レビュー

まさかのXeon搭載NUC「Intel NUC 9 Pro」はGPUを選べる頼れるヤツだった新たなNUCの道(3/4 ページ)

Intelが、超小型PC「NUC」(Next Unit of Computing)の次なる道を提示したGhost Canyonの開発コード名で知られる「Intel NUC 9 Pro Kit」を発表したのはCES 2020だった。今回はその評価機をチェックした。

ベンチマークで性能をチェック

 ここからは、実際にNUC 9 Pro Kitのパフォーマンスをベンチマークで確認していこう。製品版はベアボーンキットとして販売されるが、レビューキットにはあらかじめ全てのパーツが搭載されていた。

 具体的には、メモリは容量32GB(DDR4-2666、デュアルチャネル)、ストレージは容量512GBの「Optane Memory H10 with Solid State Storage」、グラフィックスカードはNVIDIAの「Quadro P2200」、OSは「Windows 10 Pro(64bit)」といった構成だ。

評価機のスペック
CPU Intel Xeon E-2286M(8コア16スレッド、2.4GHz~5.0GHz)
メモリ 32GB(DDR4-2666MHz、16GB×2)
グラフィックスカード NVIDIA Quadro P2200
SSD Intel Optane Memory H10 with Solid State Storage(512GB)
電源ユニット FSP「FSP500-30AS」(500W、80PLUS PLATINUM)
OS Windows 10 Pro(64bit)

CPU-Zで取得したXeon E-2286Mの情報

GPU-Zで取得したQuadro P2200の情報

 まずは、CPUレンダリング性能を計測する定番のベンチマーク「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」の結果を見てみよう。

advertisement

CINEBENCH R15のテスト結果

025CINEBENCH R20のテスト結果

 CINEBENCH R15では、マルチテストのスコアは1750cb、シングルテストは206cbを記録した。第10世代CoreプロセッサのCore i9やCore i7には届かないまでも、その水準に近い結果であり、Xeon E-2286Mのパフォーマンスは極めて良好と言っていいだろう。TDP 45Wのモバイル向けCPUではあるのだが、8コア16スレッドの構成、高いブーストクロックがよく効いているようだ。

 よりメニーコアのCPUに適したテストである「CINEBENCH R20」においては、マルチスコアが3495pts、シングルスコアが486ptsで、スコア自体の傾向は「CINEBENCH R15」と大きく変わらない。メモリやストレージ、グラフィックスは組み込んだパーツの構成次第となるが、少なくともCPU性能に関しては、一般的なデスクトップPCと比較しても決して悪くない。

 続いては、同じく3Dレンダリング性能を計測する「V-Ray Next Benchmark」の結果だ。


V-Ray Next Benchmarkのテスト結果

 独自の指標でスコアを計測してくれるベンチマークだが、CPUレンダリング時のスコアは11097ksamplesと、こちらも8コア16スレッドCPUらしいパフォーマンスを発揮できている。

 高性能な小型PCというと、得てして「CPU性能は高いけど、それ以外はそこそこ」といったスペックに落ち着いてしまいがちだが、Quartz Canyonの最大のメリットは、「用途に合わせてGPUを選択できる」点にこそあると言っていいだろう。

 常用するアプリによってGeForceやQuadro、RadeonといったGPUを柔軟にチョイスすることで、もともと高水準なCPU性能を生かすことができ、単に“CPU性能が高い小型PC”に留まらない活用ができるわけだ。

 続いて「Sandra 20/20」のプロセッサ性能およびマルチメディア処理のスコアも確認してみた。


Sandra 20/20 プロセッサの性能

Sandra 20/20 マルチメディア処理

 さまざまなテストが可能なSandra 20/20だが、CPU系のベンチマークテストでは全てのコア/スレッドが活用されるため、CPUの全コア性能がダイレクトに結果に反映される。ここにおいても、Xeon E-2286Mの素性の良さは大いに発揮されている。

 最後にPCの総合性能を測るベンチマークテスト「PCMark 10 Extended」の結果を見てみよう。


「PCMark 10 Extended」のスコア

 総合スコアは6516だった。アプリの起動やブラウジングでの性能を測る「Essentials」やオフィススイートなどでの作業性能を測る「Productivity」、画像や動画製作などクリエイティブ系の「Digital Contents Creation」のスコアはいずれも高めだ。ゲーミング性能を測る「Gaming」は数値こそ他のテストと代わり映えしないが、ゲーム向けのGPUを採用した構成と比べればやはり低めになる。ゲーミング用途ではDirectX APIに強いGeForceが優位に立てるため、このあたりはGPUの選択次第と言えるだろう。


「PCMark 10 Extended」のスコア

 ちなみにテスト中のCPUとGPU温度のグラフデータを見てみると、CPUの最大温度は80度を超え、GPU温度は60度程度だった。さすがにこれだけの性能があれば、CPU温度はそれなりに高温になってしまう。いくらワークステーションとはいえ、ボディーサイズ的に冷却はシビアなので気を配りたいところだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.