2020年予想 2つの第10世代CoreでモバイルPCが変わる? 5G到来にiPhoneはどうなる?:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/2 ページ)
2020年は2種類の第10世代Coreプロセッサによって、モバイルPCの設計トレンドに変化が起こるかもしれない。一方、国内では立ち上がりが鈍いと予想される5Gだが……。
日本では立ち上がりが遅いと目される5Gだが……
今年は日本でもいよいよ5G時代の幕が開く。
各キャリアは5G端末を一通りそろえてくるだろうが、実質的な体験の違いを演出できるかが一つの注目点だろう。韓国では国を挙げた振興策で300万台以上を売り上げたが、日本では端末買い替えの新陳代謝を上げる振興策を政府が支援する見込みがないことについて、昨年末のコラムで触れた通りだ。
同じ端末で5Gモデムの内蔵と非内蔵であれば、5Gモデルがプレミアムクラスから導入されるだろうことと併せ、かなり高価な端末とならざるを得ない。中国では4万円を切る端末もあるため、日本でもミドルクラスの製品が登場する可能性はあるが、いずれにしろ「LTEモデルとは違う価値」を出せなければ、消費者は高価な端末を購入しようとは思わないだろう。
ここで注目されるのがAppleの動向だ。Appleは伝統的にモデル数を可能な限り絞り込み、価格引き下げは旧モデルで対応するという方針を貫いてきた。この方針を続けるのであれば、来年も同じプラットフォームで「iPhone 11」および「iPhone 11 Pro」シリーズの後継製品が作られるだろう。
AppleとQualcommの和解の裏を読むならば、ここでAppleは一気に全SKUを5G対応モデムに切り替える計画ではないだろうか。iPhoneは高価な製品だが、11、11 Proシリーズは次世代モデル投入までの1年で8000万台以上を売り上げると予想されている。
Appleが同じ価格帯で全SKUに搭載するのであれば、ここで一気に5G端末が増加することになるだろう。ただし、Appleが5Gを生かした端末を提案できるかどうかは不透明だ。5Gを生かしたスマートフォンといっても、ほとんどのアプリケーション領域がLTEで十分なものばかりであるため、Appleといえどもユニークネスを生み出すのは難しいかもしれない。
しかし全SKUの切り替えならば、やや強引ではあるが「何かが生まれる下地」になる可能性は生まれてくる。
一つの試金石として考えられるのが、以前から繰り返しうわさになっている「iPhone SE」の後継モデルが春ぐらいに発表されるかどうかだ。もしAppleが次世代iPhoneのモデムを一気に5Gに切り替えるのであれば、iPhone SE後継モデルが“つなぎ”として必要になってくることも考えられる。
もっとも、秋以降にiPhone 11を値下げした上で続投するならば必ずしも必要ではない。低価格モデルを作らない方針が変わらないとしたら、やはり登場は望み薄ではないだろうか。あまり大きな期待はしない方がいいかもしれない。
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