980円で大丈夫か──「イオン専用b-mobileSIM」徹底検証:街のイオンで買う“データ通信SIMカード”(3/3 ページ)
月額980円で定額データ通信が行えるという、これまでなかった新たな製品「イオン専用b-mobileSIM」が登場。導入における注意点と実際の使い勝手をじっくり検証する。
実際の通信速度はどのくらいか
では最大100kbpsまでとするタイプAは、実際にどのくらいの通信速度が出ているのか。
まずはXperiaに装着して「SPEEDTEST.NET」サイトで場所、時間帯を特に考慮せずにいろいろな場所で通信速度を計測したところ、下りはおおむね90kbps前後、上りは少しばらつきがあるものの平均80kbps前後と記録されていた。こちらは最大100kbpとするなら悪くない値だと思う。もちろん絶対速度は遅いが、すでに1カ月以上スマートフォンでTwitter、メール送受信、Webでの情報検索や乗換案内など、日常的にスマートフォンで操作するサービスを利用する範囲では、遅すぎてガマンならないという状況にならなかったことは付け加えておく。
b-mobile WiFi経由のPCで速度を計測すると、計測サイトによってかなりバラつきが見られた。おおむねピーク速度の値が反映される「speed.rbbtoday.com」サイトでは下り速度で100kbps以上、上りは70kbps台とXperiaでの計測に近い結果になった。一方、平均速度が反映される「Radish Network Speed Testing」サイトは下りが40kbps前後、上りが60kbps前後という値と、やや辛口な計測結果だった。もっとも、実際に速度計測サイトのようなバースト転送時は徐々に通信速度を絞り込んで100kbps内に通信速度を抑えこむように帯域を制御する仕組みになっているので、このような結果になってもおかしくはない。
画像圧縮の効果は、画像転送での計測が行える「BNRスピードテスト」の画像版を使用した。ここでは500k~600kbps相当という値になり、画像圧縮がなかなか有効であることが伺える。もちろん画質の劣化というトレードオフがともなうのだが、結果的に最大100kbpsとする通信速度で実用的なWebアクセスが可能になるなら、それも悪くない。また、日本通信とNTTドコモ間のデータ通信量の削減にも貢献するので、月額980円というすばらしい低料金の実現と継続に必須な機能と考えてほしい。
安いだけじゃない、使い分けられる完全定額という新たな選択
本製品は、やはり安価な月額980円のタイプAが初回としては購入しやすい。いくらか用途を割りきるのならば、そのコストパフォーマンスはこれまでのデータ通信サービスより格段によい。
それゆえ、契約時のSIMパッケージ料金の3150円がちょっと高く感じるのだが……これは物理的なSIMカードの代金が含まれるし、どの通信事業者でも契約時には3000円前後の契約手数料が発生する。もちろん中には契約手数料を無料化する例はあるが、これは長期利用契約が前提の場合がほとんどであり、契約後の利用料金で実質的に回収が可能だからである。利用期間の縛りがない本製品ではちょっと無理な相談と考えたい。
本製品はもう1点、3種類の完全定額プランを使い分けられる点も既存のデータ通信サービスにはなかった大きなポイントである。
あくまで月単位(正確には料金計算月単位)で、事前にプランの切り替え作業が必要だが、普段はスマートフォン中心で使うのでタイプAにして、旅行や帰省でPCでのインターネット接続を高速で利用したい時はタイプCにする、というように料金プランを状況に応じて切り替えられる。
こちらに関して1つ要望を。この完全定額の使い分けをより有効に活用したいという意味で、日本通信には最大通信速度の高速なプランへの切り替えを、“即”行えるよう改訂してほしいと強く思う。なぜなら、急な出張や旅行、業務などでプランAやプランBから、すぐにプランCに切り替えて使いたいという需要はかなり多そうと思うためだ。この場合、常時プランCで利用する人はやや減ってしまう心配はあるが、普段はプランA、Bで十分な人が、臨時でプランCで利用する機会が増えることで相殺……という考え方は難しいだろうか(逆に高速→低速プランへはこのこともふまえて、そのまま月単位でよいと思う)。
ともあれb-mobileSIM[イオン専用]は、どの料金プランでも異なるのは上限通信速度だけであり、データ通信総量は気にせず定額利用できる点が非常に喜ばしい。他通信事業者のデータ通信用2段階定額プランは、まったく使わなければ安価だが、少しでも使えばすぐ上限の金額に達してしまうのが現状。本製品のように柔軟な使い分けは非常に難しいのだ。
この点で、各地にあるイオン店舗での販売で訴求可能なユーザーをグワッと拡大させつつ、これまでのデータ通信/モバイル上級者も「これだよ」と思わせる実力と可能性がある。ユーザーの“カユイ”ところを絶妙にツンツン付いてくれる製品である。
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