“ペーパーレス化”を加速させるモバイルスキャナ――エプソン「DS-30」実力診断:Ultrabookのお供にも(3/3 ページ)
卓上スキャナでせっせと紙文書の電子化を進めても、外出して帰ってくるとカタログやらフライヤーやら、手元に紙が増えていたりする。いっそ、モバイル環境でもペーパーレス化を進めてみては?
エプソンらしい素材に忠実な画作り
スキャン画質については、エプソンらしい丁寧な画作りだ。初期状態ではシャープネスやコントラストを強調せず、ややソフトで自然な仕上がりとなる。シャープネスのかけ過ぎによる不自然な輪郭強調やノイズなどは目立たず、原稿に対しての誇張がないのは好印象だ。
電子文書としての可読性を考えると、カラーやグレースケールの設定でも白地を飛ばしたり、文字のエッジをもう少し立たせたほうが見やすい場合も多いが、階調表現が自然なので、写真やイラストの画質を求めるような原稿ではうまくフィットするだろう。
欲をいえば、主要な原稿タイプを最適な設定でスキャンしやすいように、デフォルトで文字の可読性重視やグラフィックスの階調性重視など、いくつかプリセットのメニューがほしかったところだ。
ペーパーレス化をもっとアクティブに実践したい人へ
DS-30の実売価格は家電量販店で1万3000円台後半、一部のオンラインショップでは1万2000円台前半まで下がってきている。モバイルシーンはもちろん、屋内でちょっとしたときに取り出して使う省スペースなスキャナとして、コストパフォーマンスはなかなかのものだ。この分野で先行するPFUの「ScanSnap S1100」に対抗できるライバルが登場したといえる。
ほんの少し前まではモバイルスキャナというと、かなりユーザー層が限られるイメージだったが、タブレットやスマートフォンがここまで普及し、ノートPCもUltrabookのような薄型軽量モデルがトレンドとなりつつある今、多くのユーザーにとって利用価値はぐんと上がっているはずだ。
ボディサイズは折りたたみ傘1本程度なので、普段からモバイルノートを持ち歩いているユーザーは、DS-30も一緒にバッグに忍ばせて、ちょっとした外出から旅行まで、いつでもどこでもペーパーレス化を進めてみてはいかがだろうか。スマートフォン内蔵のカメラよりA4サイズの紙文書を美しく保存して管理できるモバイルツールとして、ペーパーレス化に積極的なユーザーならば、満足度は高いと思われる。
例えば、ふらっと立ち寄ったショップで手に取ったショップカードやフライヤーをカフェで休憩しながらモバイルノートを開くついでにスキャンしておけば、余計な紙文書を自宅にため込まずに済み、いつでもスマートフォンやタブレットから確認できて便利だ。また、夏休みに旅行先のホテルで手にしたローカルな観光案内のチラシをスキャンし、翌日はスマートフォンでそのチラシを見ながら移動、帰宅後は思い出の写真とともにそのまま保存、といった活用も考えられる。
将来的にはここから1歩進んで、本体にバッテリーや無線LANモジュールを内蔵し、スキャナ単体で紙文書の電子化からスマートファンやタブレットへのデータ転送までをこなせるような次世代モデルの登場にも期待したい。
自炊派は同時発表の「ES-D350」に注目
エプソンがDS-30と同時発表した「ES-D350」は、卓上型のA4ドキュメントスキャナ。一度に75枚の大量給紙が可能な両面読み取りADFを搭載しつつ、複数枚の原稿が重なって紙送りされることを防ぐため、超音波センサーによる重送検知機能も備えており、書物を裁断して電子化する“自炊”に向いたモデルだ。
第3世代の新しいiPadをはじめ、高画素密度のディスプレイ環境では、従来のドキュメントスキャナで標準設定だった200dpiの画像が粗く感じてしまうことが少なくないため、ES-D350の設計に際しては、より精細な300dpi設定での高速化に注力したという。その結果、モノクロ300dpi設定時でも片面25枚/分(両面50枚/分)と、200dpi設定時と同じスキャン速度を確保しているのは見逃せない。
A4原稿(縦方向)の読み取り速度は、300dpi時がモノクロ片面25枚/分(両面50枚/分)、カラー片面20枚/分(両面40枚/分)、200dpi時がモノクロ/カラーとも片面25枚/分(両面50枚/分)だ。センサーは3ラインカラーCCD、光源は白色LED、光学解像度は600dpi、読み取り階調はRGB各色16ビット入力/8ビット出力となっている。
PCとはUSBで接続し、電源はACアダプタを採用。本体サイズは303(幅)×202(奥行き)×213(高さ)ミリ、重量は約5キロだ。
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