レビュー

14型で700g切りのモバイルノート「LIFEBOOK UH-X/H1」を使うべき人は誰? ポイントは「軽さ」と「バッテリー」(3/3 ページ)

富士通クライアントコンピューティングの「LIFEBOOK UH-X/H1」は、約689gと14型ノートPCとしては世界最軽量を実現している。軽いからといって使い勝手に妥協をしていないことが魅力なのだが、それでも軽いがゆえに考慮しなければならないこともある。実際に使ってみた上で、どのようなユーザーにピッタリなのか考えていきたい。

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パフォーマンスは良好 バッテリー駆動時間に懸念

 ここまで、LIFEBOOK UH-X/H1の主な特徴を紹介してきたが、「実際、パフォーマンスはどうなの?」という点は気になる。そこで、幾つかのベンチマークテストを実行してみることにしたい。

 なお、Windows 11の電源設定は全て「バランス」としている。

CINEBENCH R23

 まず、CPUのパフォーマンスをチェックするために「CINEBENCH R23」を試してみた。このテストでは、AC電源駆動時とバッテリー駆動時でテストを行っている。結果は以下の通りだ。

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  • AC電源駆動時
    • マルチコア:5941ポイント
    • シングルコア:1603ポイント
  • バッテリー駆動時
    • マルチコア:4017ポイント
    • シングルコア:725ポイント

 AC電源駆動時は「これぞ第13世代Coreプロセッサ!」というスコアが出ているが、バッテリー駆動時は若干それが抑制される。とはいえ、Eコアの恩恵もあって、マルチコアスコアはそこそこ良好だ。


CINEBENCH R23の結果(左がAC電源駆動時、右がバッテリー駆動時)

PCMark 10

 PCの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」は、AC電源駆動時のスコアを計測した。結果は以下の通りである。

  • 総合:5349ポイント
  • Essentials(Webサーフィン、ビデオ会議など):1万126ポイント
  • Productivity(オフィススイート):7274ポイント
  • Digital Content Creation(写真/動画編集):5640ポイント

 パワフルなCPU(とGPU)を備えるゲーミングノートPCと比べるとスコアは低いかもしれないが、モバイルノートPCだと考えると良好である。第11世代Coreプロセッサを搭載するモバイルノートPCと比べて考えると、本当にいい時代になったと痛感する。


PCMark 10の結果

3DMark

 3Dグラフィックスのテストを行う「3DMark」では、Time Spy(DirectX 12ベース/2560×1440ピクセル描画)とFire Strike(DirectX 11ベース/1920×1080ピクセル描画)を試した。AC電源駆動時の総合スコアは以下の通りだ。

  • Time Spy:1567ポイント
  • Fire Strike:4225ポイント

 正直にいうと、筆者が想像していたよりも良いスコアである。やはりゲーミングノートPCと比べると「大したことはない」のかもしれないが、LIFEBOOK UH-X/H1はモバイルノートPC、しかも700gを切る重量である。それでも、これだけの性能が出るのであれば十分過ぎるだろう。


3DMark(Time Spy)のスコア

3DMark(Fire Strike)のスコア

CrystalDiskMark 8.0.4

 LIFEBOOK UH-X/H1は、PCI Express 4.0接続の512GB SSDを搭載している。レビューした個体には、Micron製の「MTFDKBA512TFK-1BC15ABFA」が搭載されていた。

 このSSDを「CrystalDiskMark 8.0.4」でベンチマークテストしてみた結果は以下の通りだ。

  • シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)
    • 読み込み:毎秒3583.06MB
    • 書き出し:毎秒3336.95MB
  • ランダム(RND4K Q32T1)
    • 読み込み:毎秒331.88MB
    • 書き出し:毎秒330.19MB

「CrystalDiskInfo」で確認したSSD情報

CrystalDiskMark 8.0.4の結果

バッテリー駆動時間

 先述の通り、LIFEBOOK UH-X/H1のバッテリー駆動時間は公称で最長約11時間となる。実際の所はどうなのか、PCMark 10のバッテリーベンチマークテスト(Modern Office)を試してみることにした。

 「炎天下で作業をする」という想定で、このテストではあえて画面輝度を100%(最大)としてテストを行った。残量100%から5%(強制休止)までの駆動時間は4時間25分となった。

 バッテリー容量の割にはよく頑張ったともいえる。しかし、大きめのバッテリーを備えるモデルと比べると、絶対的な駆動時間はどうしても少なくなってしまう。ここは「軽量化」とのトレードオフ要素といえる。


PCMark 10のバッテリーベンチマークテスト(Modern Office)の結果

「軽さ」を取るか「バッテリー」を取るか 悩ましい選択

 初代のLIFEBOOK UH-X/C3から、筆者はずっとLIFEBOOK UH-Xシリーズを見つめてきた。その歴史は、改善の歴史でもある。ボディーの世代が進化すると共に、明らかな欠点が解消されてきた

 そういう意味で、第3世代のボディーを得たLIFEBOOK UH-X/H1は、間違いなく今までで一番欠点の少ないUH-Xである。第2世代のボディーで課題だった「Webカメラ」と「ディスプレイの解像度」を着実にスペックアップしており、それでいて過去モデルの長所は極力引き継いでいるのは、素直にすごいと感じる。

 「とにかく軽いことが命!」という場合は、LIFEBOOK UH-X/H1は間違いなく最良の選択肢だろう。単に「軽量化しました!」というモデルとは違って、実用性は犠牲にしていない。

 ただ1つだけ、まだ解決できない問題がある。バッテリーだ。バッテリーは本体重量を左右する要素の1つである。そのため、LIFEBOOK UH-Xシリーズでは小容量バッテリーを選択している。容量が小さい分、どうしても駆動時間は少なくなってしまうのだ。

 その上で、「バッテリー容量(駆動時間)」あるいは「絶対的なパフォーマンスが欲しい」というのであれば、兄弟機のLIFEBOOK UH90/H1という選択肢もある。実売価格はUH-X/H1と同じく24万円程度で、重量は約858g(ピクトブラックモデルのみ約848g)と、こちらも十分に軽量だ。ただし、OSが「Windows 11 Home」となるので、ビジネス用途で使う場合は注意したい。

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