“親の意識”が重要――インテルが地方のショッピングモールで「親子プログラミング体験イベント」をやる理由(3/3 ページ)
2018年の夏休み、インテルが「親子プログラミング体験イベント」を開催した。あえて大規模な開催告知は行わず、場所も地方のショッピングモールを選んだという。その背景には、インテルなりの「思い」がある。
プログラミング教育には「親の意識」も重要
名古屋市は別として、インテルは今回のイベントを大都市圏の中心都市をあえて外すように開催している。そして冒頭で述べた通り、今後のイベントも地方都市を中心に開催する予定だ。
このイベントをIT関連のものとして捉えると、東京や大阪で開催した方が確実に集客を見込める。ショッピングモールではなく展示場で開催しても、“熱心な”親なら確実に子供を連れてやってくるだろう。「費用対効果」を考えれば、非常に効率が良い。
しかし、インテルがこのイベントを企画したのは「都市部の熱心な親と子」のためではない。言葉を選ばずにいえば「都市部よりもITリテラシーの低いであろう地方に住んでいる親と子」のためだ。
先述の通り、小学校におけるプログラミング教育の必修化は新聞やテレビでも話題になってはいる。しかし実際にどんなことをするのか具体的に想像できない親も少なくない。実際に、プログラミング教育と聞いて「コンピュータのプログラマーを大量に育成するの?」と“勘違い”している親もいた。
そんな状況でも、ある意味で“IT(ICT)に囲まれている”都市部に住む親であれば、子供のプログラミング教育に興味を持つことも比較的容易だ。しかし、ITから縁遠い傾向にある地方に住む親は、そもそもプログラミング教育に関心が向く環境にいないことが多い。
そこでインテルは、効率は横に置いて地方に打って出て、子供にプログラミングやPCを使う楽しさを伝えつつ、親にプログラミング教育や子供のPC(IT)スキルを高める重要性を知ってもらおうと考えたのだ。ショッピングモールを会場に選んだのは、それほどITリテラシーの高くない人もやってくるという理由もある。
ただ、この夏休みにイベントを開いた場所は、十分なほどの「大都市」に所在している。人口が数万から十数万規模の都市(圏)で開催してこそ、このイベントの“真価”が発揮できると筆者は思う。
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