最大6GHz駆動を実現! Intelが第13世代Coreに至る道のりをイスラエルで公開:チックタック復活ののろし(2/3 ページ)
Intelが“世界中の”メディアを集めてイスラエルの研究開発拠点「Israel Development Center(IDC)」の見学ツアーを開催した。その基調講演において、IDCが開発してきたCPUの歴史と、間もなく登場がうわさされる第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)の近況が解説された。
「MMX Pentium」から加速するPC用CPUの開発
1979年、IDCにおいて8088プロセッサが開発された。「この後もどんどんCPUを開発していくのだろう」と思いきや、次にIDCが開発したPC向けCPUは、間が飛んで1993年の「Pentium Processor with MMX Technology」、いわゆる「MMX Pentium」である。
「MMX」は「Multi Media eXtension(マルチメディア拡張)」の略で、1つの命令で複数のデータを処理する、いわゆる「SIMD(Single Instruction, Multiple Data)技術」の先駆けである。マルチメディアの処理を行うには、大量のデータを高速に処理することが求められる。今日では当たり前となったSIMD命令セットだが、当時はCPUに組み込まれたこと自体が“衝撃的”だった記憶がある。
MMX Pentiumの次に出てくるのが冒頭にも挙げたBanias……なのだが、(一部では有名だが)この間にIDCは「Timna(開発コード名)」というCPUも開発していた。このTimnaは、主にコスト削減を目的として、1つのチップにCPUだけでなくGPUやメモリコントローラまで統合しようとしていた。「そんなの当たり前では?」と思う人もいるかもしれないが、少なくとも2チップ構成(CPU+チップセット)が必須だった当時としてはものすごく“野心的”な考え方だったのだ。しかし、メモリコントローラーにDirect RDRAMを採用したことが“あだ”となり、Intelの政治判断から「お蔵入り」となってしまった。
このTimnaのように、リリース前に消えたCPUも実際には多数あったことだろう。イスラエルチームの説明によれば、Banias以降の以下の製品は全てIDCで開発されたという。IDCは、ここ10年のクライアント向けCPUの大半に関わっていることが分かる。
- Yona:Core Duo/Soloプロセッサ
- Merom/Penryn:Core 2 Duo/Quadプロセッサ
- Sandy Bridge:第2世代Coreプロセッサ
- Ivy Bridge:第3世代Coreプロセッサ
- Sky Lake:第6世代Coreプロセッサ
- Kaby Lake:第7世代Coreプロセッサ
- Coffee Lake:第8世代Coreプロセッサ
- Whiskey Lake/Amber Lake:第9世代Coreプロセッサ
- Ice Lake/Comet Lake:第10世代Coreプロセッサ
- Rocket Lake:第11世代Coreプロセッサ(デスクトップ向け)
- Alder Lake:第12世代Coreプロセッサ
- Raptor Lake:第13世代Coreプロセッサ(今後登場予定)
半導体チップの開発には通常3~5年程度のリードタイムが必要で、複数のプロジェクトを同時に走らせたとしても、開発リソースは膨大なものとなる。そこで、Intelでは効率化とリスク回避の両立を図るために、CPUの開発を米オレゴン州ヒルズボロとIDC(イスラエル)の大きく2チームに分散させて、毎年交互にリリースしていく流れを作っていた。
しかし、IDCの説明を聞く限り、Skylake以降のクライアント向けCPUの多くはIDC主導で開発されているということなのだろう。
関連記事
IntelがPC向けCPU/GPUのロードマップを更新 「Raptor Lake」は2022年後半に
Intelが投資家向けのイベントでCPU/GPUの最新ロードマップを公表した。第12世代Coreプロセッサの後継となる「Raptor Lake(ラプターレイク)」は2022年後半に登場するという。「第12世代Coreプロセッサ(Alder Lake)」にモバイル向け製品登場 デスクトップ向け追加ラインアップも
Intelの第12世代Coreプロセッサに、モバイル向け製品が登場する。ハイエンド向けの「Hプロセッサ」、省電力重視の「Uプロセッサ」の中間として「Pプロセッサ」が新設されたことが特徴だ。その他、アンロック非対応のデスクトップ向け製品も順次発売される。Intelがハイエンドデスクトップ向け「第12世代Coreプロセッサ(Alder Lake)」を発表 11月4日から順次出荷開始
Intelが「Alder Lake」という開発コード名のもと開発を進めてきた新型CPUの製品版が、いよいよ登場する。第1弾はアンロック(オーバークロック)対応のハイエンドデスクトップPC向け製品で、一般的なデスクトップPCやノートPC向けの製品は2022年前半に発表される予定だ。前世代から大型化! デスクトップPC向け「第12世代Coreプロセッサ」外観レビュー
Intelが「Alder Lake」のコード名で開発を進めていた「第12世代Coreプロセッサ」が正式に発表された。第1弾はアンロック対応のハイエンドデスクトップPC向け製品だが、第11世代製品と比べると少し“大型化”している。ベンチマークレビューをする前に、まず外観をチェックしてみよう。Intel Arc A380搭載デスクトップPC「DAIV Z3-A380」の性能は? クリエイティブ系アプリは加速する?
マウスコンピューターのクリエイター向けPC「DAIV」シリーズに、Intel Arc A380を搭載したデスクトップPCが追加された。新GPUはクリエイティブ関連のアプリで有用なのか、そしてパフォーマンスはどうなのかを細かくチェックした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.