「Adobe MAX Japan」──4年ぶりのリアル開催、3600人のクリエイターが集結 LINEヤフーとの協業、その狙いは(2/2 ページ)
アドビ常務執行役員兼CMO(最高マーケティング責任者)の里村明洋氏によれば、狙いはずばり「アドビがリーチできていないソーシャルクリエイターや、ビジネスコミュニケーターへのアプローチ」だという。
基調講演では日本独自の発表もいくつか行われた。1つは10月に協業を発表した、LINEヤフーとの具体的な取り組みについてだ。
基調講演後に別途行われた記者説明会には、LINEヤフー 上級執行役員 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCPOの二木祥平氏も参加。2024年2月をめどに、LINEの広告制作ツールである「LINE Creative Lab」と「Adobe Express」を、相互連携することが明らかにされた。LINEのプラットフォームから簡単に「Adobe Express」を開くことができ、豊富な専用テンプレートを使ってコンテンツを作成・編集した上で、LINEのプラットフォームに戻して配信できる。
アドビ常務執行役員兼CMO(最高マーケティング責任者)の里村明洋氏によれば、狙いはずばり「アドビがリーチできていないソーシャルクリエイターや、ビジネスコミュニケーターへのアプローチ」だという。LINEヤフーには「LINEスタンプ」や短尺動画の「LINE VOOM」など多様なサービスがあり、各サービスに多くのクリエイターがいる。
そのクリエイティブを支援するために「アドビの持つ、Adobe Firefly、Adobe Express、蓄積された事例やノウハウを提供したい」という。今回のツール連携を第一歩とし、来春以降にはさらにクリエイター向けのセミナーやコンテストの共催なども計画しているとのこと。また同様に提携が発表されていたnoteからも、note上で「Adobe Express」を使用し、見出し画像が作成できる機能が発表されている。
記者説明会に登壇し、提携の握手を交わすアドビ常務執行役員兼CMO(最高マーケティング責任者)の里村明洋氏(左)と、LINEヤフー 上級執行役員 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCPOの二木祥平氏(右)
もう1つの発表は「Adobe Fonts」の新しい書体「貂明朝体アンチック」と、文字コレクション「Adobe-Manga1-0」だ。
チーフタイプデザイナーの西塚涼子氏によれば、アンチックは一般にまんがのせりふに適した書体で、かなは明朝、漢字はゴシックとなっているのが特徴だ。「貂明朝体アンチック」では、まんが特有の擬音を文字で表現できるように、かなには全文字濁点や半濁点がつけられるようになっている他、複数の疑問符や感嘆符を簡単に入力できたり、長い音引きをバランスよく表示できたりする工夫もされている。なお「Adobe Fonts」はCreative Cloud製品のユーザーなら無料で利用可能で、2万以上の豊富なフォントコレクションを活用できる。
この他の会場では、本の小口部分に3D印刷を行う本邦初公開の技術「Project 3D Edge Printing」の展示も行われた。
アドビ本社の研究部門が手掛けているもので、微妙に長さが異なる紙の凹凸と、細やかな印刷制御で立体視を実現する。またイベントの最後に行われた「Sneaks」でも、初公開の技術として「Project Sound Lift」が紹介された。
これは動画の音声から話し声や音楽、拍手、環境音などを簡単な操作で切り分けられるというもの。切り出した一部の音だけを小さくしたり、大きくしたり、エフェクトを加えることもできる。あくまでも開発中の技術だが、会場からは早く実装して欲しいといった声が挙がっていた。
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