「Adobe MAX Japan」──4年ぶりのリアル開催、3600人のクリエイターが集結 LINEヤフーとの協業、その狙いは(1/2 ページ)
アドビ常務執行役員兼CMO(最高マーケティング責任者)の里村明洋氏によれば、狙いはずばり「アドビがリーチできていないソーシャルクリエイターや、ビジネスコミュニケーターへのアプローチ」だという。
アドビは11月16日、クリエイター向けの年次イベント「Adobe MAX Japan 2023」(東京ビッグサイト)を開催した。ここ数年はオンラインでの開催が中心で、リアル会場での大規模な実施は2019年以来4年ぶりとなる当日は約3600人が来場した。
基調講演のホストを務めたのは、アドビ デザインおよび新興製品担当 エグゼクティブバイスプレジデント兼CSO(最高戦略責任者)のスコット・ベルスキー氏だ。「生成AIがかつてない、大きな変革をもたらしている」と話し、生成AI「Adobe Firefly」を使って、すでに35億を超えるイメージが作られていると紹介した。
一方でクリエイティブコンテンツに対する需要も「過去2年で2倍になっている」という。さらに今後2年で需要は5倍まで増えるとして、「よりリッチでパーソナライズされたコンテンツへの要求を満たすために、クリエイターの業務は増えていく」と予測する。
「プロとして仕事をする上では、とにかく効率を上げなければいけない。スピード感を持って、アジャイルで高精度なビジョンを実現するために、生成AIを活用が不可欠になる」と説明した。
Adobe Fireflyは、フォトレタッチツールの「Adobe Photoshop」、デザインツールの「Adobe Illustrator」、無料のクラウドデザインツール「Adobe Express」といった製品に、既に機能として組み込まれている。
ベルスキー氏は「Fireflyはプロンプトを投入して、生成されたところで行き詰まってしまうようなAIモデルではない」と説明する。「クリエイターが日々行っているワークフローの中にAIを提供している」と、他の生成AIとの違いを強調した。
アドビは「Firefly Image Model」「Firefly Vector Model」「Firefly Design Model」という3つのAIモデルを提供している。このうちImage Modelの「Adobe Firefly Image 2 Model」は、「Adobe Firefly」のWebサイトでβ版として提供されてきたが、この日βが取れて広く使えるようになったことが発表された。
「Adobe Firefly Image 2 Model」では、参照画像に近いスタイルで生成できる「生成Match」や、プロンプトの入力を支援する「プロンプト候補」機能、絞りや視野角などを設定できる「写真設定」どの機能が利用できる。
特に「こんな感じ」という画像を、自分でアップロードすることもできる「生成Match」は、スタイルをそろえた複数の画像を生成したいといった場面で便利に使える。
基調講演では「Adobe Firefly」を中心に、既にリリース済みの「Adobe Creative Cloud」各製品のアップデートがデモンストレーションを交えて詳しく紹介された他、開発中の機能として「Project Stardust」についても紹介された。
これは10月に米ロサンゼルスで開催された「Adobe MAX 2023」にて、開発中の技術をチラ見せする「Sneaks」で取り上げられたもの。写真内のあらゆるものをオブジェクトとして認識し、ドラッグ&ドロップで動かす、削除する、足りない部分を生成するといったことが簡単な操作でできる。今回のイベントでは「Sneaks」ではなく基調講演の中で紹介されたことから実装が近いのではないかと期待も膨らむが、果たしてどうか。
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