ニュース

「連係カメラ」でiPhoneとMacの配信画質が格段にアップ! Webカメラとの決定的な違い本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/2 ページ)

Appleが「WWDC22」で発表した、iPhoneとMacを使った「連係カメラ」機能は、思った以上にビデオ会議や配信などで役立ちそうだ。

 Appleが年次開発者向け会議「Worldwide Developers Conference 2022(WWDC22)」を開催している。今回、Appleの各種デバイス向け次世代OSの新機能が多数紹介されているが、基調講演の中でも「あれは何だ?」と声が上がったのが「Continuity Camera」、日本語でいうところの「連係カメラ」機能だ。


新OS「macOS Ventura」の説明の中で登場した「連係カメラ」

 これは、それぞれ2022年の終わりまでにリリースされる「iOS 16」と「macOS Ventura」をインストールしたiPhoneとMacシリーズを組み合わせることで、iPhoneが持つ高画質なカメラをMacの内蔵カメラと同様に使えるというものだ。

 しかし基調講演でもチラ見せされたように、実は「Webカメラ以上」のことも実現できる。「Webカメラ以上」とは、机の上に配置されたものをふかん映像として映し出す「デスクビュー」機能と、最近のApple製品でおなじみの「センターフレーム」だ。

advertisement

 いずれも便利な機能だが、少しではあるがiPhoneのモデルによる制約も存在する。まずは機能を紹介し、その利用条件について書き進めることにしよう。


macOS Venturaの主な機能一覧では、左上部分の目立つところに「連係カメラ」がある。利用にはiOS 16が動作するiPhoneも必須だ

実際の利用イメージ。ワイヤレスでも利用できる

iPhoneのカメラ機能をフル活用

 まずMacとiPhoneの接続だが、これはiPadとMacを連動させるユニバーサルコントロールに準じている。

 つまり、相互に接続するように設定してあり、また同じApple IDを登録している機器同士ならば、近づけるだけで認識し、カメラ機器としてiPhoneがMacから選択可能になる。この場合はBluetoothとWi-Fiが連動して使えるようになるが、より確実にケーブルで接続することもできる。

 基本的にiPhoneが持つカメラ機能はフルに生かせるので、例えばポートレートモードで背景をボカしたり、フレーム照明モードで背景を暗く落とし込んでみたりなんてことも可能だ。こうしたモード切り替えは、Mac側からコントロールすることもできる。


基調講演でデモをしたクレイグ・フェデリギ氏は、おもむろにズボンの後ろポケットからiPhone 13 Proを取り出し、フックを引き出してMacBook Proに引っ掛けた。映像を見る限り、リングも用意されている

連係カメラ利用時は、iPhoneの画面は非表示になっているようだ

 ご存じのように、最近のNeural Engineが搭載されてからのiPhoneは、とりわけ肌色や顔の質感などがきれいに写り、また暗所での画質も良い。また、毎年のようにアップデートされているため、Macを買い換えなくても使っているiPhoneカメラの画質になるのはありがたい。

 その上で興味深いのが、120度の対角画角を持つ超広角レンズが使えることだ。

 センターフレームが、超広角カメラを用いて被写体を追いかけることはご存じだろう。iPad Proなどと同様のこの機能が、どんなMacにでも使えるようになるが、さらにプラスαで機能するのがデスクビューだ。


iPhoneの超広角カメラを生かして机上をふかんで映す「デスクビュー」

このように、机上にある布などをまるでふかんカメラのように補正して映してくれる

超広角カメラに映り込む机の映像を自動台形補正

 120度の対角画角があると、油断をすると手元も映り込む。そこでMacBookの真上にiPhoneを装着したとき(MagSafeで装着する治具はベルキンが発売予定とのこと)、パームレストの手前にある机上の領域を、まるで真上からのふかんしたように画像を補正し、正面の顔と合成して出力してくれるのがデスクビューだ。

 この機能は、超広角カメラの広い画角を活用したもので、センターフレームとの併用も可能である。


人物を常にフレームの中心に保つ「センターフレーム」

背景ボカシもなめらかだ

 つまりMacでオンライン会議に参加したり、「OBS」などのツールでライブ配信をしたり、あるいは動画撮影をしていたりする際に、顔をセンターにキープしながら、あるいは複数人数を適切にフレーミングしながら、手元の机の上にあるものを映し出す。

 もちろん、斜めから映しているので、画質などの問題も出てくるかもしれないが、手軽にふかん映像が得られる利点は大きいだろう。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.