君は「ゲーム電卓」を知っているか 80年代に彗星のごとく現れて消えたレトロガジェット
電卓といえば「計算するもの」という認識は誰しもが持っているだろう。しかし、個人向けの電卓を1972年に作ったカシオは「このボタンで計算と表示ができるものは他に何の役に立つか」という考えの元、ハードウェアの設計は変えずに発想をひねることで新しい機能を生み出した。それが「ゲーム電卓」だ。
ゲーム電卓がカシオから初めて出たのは1980年、「右側から攻めてくる数字の標的を数字で表した砲台で撃ち落とす」という内容のシンプルなシューティングゲームだった。
表示領域はあくまで一般的な電卓と同じで、表示される数字を生かしていかにゲーム性を出すかに開発陣は苦労したという。また、ハードウェアも特別変えた部分はなく、電卓が計算できる数式を工夫してゲームの形に整えた。
このような工夫で、ボクシングゲーム搭載電卓、占い電卓、囲碁電卓、パチンコ電卓と次々に新製品をリリースしたカシオ。遊び心の入った電卓は好評で、月産30万台のヒット商品となった。
制作の上での制約は音にもあった。当時の電卓は出せる音が高い音と低い音の2種類しかなく、この組み合わせでゲーム用の音を作ることに知恵を絞ったという。
ゲーム電卓が好評だったことから、1982年には電卓機能を省いた携帯ゲーム機にも進出した。こちらも初めは月産10万台から始めたが、月産30万台に至るまでヒットした。
しかし、本格的な携帯ゲーム機が出てくるにつれ、80年代後半にはゲーム電卓は生産を終了した。以降、カシオは電卓の原点に戻り「計算」を追求、一般電卓と関数電卓の生産を続けている。
これらゲーム電卓は「電卓の日」の翌日である3月21日から5月10日まで、東京都・世田谷区の「樫尾俊雄発明記念館」で行われる特別展示「学びと遊びの電卓・電子辞書展」で展示される。
ゲーム電卓の他には歴代の関数電卓や電子辞書、関数電卓以前の対数表や計算尺を展示するとのことだ。
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