林信行が「iPad Pro」に見る新たな可能性:iPadを再定義するフラッグシップモデル(5/5 ページ)
iPad Proは、とにかく巨大だ。本体も巨大なら、画面も巨大。AppleはiPad Proで何を目指したのか。林信行氏が読み解く。
ここからiPadの新しい飛躍が始まる
5年前に最初のiPadが発表されたとき、Appleはこれを「新カテゴリーの製品」と呼んだ。故スティーブ・ジョブズも、この製品がパソコンと違うどんな特徴を持っているかは説明していたが、それが実際にどんな市場を切り開いていくのかは見通せていない様子すらあった。
それから5年、iPadは、パソコンによるIT革命が及んでいなかった領域――例えば農林水産業や飲食業、スポーツやファッション、医療、教育など――に、我々の想像を超えた「21世紀化」の飛躍をもたらし、文字通り世界を大きく変えた。
もちろんそれだけではなく、すでにパソコンによるIT革命の恩恵を受けていた職場、例えば米国トップ500企業などは、そのほとんどがiPadを導入してはいたが、ノートPCの延長としてOfficeに代表される生産系アプリを使おうとすると、ハードウェアキーボードがないことなどを理由にやや限定的な使い方しかされてこなかった。
その状況に一石を投じるのが、今回、Smart Keyboardにも対応したiPad Proだ。事務作業だけでなく、写真や映像、デザインに関わるクリエイティブな仕事で重要になる処理性能や高品位なディスプレイ、繊細な操作ができるApple Pencilも用意され、まさにこれまでiPadの弱点とされてきた部分を克服している。
このiPad Proの登場で、iPadは非デジタル領域向けのガジェットというイメージから脱却し、もう1度幼児からプロまで老若男女幅広く使える製品としての仕切り直しが行われた。iPad Proは、まさにここから次の飛躍が始まる記念すべき最初のステップであることを感じさせる製品だ。
実際、iPad Proを使い込んでみれば、Smart Keyboardで「Command」キーを長押ししておくと画面中央にショートカットキー一覧が表示される機能など、iOSにもこれからの新標準となりそうな機能が組み込まれていることに気づくだろう。
iOSデバイス史上、最高の性能と最高のディスプレイ、最高のスピーカー、そして最多のオプションが用意されたiPad Pro。ビジネスマンやプロクリエイターはもちろん、常にiOSの最先端を体験したいユーザーにとっても、持っておきたい1台だろう。
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