ASUSのGeForce GTX 580搭載OC版「ENGTX580/2DI/1536MD5」の実力とSLI性能を試す:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
リファレンス準拠がほとんどだったGeForce GTX 580搭載モデルで、数少ないオーバークロック版「ENGTX580/2DI/1536MD5」。SLI構成も含めてその性能を検証した。
DirectX 11で効果が明確になるSLI構成
DirectX 9とDirectX 10に対応するゲームタイトルのBIOHAZARD 5におけるベンチマークテストの結果は、どちらも解像度1600×1200ドット条件までは150fpsに張り付いてGPUとは別のところにボトルネックがある状況を示している。解像度2560×1440ドット条件で比較すると、リファレンスデザインのGeForce GTX 580とENGTX580/2DI/1536MD5の差が1fps程度、SLI構成におけるGeForce GTX 480とGeForce GTX 580の差も1fps程度と比較する両者にほとんど差がない結果となった。これは、GPU負荷がもっと高いゲームタイトル、または、より高画質な設定、高解像度を用いなければGeForce GTX 580の真の性能を計測できないことを示しているといえる。
DirectX 11に対応するゲームタイトルとしては「Unigine Heaven 2.1」と「H.A.W.X.2」でベンチマークテストを計測した。Unigine Heaven 2.1はテッセレーションをExtremeに設定しているためGPU負荷が高い。そのためか、SLIを構築したGeForce GTX 480とGeForce GTX 580とでは明確な差がある。その違いは、各解像度で10fps程度だ。2560×1440ドット条件で測定した単体構成のGeForce GTX 480とGeForce GTX 580との差が6fps弱であるので、SLI構成ではその2倍に近い差が確認できたことになる。また、かなり高負荷なテストであるためこれまで60fpsを超えることがなかったが、GeForece GTX 580のSLI構成がこの壁を突破した。
H.A.E.X.2はテッセレーションの負荷が高いとされているゲームタイトルだが、市販のゲームタイトルであるためフレームレートは高い。1280×1024ドット程度の低解像度条件ではGPU以外にボトルネックが生じているためスコアは頭打ちで、1920×1200ドット以上の高解像度条件で、リファレンスデザイン設定のGeForce GTX 580とENGTX580/2DI/1536MD5の差が3fps程度、SLI構成でのGeForce GTX 480とGeForce GTX 580との差は最大8fps程度だった。
単体構成ではGeForce GTX 480よりも低消費電力という傾向が確認されたGeForce GTX 580だが、SLI構成ではピーク値でGeForce GTX 480のSLI構成よりも高いという結果となってしまった。先ほど説明したように、今回検証に用いたシステム環境では、グラフィックスカードを差したスロットの間隔がほどんどないため、発熱の影響を受けやすく、それゆえ冷却に関わる消費電力が増加した可能性もあるだろう。
GeForce GTX 580のSLI構成で測定された消費電力の実測値は680ワットで、Core i7-980XのようなTDP130ワット級CPUと組み合わせるような場合は最低でも800ワット、CPU負荷もかかる実際の運用では1000ワット超級の電源ユニットを使うのが望ましいと思われる。
最新DirectX 11ゲームをギュウギュウ動かすならSLI
GeForce GTX 580が単体構成でも高いパフォーマンスを示すGPUであるだけに、DirectX 9とDirectX 10対応で負荷の軽いゲームタイトルではSLIの効果が薄いことが今回の検証で分かった。GeForce GTX 580でSLIを組むなら、GPU負荷の高い最新タイトル、DirectX 11対応タイトルなどを高画質、高解像度で快適に動かしたいというユーザーが適している。
一方、GeForce GTX 580の発表当初にリファレンスデザイン準拠の製品がほとんどであったなか、ASUSからオーバークロック版が登場したが、ENGTX580/2DI/1536MD5の実売価格は5万5000円前後で流通を開始したようで、ほかの製品と比べてもそれほど高価というほどでもない。ただ、オーバークロックモデルとはいえ、その違いはコアクロックの10MHz程度で、ベンチマークテストにおけるスコアではそれほど大きな差は確認されていない。ただ、ASUSの独自機能、特にVoltage TweakによってGPU電圧を含めたOCに挑めるのは、ユーザー、特にオーバークロックを重視するユーザーがこのモデルを選ぶ十分な理由となるだろう。
関連キーワード
GeForce | GF100 | GPU | DirectX 11 | NVIDIA | GPUコンピューティング | CUDA | Fermi | グラフィックスカード | ベンチマーク
関連記事
FermiにはCUDAコアが512あったんだ──GeForce GTX 580で「本当の力」を知る
NVIDIAのFermiは512基のCUDAコアがあるはずだった。しかし、GeForce GTX 480にあったのは480基。11月になって登場した「580」に意味はあるのかないのか?「Radeon HD 6870」「Radeon HD 6850」でGeForce GTX 460を迎撃せよ!
Radeon HD 6800シリーズが発表された。新世代のハイエンドGPUを思わせるナンバーだが、その位置付けは異なる。性能と価格のバランスはどう変わったのか?みんなの“Fermi”がやってきた──2万円台の「GeForce GTX 460」は“9800 GT”の再来か?
新世代GPUアーキテクチャ“Fermi”を採用した2010年のGeForce。これまでハイエンドに限定だったが、ようやく「みんなが買える」モデルが登場した。その性能は?GeForce GTX 480で時代が変わるか!
新世代アーキテクチャ“Fermi”を採用したGeForceが登場。ベールに隠されてきた“GF100”の実力をDirectX 11対応ゲームベンチマークテストで明らかにする。“Fermi” を採用したGF100の機能をデモ画面でチェックする
2010 International CESでGF100のライブデモが初めて公開されたが、そのCESから1週間後に、NVIDIAはその機能と構成を公開した。次世代GPUアーキテクチャ「Fermi」の内部構造に迫る
NVIDIAが9月末に行った技術イベントで最も注目を集めたのが、次世代GPUアーキテクチャ「Fermi」だ。GPUコンピューティングに最適化されるCUDAコアとは?これは壮大なコンピューティング革命の始まりに過ぎない
NVIDIAは米国時間の9月30日から10月2 日にかけて、同社の技術を紹介する技術イベントを開いた。そこで注目を集めたのが、新しいGPUアーキテクチャ「Fermi」だ。Hemlockで“大台”を目指せっ──「Radeon HD 5970」のデュアルGPUパワーを喜ぶ
Radeon HD 5000世代のデュアルGPUカード“Hemlock”こと「Radeon HD 5970」が発表された。“Radeon HD 5800×2”のパフォーマンスを早速チェックしてみよう。待ちきれないっ!Radeon HD 5850のパフォーマンスを楽しむ
絶大な絶対性能を発揮したRadeon HD 5870だが、そのミドルレンジGPUとして期待のRadeon HD 5850がこの週末に出荷された。気になる性能を早速試してみた。これが“5万円GPU”の性能かっ!──「Radeon HD 5870」の驚異的性能に驚く
AMDは9月23日に同社の最上位GPU「Radeon HD 5800」シリーズを発表した。上位モデルの「Radeon HD 5870」はまもなく出荷が始まる。その性能を早速試した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.