“Sandy Bridge”な「MacBook Air」を新旧比較(後編):Windows機としての実力は?(2/2 ページ)
新型「MacBook Air」レビューの後編では、Windowsをインストールして各種ベンチマークテストを実施する。バッテリー動作時間の実測や新型「VAIO Z」との比較も。
SSDはライト速度が速い傾向、バッテリーは必要十分
次にSSDの性能を確かめるべく、CrystalDiskMarkを使って転送速度を測定した。結果は、デュアルSSD(RAID 0構成)を採用するVAIO Zがシーケンシャルリードで飛び抜けている。今回比較したVAIO Zは店頭モデルだが、Serial ATA 6Gbps対応の第3世代デュアルSSDを搭載するVAIOオーナーメードモデル(VPCZ21AJ)であればさらに差がついたはずだ。ただ、ライト速度ではMacBook Airが逆転してVAIO Zを上回っており、用途によって得手不得手のあるSSDの特性が見て取れる。なお、評価機に搭載されていたのはいずれもサムスン製(64Gバイトが「APPLE SSD SM064C」、128Gバイトが「APPLE SSD SM128C」)だった。
最後にバッテリー動作時間を計測した。Mac OS環境下では、画面輝度を最大にし、キーボードバックライトはオフ、1分の動画をフルスクリーンで連続再生してバッテリーが切れるまでの時間を手動で計測するという内容、Windows 7環境下では「BBench 1.01」(海人氏作)を利用して、画面輝度を最大、10秒おきにキーボードを押下、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11n)によるインターネット巡回を行う設定でテストしている。
上記の条件は、通常のモバイルPC利用シーンからすればやや厳しめだが、結果を見ると、11インチモデルはMac OS環境で3時間12分、Windows 7環境で3時間19分、13インチモデルはそれぞれ5時間19分と4時間11分となった。公称値には及ばないものの、電源管理設定や画面輝度を調節することにより、バッテリー動作時間をさらに延ばすこともでき、通常の用途で困ることは少ないと思われる。ただ、システムに負荷がかかると冷却ファンが高速で回転をはじめ、バッテリーの消耗が急激に進むことがあるので、気温の高いこの時期は出先で動画エンコードなどを行うのは避けたほうがいいかもしれない。
以上、新旧モデルの比較やWindows機としての性能、バッテリー動作時間の実測値などを見てきた。前回のアップデートで待望の11インチモデルが登場したため、これに飛びついた人も多いと思われるが、ハードウェアとソフトウェアの両面で最新世代に生まれ変わった今回のMacBook Airは、さらに魅力的な製品に仕上がっている。性能は2倍以上、それでいて価格は8万4800円からと、コストパフォーマンスもずば抜けて高い。
より広い解像度とSDメモリーカードスロットが欲しいなら13インチモデルを選ぶのもいいし、Windows 7とのデュアルブートで利用したいならSSDの容量を256Gバイトに増量するのもいいだろう。もちろん、8万4800円で購入できる最安モデルは“初めてのMac”としても最適だ。光学ドライブを持たないMacBook Airは、オールインワンのMacBookに代わるエントリー機としては不適切だと思う人がいるかもしれない。しかし、アップルはすでにコンテンツだけでなく、アプリケーションまでオンラインで配信する仕組みを構築している。光学ドライブがないことで困ることはもはやほとんどないはずだ。
もしiPhoneやiPadを日常的に使っているのにMacを触ったことがないなら、OS X Lionが登場したこの機会に、アップル製品の中でもひときわアップルらしいデザインを持つ、この美しいMacBook Airを初めてのMacにしてみてはいかがだろうか。
関連キーワード
Mac | MacBook | MacBook Air | Apple | Lion(Mac OS X v10.7) | Thunderbolt | 薄型ノートPC | ユニボディ
8万4800円から購入可能になったスリムノート。
Lion搭載。価格は5万2800円~。
関連記事
“Sandy Bridge”な「MacBook Air」を新旧比較(前編)
第2世代Core iを搭載する新型「MacBook Air」が登場した。アーキテクチャの世代で見ると、Penrynから一足飛びにSandy Bridgeへ移行しており、性能はなんと最大で2.5倍も向上したという。本当? (2011年7月26日)新モデルの特徴を解説:MacBook Air、Mac mini、Thunderbolt Display――アップル新製品説明会
Macの最新OS「Lion」の販売開始とともに、3つの新製品がリリースされたことを受けて、アップルが国内説明会を実施した。新製品のポイントを見ていこう。Macを未来へといざなう最新OS:ついに降り立った未来のパソコン環境――「OS X Lion」に迫る
待望のMac最新OS、「Lion」がついに登場した。Mac OS Xの最初のバージョンが出たのが2001年、それからちょうど10年目のLionは、これから先10年に渡ってPCの在り方を左右する、分岐点的なOSになると言っても過言ではないだろう。1984年に登場し、マウス操作を世界へ広げたMacが、今まさにPCの新しい時代、新しい操作を開拓しようとしている。価格は8万4800円から:アップル、第2世代Core i5/7とOS X Lion搭載の「MacBook Air」を発売
アップルは「MacBook Air」をモデルチェンジして発売した。デュアルコアの第2世代Core i5/7をはじめ、OS X Lion、Thunderbolt、バックライトキーボードなどを搭載する。5万2800円から:最大2倍高速になった新型「Mac mini」登場
アルミユニボディの小型PC「Mac mini」がモデルチェンジ。Sandy Bridge世代のシステムを採用し、外付けGPUを搭載するモデルが登場する一方で、光学ドライブが全モデルで省かれた。安い、のか?13インチモデルも一新:アップル、8万8800円からの「11インチMacBook Air」
アップルの「MacBook Air」がモデルチェンジ。新デザインの13インチモデルと11インチモデルの販売を開始した。11インチモデルの価格は8万8800円から。そんなスペックで大丈夫か?:11インチMacBook Airを徹底比較
8万8800円という価格で登場した新しい11インチMacBook Airは、どの程度の性能を持つのか。CPU性能は? SSDは高速? メモリ容量は? バッテリーは十分? カスタマイズは必要なの?元麻布春男のWatchTower:ぼくが13インチMacBook Airを買った理由
新型「MacBook Air」は非常に魅力的だが、11インチと13インチのどちらを買うかは悩ましい問題だ。初代Airを常用してきた筆者が13インチモデルを選んだ理由は……。発売間近:Apple、OS X Lionを7月20日に発売
AppleはMac用の次期OS「OS X Lion」を7月20日(米国時間)に発売する。価格は29.99ドル(国内価格は2600円)。Mac App Storeでダウンロード販売される。WWDC 2011基調講演リポート(2):PCのあり方を再定義する「OS X Lion」
2時間超にわたるWWDC 2011基調講演のテーマは、「OS X Lion」「iOS 5」そして「iCloud」の3つだが、まずはフィル・シラー氏とクレイグ・フェデリギ氏が紹介したLionの内容について見ていこう。WWDC 2011:示されたのは「新たな飛躍」――Appleが実現するモバイル&クラウド時代の理想像
米国で6月6日に開催されたWorldwide Developer Conference 2011(WWDC 2011)の基調講演でAppleが明かした「OS X Lion」「iOS 5」「iCloud」は、2007年からAppleが起こしてきた革新の第2章だ。WWDC 2011基調講演リポート:クラウドを中心にしたデジタルハブ――ポストPC時代の幕開け
WWDC 2011で行われた基調講演の模様を林信行氏がリポート。「Mac OS X Lion」「iOS 5」そして「iCloud」。この3つのトピックから浮かび上がる次世代のデジタルハブ構想について考える。“負の遺産”を断ち切る:「Mac App Store」はソフトウェア産業を21世紀へと誘う
iPhone/iPadで大きな成功を収めたApp StoreがMacでも利用できるようになった。このMac App Storeはソフトウェア流通に革命を起こすかもしれない。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.