009で次世代Netbookに出会うため、ドイツにやってきたPC USER。ハノーバーは、はるかかなたにあって遠い。「DやHに負ける気がしねえ」というセリフが似合う“ドイツ”のMSI
日本にいると見えないことがたくさんある。それは、現場で調べないと気がつかない。“デルやHPを超える”MSIのステータスもドイツに行かないと分からないのだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.