レノボのデスクトップPC「Lenovo H320」で“Core i3”を見直す(3/3 ページ)
国内の大手PCメーカーでは数が少なくなりつつあるセパレート型デスクトップPC。その領域に積極的に取り組むレノボのバリューモデルで“意外な実力”をチェックした。
Core i3-540の意外な実力を知る
ベンチマークテストの結果 | Lenovo H320 | |
---|---|---|
PCMark Vantage Build 1.0.2.0 | PCMarks | 6185 |
memories | 4037 | |
TV and Movies | 4207 | |
Gaming | 5141 | |
Music | 7002 | |
Communications | 6315 | |
Productivity | 6076 | |
HDD | 4642 | |
PCMark 05 Build 1.2.0 | CPU | 7642 |
Memory | 6608 | |
Graphics | 4429 | |
3DMark 06 Build 1.0.2 | 1280×768ドット、nonAA、nonAniso | 2954 |
CINEBENCH R10 | Rendering(Single) | 3475 |
Rendering(Multiple) | 8722 | |
CINEBENCH R11.5 | CPU | 2.52 |
CrystalDiskMark3.0 | read Seq | 137.4 |
Read 512 | 45.85 | |
Read 4 | 0.557 | |
Read 4KQD32 | 0.693 | |
Write Seq | 133.2 | |
Write 512 | 65.52 | |
Write 4 | 1.335 | |
Write 4KQD32 | 1.369 | |
3DMarkVantage | Professional | 1125 |
Professional:GPU | 871 | |
Professional:CPU | 8929 | |
Entry | 5893 | |
Entry:GPU | 5309 | |
Entry:CPU | 8796 | |
StreetFighterIV | Score | 8651 |
AVERAGE | 44.36 | |
The Last Lemnant | 25.6 | |
FINAL FANTASY XI Offical Benchmark 3 | LOW | 8026 |
High | 6293 |
レノボのデスクトップPCラインアップでバリュークラスとなるLenovo H320だが、先ほども説明したように、下位モデルが搭載するCore i3-540でも動作クロックは上位ラインアップのIdeaCentre K320が搭載するCPUより高い。そして、3次キャッシュメモリを気にしなければ、同時処理スレッド数やサポートする機能も変わらない(かえって、AES-NIのサポートなど、上回る部分もある)。
バリュークラス向けのClarkdaleという印象の強いCore i3シリーズだが、その性能は意外と高いように思える。そこで、PCレビューで定番のベンチマークテストを中心に性能を測定した。システム構成が異なるため参考記録となるが、CPUのレビューで測定したLynnfiled世代のCore i5とも結果値を比べてみたい(Lynnfield世代のCore i7-870とCore i5-750のベンチマークテストの詳細は「Nehalemの機能をメインストリームで──Core i7-870とCore i5-750の“突発”性能を楽しむ」を参照のこと)。
測定したベンチマークテストは、システムの性能評価としてPCMark VantageにPCMark05、マルチスレッド処理性能に特化した性能評価としてCINEBENCH R11.5とCINEBENCH R10.5、そして、グラフィックス関連のテストとしては、3DMark Vantage(Entry設定とProfessional設定)、3DMark06(標準設定条件)、さらに、ゲームタイトルを使ったベンチマークテストには、「FINAL FANTASY XI Offical Benchmark 3」、「The Last Lemnant Benchmark」、「ストリートファイター IVベンチマークテスト」を行っている。
PCMark Vantageの総合スコア「PCMarks」の結果は6185で、これは、Core i5-750の結果(Turbo Boost Technology有効時で5541)を上回り、Core i7-870でTurbo Boost Technologyをオフにした状態で測定した結果(5847)をも上回る。Core i7-870でTurbo Boost Technologyをオンにした状態でも結果は6396と、その差は200ポイントと1%に満たない。
LynnfieldでサポートしないAES-NIが影響するCommunicationsになると、Core i7-870の結果(Turbo Boost Technology有効時で5773)も大幅に超える6315を出している。ただし、PCMark05のCPUテストでは、物理コアの数が大きく影響するため、クアッドコアのCore i5-750のTurbo Boost Technology無効時の結果である8426にも届かない。
この傾向はCINEBENCH R10.5でも確認できる。動作クロックが影響するSingle Renderingでは、Turbo Boost Technologyを有効にしたCore i5-750(3451)とTurbo Boost Technologyを無効にしたCore i7-870(3145)を上回り、Turbo Boost Technologyを有効にしたCore i7-870(3843)に迫る結果を出すが、Multiple Renderingでは、Turbo Boost Technologyを無効にしたCore i5-750の結果(10665)にも遠く及ばない
意外な実力で高いコストパフォーマンスを発揮する「Lenovo H320」
以上、Core i3-540を中心にLenovo H320の性能を検証してみたように、条件次第でその実力は、上位ラインアップのIdeaCentre K320に採用されるCore i7-870やCore i5-750に匹敵する。シングルスレッド対応のオフィスアプリケーションやゲーム、一部のトランスコードアプリケーションなど、ユーザーの利用場面によっては、非常に高いコストパフォーマンスを発揮できる。また、グラフィックスもGeForce 310を採用することで、CPUに統合されたIntel HD Graphicsを上回る性能と機能(Intel HD Graphicsのドライバではまだ十分に対応していないDirectX 10.1やCUDAによるGPUコンピューティング)を利用できる。
スリムタワータイプのケースということで、拡張性やボディ内部のメンテナンス性は制約されるものの、標準構成で十分というユーザーや、エンコードなどのマルチスレッドが影響するアプリケーションのウエイトが高くないユーザーにとって、Lenovo H320のコストパフォーマンスは、今すぐ導入の是非を検討するに値するだろう。
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