有機ELパネル専業メーカー「JOLED」が民事再生手続き ジャパンディスプレイの支援で技術開発に専念へ
ソニーとパナソニックの有機ELディスプレイの研究/開発部門を分離して発足した「JOLED」が民事再生手続きを開始した。研究開発部門は、かつての出資元であるジャパンディスプレイによる支援を受ける一方で、製造販売部門は事業終息する。
JOLED(ジェイオーレッド)は3月27日、東京地方裁判所に民事再生手続きの開始を申し立てたことを発表した。本件に伴い、同社は製品の製造/販売事業から撤退するが、技術開発事業についてはジャパンディスプレイ(JDI)の支援のもとで再建を図る見通しだ。
同社は、産業革新機構が2014年7月に設立した会社で、2015年1月にソニー(現ソニーグループ)とパナソニック(現パナソニックホールディングス)の有機ELディスプレイの研究/開発事業を継承した。本継承に当たり、両社とJDIも同社に出資を行っている(※1)。
発足後、同社は有機ELディスプレイの研究/開発を進める一方で、2019年11月には世界初となる印刷方式有機ELディスプレイの量産ラインを立ち上げるなど(※2)、製品の製造/販売にも注力するようになった。
(※1)現在はJDIとの資本関係はない
(※2)実際の量産は2021年3月から実施している
しかし、有機ELディスプレイの生産において想定以上の時間やコストを要したこと、世界的な半導体不足の影響を受けたこと、競争環境の変化などにより、収益の伸び悩みと資金流出が発生。法的手続きによらない経営再建を模索したものの、それが困難であると判断し、裁判所が関与する民事再生手続きを選択したという。
先述の通り、同社の技術開発部門は過去の出資元であるJDIがスポンサーとなって経営再建を行う予定となっている。今後、JDIはJOLEDに対するデューディリジェンス(資産や事業の精査)を実施した上で支援を正式決定することにしている。
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