「iPad Pro」と「Surface Pro 4」が似ていると思ったら大間違い:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)
日本でほぼ同時に発売されることとなった「iPad Pro」と「Surface Pro 4」。どちらも筆圧ペンとキーボード付きカバーを組み合わせて利用できる高機能なタブレットだが、実は全く違うタイプの製品であると覚えておきたい。
改善を重ねてきた4世代目の「Surface Pro 4」
一方のSurface Pro 4も、iPad ProとApple Pencilが持つ要素を(性能や体験に多少の違いはあるが)ほぼ網羅している。
というよりも、元はクラウドに数多く集まるアプリケーションサービスに対し、最もシンプルな形で接することを目的として開発されたタブレットに、何らかの「生産性」を加えようとすれば、おのずと形が似てくるというほうが正しいだろう。
Surfaceは初代モデルから一貫して、本体を自立できるキックスタンドを採用している。その使いやすさを模索し、Surface Pro 3では無段階調整式の幅広いチルト角度で固定できるメカニズムに行き着いた。Surface Pro 4でもそれは変わらない。
また、可能な限りシンプルな形でノートPCに近い生産性を与えたいと考え、画面カバーにキーボードとタッチパッドを加えたType Coverを開発し、これも改良を重ねてきた。Surface Pro 3でも利用できる最新版のType Coverは、待望のアイソレーションキーボードになったことで、ミスタッチしにくい、より快適なキーボードへと進化。マルチタッチ対応のタッチパッドも大きなガラス製となり、操作感が向上した。
そうした進化の過程で、膝の上でも安定するようにType Coverの固定方法を工夫するなどしてきたが、タッチパッド~キーボード~キックスタンドと続く奥行きを取るため、実際の膝上での使い勝手は、後発のSmart Keyboardに及ばない。とはいえ、ここもいずれは工夫を加えてくるかもしれない。
ディスプレイに対する考え方も非常に似ている。sRGB準拠の正確性を重視したチューニングに加え、視差が可能な限り小さくなるようダイレクトボンディングされた薄い保護ガラスなどで美しいディスプレイの見え味を目指しているのは、iPadファミリーに近い(どちらが上という話ではない)。
Surfaceペンも改善が見られる。ペン入力インタフェース技術を持つイスラエルのメーカーであるN-trigをわざわざ買収し、最新型チップを用いることで、これまで弱点だった筆圧検知レベルを従来比4倍の1024段階にまで増やし、入力ペンに消しゴム機能を追加するなど工夫を重ねた。試作機を触った印象では、ペン先と入力位置のズレも従来より小さくなっているようだ。
iPad ProとSurface Pro 4は直接競合しない?
いずれも、タブレットにプラスαの生産性を求めるのであれば、誰もが思い付く方向性だろう。両者が取り組んでいることが似ているのは、それぞれが正しい取り組みを(別々の技術、形、考え方で)している証拠かもしれない。
そうしたおかげで、PDFで送られてきたレビューの書類に校正を入れたり、必要な場所への記入をして返信するといった作業や、出先でサラッとメモを書いてクラウドにアップロードするといった作業が実に楽になった。
それでは、両者は競合するのか? というと、ここまで似ていると書いていながら、やはり全く別のジャンルの製品だと思う。
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