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「Surface Pro 3」に死角ありか?――パフォーマンス、スタミナ、発熱、騒音をテストSurface Pro 3徹底検証(1)(3/5 ページ)

本特集では人気の「Surface Pro 3」をじっくり検証していく。第1回は薄型軽量ボディで気になるパフォーマンス、バッテリー駆動時間、ボディの発熱、騒音を調べる。

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Surface Pro 3における発熱とパフォーマンスの関係を調べる

 Surface Pro 3におけるボディの発熱とパフォーマンスの関係を調べるため、今回はFF14ベンチを5回連続で行い、1回ごとにテストスコア、CPUクロック、GPUクロック、プロセッサのコア温度を計測し、その推移をまとめてみた(クロックや温度は常に変動するので、テストの同じポイントで計測)。結果は下表の通りだ。

FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編 複数回の連続テスト結果 室温26.5度
Surface Pro 3の結果
テスト回数 スコア CPUクロック GPUクロック プロセッサコア温度
テスト開始前 800MHz 600MHz 41度
1回目 2156 2593MHz 800~1100MHz 89度
2回目 1512 800MHz 450~500MHz 64度
3回目 1544 800MHz 450~500MHz 64度
4回目 1516 800MHz 450~500MHz 65度
5回目 1514 800MHz 450~500MHz 64度
Surface Pro 2の結果
テスト回数 スコア CPUクロック GPUクロック プロセッサコア温度
テスト開始前 800MHz 600MHz 33度
1回目 2297 2295MHz 800~1000MHz 76度
2回目 2127 2295MHz 800MHz 77度
3回目 2015 2295MHz 800MHz 79度
4回目 2011 2295MHz 800MHz 79度
5回目 2024 2295MHz 800MHz 79度
FF14ベンチ連続実行時におけるスコアとコア温度の推移

 テストは室温26.5度の環境で行ったが、開始前のアイドル状態で比較しても、Surface Pro 3のほうがプロセッサのコア温度が8度高かった。ここからFF14ベンチを高品質(ノートPC)、1280×720ピクセル、フルスクリーンの設定で実行したところ、1回目のスコアはほぼ同等だったが、2回目からは大きく異なる結果となっている。

 Surface Pro 3は初回のテストにおいて、CPUクロック、GPUクロックともピークの値でSurface Pro 2を上回ったものの、コア温度が89度まで一気に上昇してしまい、最大クロックを維持できない。そのため、テスト結果でSurface Pro 2を上回れなかった。

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 さらに2回目以降はサーマルスロットリング(CPUが発熱しすぎないように動作クロックを下げる機能)が働き、CPUクロックは800MHz程度、GPUクロックは500MHz程度まで下がり、スコアは1回目の70%程度に停滞してしまう。5回繰り返しテストをして、スコアが回復することはなかった。この状態はCPU負荷が続く限り変わらないが、5分ほどクールダウンさせると、1回目に近いスコアまで回復する。これではFF14の快適なプレイが望めず、CPUやGPUに負荷をかけ続けるような作業を高速化するのも厳しい。

 一方のSurface Pro 2は、2回目以降にスコアが緩やかに低下するものの、CPUクロックとGPUクロックが大きく下がることはなく、コア温度も70度台後半で維持できており、ベンチマークテスト中にサーマルスロットリングが発生することはなかった。CPUやGPUに負荷をかけ続ける作業の耐性はSurface Pro 3より上だ。いずれもCPUはTDP(熱設計電力) 15ワットの第4世代Core Uシリーズなので、放熱設計についてはボディが分厚いぶん、Surface Pro 2のほうが優位に立つ。

 Surface Pro 3は薄型化と軽量化に伴い、30%効率アップした冷却機構を採用したとしている。しかし、12型ワイド液晶を搭載して9.1ミリ厚、約800グラムの薄型軽量ボディで、第4世代CoreのUシリーズを冷却し続けるには少々荷が重い印象だ。

薄型ボディにCore i3/i5/i7を搭載するため、30%効率アップした冷却機構を採用した。画像はCPUとファンがむき出しだが、実際はCPUとファンが銅製のヒートパイプ2本で結ばれている。本体の側面には目立たないようスリットが設けられており、内部に効率よくエアフローができるよう工夫している

 Surface Pro 3は、Surface Pro 2にはなかったCore i7も選択でき、その場合のCPUはCore i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz)に、内蔵グラフィックスはIntel HD Graphics 5000にアップグレードするが、この冷却機構ではパフォーマンスを最大限に引き出すには厳しいだろう。

 CPUのピーク性能を重視せず、放熱に余裕を持って使いたいならば、むしろ最大TDPが11.5ワットになるCore i3モデル(1.5GHz駆動のCore i3-4020Y搭載)のほうが、TDP 15ワットのCore i5/Core i7モデルより有利と予想される。

 ちなみに、Core i7モデルが採用するCore i7-4650Uは「cTDP」(Configurable Thermal Design Power:設定可能な熱設計電力)により、状況に応じてCPUのTDP(熱設計電力)を可変させ、25ワットのTDPに切り替えることで、パフォーマンスを大きく引き上げるスペックも備えているのだが、当然ながらSurface Pro 3はこれをサポートしていない。

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