情報漏えい許すまじ! ポータブルSSD「G-DRIVE ArmorLock SSD」の頑丈さと便利さに驚く:ポータブルストレージの道(3/3 ページ)
高速なデータのやりとりと小型さで人気のポータブルSSDだが、高いセキュリティと利便性を兼ね備えたプロ向けのモデルはどうなのだろうか。ウエスタンデジタルの「G-DRIVE ArmorLock SSD」を試した。
暗号化しているとは思えないほど速い転送速度
ArmorLockは、データを強力に暗号化するが、そのために速度を犠牲にしていない。公称値では書き込み/読み出しともに毎秒1000MBの転送が可能になっている。ベンチマークテストで実際のスピードを計測してみよう。
使用したPCは、13インチMacBook Pro 2020(CPU:Intel Core i7 2.3 GHz クアッドコア 、メモリ:16 GB)と、2019年モデルのLAVIE Pro Mobile(CPU:Core i5-8265U、メモリ:8GB)、速度計測には「Blackmagic Disk Speed Test」と「CrystalDiscMark」(ひよひよ氏作)を使った。
MacBook Proでは、Thunderbolt 3ポートに接続したが、5回の平均が書き込み毎秒828.58MB、読み出し毎秒886.73MBと、公称値には及ばなかった。
対するWindows PCでは、同じく5回の平均で書き込み毎秒1015.52MB、読み出し毎秒1062.59MBという結果となった。公称値を上回る速度だった。
なお、試しにMacBook Proの方で約38GB容量のフォルダーをArmorLockにコピーしてみたところ、かかった時間は44秒86であった。これだけのスピードが出れば、普段使いでなんのストレスも感じないだろう。
テスト中もArmorLockのボディーはほんのり温かくなる程度で、発熱もうまく処理されている形だ。
とはいえ、接続のたびにスマホアプリを立ち上げてロック解除するのは面倒くさい。このような心理的負担にも、ArmorLockは対応している。
鍵スマホがそばにあれば自動解除が可能
ArmorLockには、「自動ロック解除」機能がある。その機能を使うには、次の条件を満たしておく必要がある。
- 使いたいスマホやPCを(ユーザーとして)事前認証しておく
- 位置情報へのアクセスを「常に許可」にしておく
- 「マネージャー設定」でユーザー認証をオフにしておく
- 「アプリの設定」で自動ロック解除をオンにしておく
- 鍵となるスマートフォンが近くにある
事前に使える端末をユーザーとして登録する作業は面倒ではあるが、後々ラクをするためと考えて作業しよう。「承認済みユーザー」の画面から分かるように、マネージャーとなるユーザー(端末)は、1つに限定されない(左)。ユーザー認証をオフにするということは、スマホの生体認証やパスコード入力を省略してロック解除をできるようになるということだ(中央)。その上で、自動ロック解除をオンにする(右)
これで、ArmorLockとPCを接続するたびに、専用アプリを開いて「ロック解除」をタップしないで済む。しかも、アプリをバックグラウンドで立ち上げていなくても、鍵となるスマートフォンさえ近くにあればいいので楽ちんだ。PCから抜くときも、WindowsまたはmacOSからUSBデバイスを取り外す儀式を行えば、それでArmorLockにロックがかかる。
もちろん、ロック解除時に「生体認証やパスコード入力あり」「生体認証やパスコード入力なし」「自動ロック解除」の順にセキュリティは弱まっていく。とはいえ、自動ロック解除をオンにしておいたとしても、鍵となるスマートフォンが近くにない限り、PCなどに接続してもデータは暗号化されたままだ。データ漏えいのリスクは依然低い状態にあるといえよう。
自動ロック解除を使うと、分単位とはいわないまでも、十数秒ほどの時間がかかる。それでも、一般的に外付けストレージと同じ使い勝手で、高いセキュリティ機能を得られるのはありがたい。
なお、事前認証には専用ユーティリティーが必要だが、対応OSはiOS/Android OS/macOS 10.14以降だ。デスクトップ用アプリのダウンロード先が分かりづらいので、スマホ専用アプリから「アプリの共有」でURLをPC向けにメールしておくといいだろう。現在のところWindows向けには用意されていない。
それが理由なのかは定かではないが、上記「自動ロック解除」の2つ目以降の条件を満たした状態で、一度も接続したことのないWindows PCにつなげてみたところ、自動的にロックが解除された。このあたりは、Windows向けアプリが登場したあかつきに修正されるのか気になるところだ。
いずれにせよ、鍵となるスマートフォンとArmorLockの両方を一緒に落とし、同じ人に拾われない限り、悪用されることはないという点では安心だ。
ここで取り上げた1TBモデルは実売3万800円前後、2TBモデルは7万4800円前後、4TBモデルは11万8800円前後(いずれも税込み)と値は張るが、データ漏えいによる損害賠償といったことを考えたら安いものだろう。プロ用の信頼できるデバイスとしてだけなく、オフィスと自宅間でデータを抱えて行ったり来たりするのが不安であれば、1台用意しておいてみるのはどうだろうか。
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