「VAIO S(SA)」徹底検証――直販限定×高級志向の13.3型モバイルノート:待望の高解像度化、外装もグレードアップ(5/6 ページ)
「VAIO Z」が販売終了となり、代わりに出てきた「VAIO S」の上位モデル「VAIO S(SA)」は、どれほどの実力を秘めているのか。じっくり、こってりと試してみた。
最新ハイパフォーマンスモバイルノートの実力は?
今回の評価機は、Core i5-2520M(2.5GHz/最大3.2GHz)、Radeon HD 6630M(1Gバイト)、8Gバイトメモリ、256GバイトクアッドSSD(64Gバイト×4)、1600×900ドット表示の液晶、Blu-ray Discドライブ、無線WAN(b-mobileパックなし)、64ビット版Windows 7 Ultimate(SP1)という構成だ(直販価格は24万5300円)。最速の構成というわけではないが、かなりのハイスペック構成であり、これでベンチマークテストを実施した。
テストによっては、VAIO S(SB)の2011年春モデル「VPCSB19FJ/B」(標準仕様モデル上位機/ブラック)と「VPCSB18FJ/W」(標準仕様モデル下位機/ホワイト)、13.1型ハイエンドモバイルノートであるVAIO Zの2010年春モデル「VPCZ11AFJ」(VAIOオーナーメードモデル)のスコアも参考までに併記した。
もっとも、2011年春モデルではVAIO S(SB)のVAIOオーナーメードモデルでVAIO S(SA)に近い構成を選ぶことが可能で、前回のVAIO S(SB)のレビュー時には液晶ディスプレイの解像度を除き、ほぼ同じ構成でテストしていた(2011年夏モデルではCTOメニューが簡略化されたので、ここまでハイスペックな構成は選べない)。
そのため、当然ながら今回のテストではそれと似たスコアが出ており、VAIO S(SA)だけの目新しい要素はない。
今回テスト結果を比較したVAIOノート | ||||
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シリーズ名 | VAIO S(SA) 2011年夏モデル | VAIO S(SB) 2011年春モデル | VAIO S(SB) 2011年春モデル) | VAIO Z (2010年春モデル) |
モデル名 | VPCSA2AJ | VPCSB19FJ/B | VPCSB18FJ/W | VPCZ11AFJ |
販売チャネル | VAIOオーナーメードモデル | 店頭向け標準仕様モデル(上位) | 店頭向け標準仕様モデル(下位) | VAIOオーナーメードモデル |
CPU | Core i5-2520M (2.5GHz/最大3.2GHz) | Core i5-2410M (2.3GHz/最大2.9GHz) | Core i3-2310M (2.1GHz) | Core i7-620M (2.66GHz/最大3.33GHz) |
CPU内蔵グラフィックス | Intel HD Graphics 3000 | Intel HD Graphics 3000 | Intel HD Graphics 3000 | Intel HD Graphics |
外部GPU | Radeon HD 6630M (1Gバイト) | Radeon HD 6470M (512Mバイト) | Radeon HD 6470M (512Mバイト) | GeForce GT 330M (1Gバイト) |
メモリ | PC3-10600 8Gバイト (4Gバイト オンボード+4Gバイト) | PC3-10600 4Gバイト (4Gバイト オンボード) | PC3-10600 4Gバイト (4Gバイト オンボード) | PC3-8500 4Gバイト (2Gバイト×2) |
データストレージ | 256GバイトSSD (64Gバイト×4、RAID 0) | 500GバイトHDD (5400rpm) | 500GバイトHDD (5400rpm) | 256GバイトSSD (64Gバイト×4、RAID 0) |
光学ドライブ | Blu-ray Disc | Blu-ray Disc | DVDスーパーマルチ | Blu-ray Disc |
液晶 | 13.3型1600×900ドット | 13.3型1366×768ドット | 13.3型1366×768ドット | 13.1型1920×1080ドット |
OS | 64ビット版Windows 7 Ultimate (SP1) | 64ビット版Windows 7 Home Premium | 64ビット版Windows 7 Home Premium | 64ビット版Windows 7 Home Premium |
オフィススイート | - | Office Home and Business 2010 | Office Home and Business 2010 | - |
発売時の実売価格 | 24万5300円 | 20万円前後 | 16万円前後 | 31万6800円 |
それでも総合的に優秀なスコアをマークしていることは確かだ。特にクアッドSSDのパフォーマンスは相変わらず素晴らしい。Windowsエクスペリエンスインデックスでは最高の7.9を記録しているほか、CrystalDiskMark 3.0ではシーケンシャルリードで892Mバイト/秒、シーケンシャルライトで659.9Mバイト/秒と、いずれもSerial ATA 6Gbpsの理論上限(600Mバイト/秒)を大きく超えるスコアを獲得した。
PCMark05やPCMark VantageのHDD関連テストでも突出したスコアを出しており、これはサクサクとしたレスポンスのよい使用感に貢献している。
そのほかのテストで特筆できるのは、SPEEDモードでの3D描画性能だろう。Radeon HD 6630M(1Gバイト)というモバイル向けとしてはかなり高性能なGPUを搭載しているため、3Dゲームも実用的に楽しめ、ストリートファイターIVなど比較的描画負荷の軽いゲームならば、フルオプションに近い高画質でも快適に楽しめる。
また、Media Espresso 6.5を使って動画エンコードの速度も検証したが、やはりIntel HD Graphics 3000に備わったIntel Quick Sync Videoによるハードウェアデコード/ハードウェアエンコードがともに有効になるSTAMINAモードのほうが高速だった。
なお、VAIO S(SA)はVAIO S(SB)と同様、「Quick Boot」という高速起動のための技術も採用している。BIOSやOS起動時のタスクを最適化することで、Windows 7の起動を高速化したものだ。実際に電源ボタンを押してからWindows 7のデスクトップ画面が出るまでの時間を何度か計測したところ、高速なクアッドSSDの搭載もあり、17~8秒程度と非常に素早く起動できた。
Media Espresso 6.5による動画エンコードの速度 | |||||
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モデル名 | VPCSA2AJ (SPEED) | VPCSA2AJ (STAMINA) | VPCSB19FJ/B (SPEED) | VPCSB19FJ/B (STAMINA) | VPCSB18FJ/W (SPEED) |
動画の変換時間 | 36秒 | 31秒(高画質)/29秒(高速) | 36秒 | 34秒(高画質)/30秒(高速) | 40秒 |
備考 | ハードウェアデコードのみ有効 | いずれもハードウェアデコード・エンコード有効 | ハードウェアデコードのみ有効 | いずれもハードウェアデコード・エンコード有効 | ハードウェアデコードのみ有効 |
※2分間のAVCHDムービー(1280×720ドット/約15Mbps/2分)をスマートフォン向けの動画(Apple汎用/640×360/H.264/MP4)に変換 |
バッテリー駆動時間のテスト結果は?
バッテリー駆動時間のテストは、BBench1.01(海人氏・作)で行った。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」および「10秒間隔でのキーストローク」だ。無線LANでインターネットに常時接続し、WebブラウザはInternet Explorer 8(32ビット版)を指定している。VAIO S(SA)の設定はSTAMINAモード(電源プランはバランス、ディスプレイ輝度は40%)で行なった。
テスト結果は約6時間1分と、公称値の約8~9.5時間には及ばないものの、十分な駆動時間を示した。これにオプションの拡張バッテリーを装着すれば、2倍近くまで駆動時間を延ばせるだろう。ヘビーなモバイル環境でも運用できるスタミナといえる。
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