ASUS「M4A88TD-V EVO/USB3」で“AMD 880G”を試す:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
AMD 880Gは、エントリークラスのマザーボードを想定した新世代チップセットだ。動作クロックが上がった統合グラフィックスをメインにその“戦力”を探る。
3D性能は定格でも向上。性能重視ならOC版が吉
AMD 880Gの実力、というよりM4A88TD-V EVO/USB3の性能を評価するため、同じASUSのAMD 785Gマザーボード「M4A785TD-V EVO」とベンチマークテストの結果を比べてみた。両製品ともTDP140ワットのCPUまで対応しているが、AMD 880Gマザーボードを購入するユーザーの多くはTDP125ワットクラスのCPUを選択すると思われるので、評価用システムのCPUはPhenom II X4 965 Black Editionを用意した。メモリはDDR3-1333を2Gバイト×2、そのほかのシステム構成はこれまでの“イマイタ”レビューとほぼそろえている。
グラフで示したように、各ベンチマークテストのスコアはAMD 880G オーバークロック設定>AMD 880G標準設定>AMD 785Gという序列でほぼ等間隔に並ぶ。AMD 785GとAMD 880G オーバークロック設定のグラフィックスコア動作クロックの中間値は600MHz前後で、Radeon HD 4250で定格設定の560MHzよりやや上になるが、グラフィックスコアに内蔵されたシェーダユニットの数が同じであることもあって、グラフィックスコア動作クロックの違いが結果にそのまま表れたといえるだろう。
3DMark06ではAMD 880G オーバークロック設定が標準解像度の1280×768ドット条件で3DMarksが2000台になった。AMD 880Gの定格設定でも2000台が目前と、AMD 785Gから3D性能は確実に上昇している。3DMark Vantageも統合グラフィックスコアのスコアながら同様の傾向が確認できた。
市販のゲームを用いたベンチマークテストでは、「Far Cry 2」のDirectX 9モードとDirectX 10モード、「The Last Remnant」、「Street Fighter」を試したが、統合型グラフィックスコアということもあって快適といえるフレームレートは出ていない。いずれのゲームも、低解像度、かつ、低画質、もしくは標準画質でやっと30fpsをクリアできる。Radeon HD 4250はDirectX 10.1に対応しているが、Far Cry 2の結果を見る限り、DirectX 10モードでゲームをできる状況ではない。
ただ、低解像度ならば、これらのFPSゲームでも30fpsを超える。30fps程度のフレームレートでもなんとか快適に遊べるカテゴリー、例えば、FPSではなくストラテジーシミュレーションやドライブシミュレータ、ロールプレイングといったゲームであれば、設定次第で最新のタイトルでも楽しめるのではないだろうか。
消費電力に関しては、グラフィックスコアのプロセスルールが55ナノメートルと変わらず、動作クロックは上昇しているのだから、AMD 880Gの消費電力が上昇して(最大TDPは18ワット)、システムの消費電力もそれなりに増えていると考えていたが、マザーボードの仕様が異なるためチップセットの消費電力の差異は求められないものの、AMD 880Gマザーボードを組み込んだシステムはAMD 785Gマザーボードと組み込んだシステムより低消費電力である結果となった。
AMD 890GXとAMD 790GXの比較でも述べているが(チップセットでSATA 6Gbpsをついにサポート! AMDの「AMD 890GX」をぐりぐり試すを参照のこと)、AMD 880GとAMD 785Gのアップデートも、サウスブリッジに実装された機能の更新がメインと評価する意見が多い。確かに、サウスブリッジにSB850が組み込まれたマザーボードなら、Serial ATA 6Gbpsが利用できることは高く評価できる。
ただ、グラフィックスコアの動作クロックが標準設定で60MHz、今回紹介したASUSのM4A88TD-V EVO/USB3のようなオーバークロック設定では200MHzもアップしていることで、3D描画性能も明らかに向上している(最新のFPSゲームが快適に動作するレベルではないが)。AMD 785Gマザーボードのユーザーにとって買い換えの候補と十分なり得るといえるだろう。
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