NVIDIAの測定デバイス「PCAT2」で最新GPUから旧モデルまで消費電力を測って分かったこと(前編):準備こそがクライマックス?(3/4 ページ)
グラフィックスカード(GPU)の消費電力をリアルタイムに測れる――NVIDIAがそんなデバイスを開発していることをご存じだろうか。今回、PCI Express 4.0に対応した第2世代製品を試す機会があったので、まずはその特徴とセットアップの過程を紹介しようと思う。
あえて“型落ち”の環境で計測してみる
さて、PCAT2のテストを当たって、筆者のメインPCで実験……する訳にも行かない。仕事で利用しているPCなので、あれやこれやと機材を入れ替えて不安定にすることは避けたいからだ。
そのため、自宅で余っている機材で「実験用PC」を構築して試すことにした。どういう構成にしようかと思案していたところ、約3年前に本誌に掲載した「お手軽ゲーミングPCの道」のために作った自作PCが眠っていることを思い出した。
- →PC版「ストV」を最高画質でストレスなく楽しめるモデルを5万円台で自作する方法――導入編
- →PC版「ストV」を最高画質でストレスなく楽しめるモデルを5万円台で自作する方法――パーツ選定編
- →5万円台スト5PCを作る――SSDとHDDで組むハイブリッドストレージ「StoreMI」(FuzeDrive)編
- →5万円台スト5PCを作る――ハイブリッドストレージ「FuzeDrive(StoreMI)」の性能チェック編
- →5万円台スト5PCを作る――テスト結果から見えてきた必要十分なパフォーマンス【ベンチマーク編】
当時、コスト最優先でパーツを見つくろった関係で、3年前の時点でも「型落ちパーツ」が大半を占めていたが、実験用としては悪くない。実験時点における主な仕様は以下の通りで、筆者の私物のパーツをいくつか組み込んだことで微妙にスペックが上がっている。
- CPU:Ryzen 7 1700X(3.4GHz~3.8GHz/8コア16スレッド)
- マザーボード:ASUS TUF B450M-PRO GAMING
- メモリ:DDR4-3200 32GB (GEIL EVO X 8GB×4)
- ストレージ:256GB NVMe SSD(シリコンパワー SP256GBP34A80M28)
- 電源ユニット:最大850W(Corsair HX850)
- PCケース:microATXケース(アイティーシー「舞黒透」)
5枚のグラフィックスカードの消費電力を比較
消費電力を測るグラフィックスカード(GPU)のラインアップは以下の通りだ。
- NVIDIA製
- GeForce GTX 1080
- GeForce RTX 4090
- AMD製
- Radeon RX Vega 64
- Radeon RX 5600 XT
- Radeon RX 6900 XT
今回の実験では、ベースのPCに装着していた「Radeon RX 570(グラフィックスメモリ4GB)」での計測を行っていない。その理由は後述する。
「ベンチ台」を用意した方がよかったか……
さて、PCAT2でグラフィックスカードの消費電力を計測するには、グラフィックスカードにライザーカードを挿して、さらにライザーカードをマザーボードに挿す必要がある。このことは、ライザーカードの高さ分だけ、グラフィックスカードがPCケースから“はみ出る”ことを意味する。
はみ出る高さは、ちょうどライザーカードの高さ分の3.5cmほどである。PCAT2のパッケージには、この「設置高が高くなってしまったグラフィックスカード」をネジ留めするための「かさ上げ用支持棒」も付属している。
ライザーカードを取り付けたグラフィックスカードをマザーボードに組み付け……ようとするのだが、一般的なPCケースだとケース側のフレームが邪魔となって固定が難しい。なので、可能であれば「ベンチ台」あるいは「まな板」とも呼ばれるオープン型のPCケースを用いるとうまく収まる。
ただ、当時の筆者宅には、実験に利用出来るのが「5万円台スト5PC」しかなかった。仕方ないので、ケースのフレームをプライヤーで“ひん曲げる”などして、ケースの開口部を拡大し、何とかライザーカードを挿した状態のグラフィックスカードを収めることができた。
ただし、この状態ではグラフィックスカードがケースから3.5cmほど突出するので、グラフィックスカードのブラケット部に実装されている映像出力端子の(HDMI端子/DisplayPort端子)の一部は、ケースのフレーム部に遮蔽(しゃへい)されるため使えなくなる。
仕方がないので、PCケースのフレームの外枠部をプライヤーでひん曲げて、開口部を拡張した。こうすることで、上方向に“浮き上がった”グラフィックスカードのブラケット部の干渉を回避できるだけのクリアランス(約3.5cm)を確保できた。
この状態で見事に“使えなく”なってしまったのが、今回テストを諦めたRadeon RX 570である。このカードにライザーカードを取り付け、マザーボードに装着すると、使える映像出力端子がDVI-D端子だけになってしまう。
筆者宅にはDVI-D入力に対応する映像デバイスがなく、DVI-HDMI変換アダプタ(ケーブル)の用意もなかった。ゆえに、泣く泣くテスト対象から外すこととなった。
ベンチ台を使えば、こうしたことも起きなかったのだが、仕方がないと諦めることにする。
若干苦労はしたが、いよいよ計測アプリを起動してみようと。
関連記事
PC版「ストV」を最高画質でストレスなく楽しめるモデルを5万円台で自作する方法――導入編
インテルが2020年に立ち上げるeSportsトーナメント「Intel World Open」。そのタイトルに採用された「ストリートファイターV」を満喫できるPCを作り、大会に打って出るまでの道のりをお届けする。2035年、ゲームグラフィックスは「オール・パストレーシング時代」へ――レイトレーシング技術の“先”を見つめる
レイトレーシング技術は、ゲームグラフィックスの世界に革命をもたらした……のだが、GPUの性能的にはまだ“完璧”とは言いがたい面もある。いつになったら完璧になるのか――2035年にその瞬間が訪れるという説がある。どういうことなのか、解説していく。NVIDIAがゲームにおける“遅延の少なさ”の重要性を説くイベントを開催 実際にプレイしてグラフィックスカードを当てよう!
NVIDIAが、同社の低遅延技術「NVIDIA Reflex」をアピールするオンラインイベントを開催する。参加者の中から抽選で2人に日本未発売の「GeForece RTX 3080 Ti Founders Edition」がプレゼントされる……のだが、そもそもなぜ“低遅延”を強くアピールするのだろうか?ネイティブ超えの新DLSSを追加――NVIDIAが「GeForce Experience」をアップデート Radeonでも使える超解像技術も公開
NVIDIAが、GeForceシリーズ用のコンパニオンソフトウェア「GeForce Experience」の最新版を公開した。GTXシリーズでも使える新たな超解像技術を搭載した他、RTXの超解像技術「DLSS」も最新版にアップデートされる。加えて、Radeonなど他社GPUでも利用できる超解像技術をオープンソースSDKとして公開した。「Radeon RX 7700 XT/7800 XT」はGeForce RTX 4060 Ti/4070を超える? 動画のエンコは早い? 実機を試して分かったこと
AMDの「Radeon RX 7700 XT」「Radeon RX 7800 XT」を搭載するグラフィックスカードが、9月8日11日に発売される。WQHDゲーミングに最適化されたという両GPUは、どれほどの実力を持っているのだろうか。実際に試してみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.