「ChatGPT」とは一味違ってさらに便利! Googleとの違いは? Microsoft Bingの「AI検索」を試して分かったこと:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/5 ページ)
Microsoftが2月7日(米国太平洋時間)、自社の検索エンジンとWebブラウザにOpenAIの「次世代大規模言語モデル」を実装することを発表した。ChatGPTとは何が違うのか、実際に使って検証してみよう。【更新】
新しいBingは「知らないこと」を自動検索できる
新しいBingに実装されるSydneyの最大の特徴は、「知らないこと」にも対応できるという点にある。
ChatGPTでは、2021年までに収集したインターネット上の情報を整理して学習させたAIモデルを使って運用されている。モデルのアップデートは不定期で行われてはいるものの(参考リンク)、2022年以降の情報は原則として持ち合わせていない。
以前のレビューでも触れたが、ChatGPTは間違った情報をすぐに正せず、自信満々に“誤情報”を答えてしまうこともある。AIには認知能力がないので、これはある意味で仕方がない。あくまでも「一番確からしい」答えに近づけることが精いっぱいという面もある。
しかし、未知の情報に対処できなかったり、平気でウソをついてしまったりしては“検索エンジン”として使えない。無理に使ったとしても、常に結果を疑ってかかる必要が生じる。検索結果の正誤をわざわざ調べるなんて、効率面を考えたら現実的とはいえない。
そこでMicrosoftは、Sydneyの開発に当たって「GPTの自然な対話能力」を生かしつつも「知らないことは随時自動で調べる」という機能を盛り込んでいる。具体的には、ユーザーが“明確な”情報を求めていると判断すると、ユーザーが求めているであろう情報のネット検索を自動で行い、見つけた複数の情報を要約した上で流ちょうな日本語で答えてくれる。参照するサイトは外国語(主に英語)のものも含まれており、日本語に翻訳したものを要約してくれる。
例として、「Apple M2 Maxを搭載するMacBook Proについて教えてください」と、ChatGPTと新しいBingにそれぞれ聞いてみよう。まず、ChatGPTに聞いてみると以下のような回答を得られる。
申し訳ありませんが、私は人工知能のChatGPTであり、製品の発表やリリース日程などの情報については直接的なアクセス権限を持っていません。ただし、AppleはMacBook Proのアップグレードを定期的に行っており、今後M2 Maxプロセッサーを搭載する可能性があります。
M2 Maxは、Appleが開発するアップルシリコンの1つであり、より高速な処理能力やバッテリー寿命の向上が期待されています。新しいM2 Maxプロセッサーを搭載したMacBook Proがリリースされた場合、これまでのモデルよりも高速で効率的な処理が期待できます。
AppleがMacBook Proの新しいバージョンをリリースするたびに、より高性能なプロセッサーや新しい機能を追加する傾向があります。したがって、Appleの公式ウェブサイトや関連するテクノロジーのニュースサイトを定期的に確認することをお勧めします。
見方によっては事実上の“ゼロ回答”である。「検索」の用をなさないことはよく分かる。情報を得るには、改めて検索サイトに頼らざるを得ない。
それに対して、新しいBing(Sydney)では、以下のように回答する(顔文字やリンク用の注釈は省いている)。
こんにちは、こちらはBingです。
Apple M2 Maxを搭載するMacBook Proについてですね。Appleは2023年1月17日に、M2 ProとM2 Maxを搭載した新型の14インチと16インチのMacBook Proを発表しました。M2 Maxは、M2 Proの能力を土台とし、最大38コアのGPU、2倍のユニファイドメモリ帯域幅、最大96GBのユニファイドメモリを実現しています。Appleによると、CPU性能はマルチコアで最大20%、GPU性能は30%向上しているとのことです。また、最も速いIntel搭載のMacBook Proより最大6倍速いパフォーマンスと最大96GBのユニファイドメモリへの対応を実現し、Mac史上最長のバッテリー駆動時間を備えています。これらの特徴は、プロフェッショナルなユーザーにとって魅力的なものと言えるでしょう。
可能な範囲でWeb上の情報を要約しつつ、しっかりと「検索」もしてくれている。
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