16型の大画面で約1.23kgを実現! Ryzen 7 7840U搭載で持ち歩ける「Acer Swift Edge 16」を試す(3/3 ページ)
日本エイサーの「Acer Swift Edge 16」の最新モデルは、AMDの「Ryzen 7040Uシリーズ」を搭載しつつも、約1.23kgという超軽量設計であることが特徴だ。AIプロセッサ「Ryzen AI」を統合したAPUを搭載する上位モデルをレビューする機会を得たので、その実力をチェックしてみよう。
ベンチマークテストでパフォーマンスをチェック!
ここからは、ベンチマークテストを通してSwift Edge 16(Ryzen 7 7540U/512GB SSDモデル)のパフォーマンスをチェックしていく。なお、今回は全てのテストにおいて電源設定をOS標準設定の「最適なパフォーマンス」で行っている。
CINEBENCH R23
まず、3Dレンダリングを通してCPUのパフォーマンスをチェックする「CINEBENCH R23」を実行した。10分間のうちに可能な限りテストを繰り返す設定を有効とした上で、最後に実行されたテストの結果は以下の通りである。
- マルチコア:1万1769 ポイント
- シングルコア:1717 ポイント(MPレシオ:6.85倍)
Webサイトにアップロードされている各種テスト結果と比べると、Ryzen 7 7840U搭載PCの平均的なスコアより少し低めだが、ノートPCとしては十分高いパフォーマンスを発揮できている。
PCMark 10
続いて、PCの総合ベンチマークテスト「PCMark 10」の結果を見ていこう。
- 総合:6974ポイント
- Essentials(アプリ計算、Web会議、Webブラウズ):1万331ポイント
- Productivity(表計算、ワープロ):1万584ポイント
- Digital Content Creation(写真/動画の編集やレンダリング):8323ポイント
こちらも、普段使いでは十分すぎるほどのスコアを記録している。特にEssentialsとProductivityのスコアは高いので、世間一般に言われる「オフィスワーク」は高いので、仕事での効率アップに期待できるだろう。
3DMark
Ryzen 7 7840Uは、RDNA 3アーキテクチャベースのGPU「Radeon 780M」を搭載している。ノートPC向けCPU(APU)に統合されたGPUとしては性能が高いとされるRadeon 780Mの実力を、3Dグラフィックスのベンチマークテスト「3DMark」でチェックしよう。
今回は、はDirectX 12ベースで高負荷の「Time Spy」、同APIベースで低負荷の「Night Raid」、DirectX 11ベースで高負荷の「Fire Strike」の3つのテストを実施した。結果は以下の通りだ。
- Night Raid:2万5304ポイント
- Fire Strike:6290ポイント
- Time Spy:2618ポイント
確かに、CPUに統合されたGPUとしてはスコアは高めだ。最近のポータブルゲーミングPCがRyzen 7040Uシリーズ(あるいはRyzen Z1シリーズ)を搭載する理由がよく分かる結果といえる。これだけのスコアが出れば、タイトルにもよるが720p(HD/1280×720ピクセル)あるいは1080p(フルHD/1920×1080ピクセル)の設定であれば、ある程度高画質な設定でもゲームを楽しめそうだ。
FF14/FF15ベンチマーク
実際のゲームベースのベンチマークテストである「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(FF14ベンチマーク)と、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(FF15ベンチマーク)も合わせて実行した。解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)のフルスクリーンで、結果は以下の通りだ。
- FF14ベンチマーク
- 標準品質(デスクトップPC):6987(やや快適)
- 高品質(デスクトップPC):5004(普通)
- 最高品質:4817(普通)
- FF15ベンチマーク
- 軽量品質:4438(普通)
- 標準品質:3372(普通)
- 高品質:2573(やや重い)
FF14ベンチマークでは標準品質(デスクトップPC)で「やや快適」、最高品質にしても「普通」という評価になった。より負荷の重いFF15ベンチマークでは、標準品質以下に落とすことで「普通」という評価となった。
超ハイスペックなGPUを求めるようなタイトル(あるいは画質設定)でなければ、十分に遊べる。内蔵GPUでもここまでできるようになったのは、素直にスゴいと思う。
CrystalDiskMark 8.0.4
今回のレビュー機には、SK hynix製のPCI Express 4.0対応SSD「HFS512GEJ9X125N」が搭載されている。そのパフォーマンスを「CrystalDiskMark 8.0.4」で確かめた。結果は以下の通りだ。
- シーケンシャル(連続)
- リード(SEQ1M Q8T1):毎秒7161.36MB
- ライト(SEQ1M Q8T1):毎秒5003.67MB
- リード(SEQ1M Q1T1):毎秒5280.05MB
- ライト(SEQ1M Q1T1):毎秒4615.03MB
- ランダム
- リード(RND4K Q32T1):毎秒351.49MB
- ライト(RND4K Q32T1):毎秒258.02MB
- ランダムリード(RND4K Q1T1):毎秒55.80MB
- ランダムライト(RND4K Q1T1):毎秒139.51MB
PCI Express 4.0接続ということもあって、読み書き共に十分な速度を確保できている。特に動画編集など、シーケンシャル性能が求められるシーンでは快適に使えそうだ。
バッテリー駆動時間はどう?
最後に、PCMark 10のバッテリーテストを使って、実利用環境に近い状況での連続稼働時間を計測した。シナリオは「Modern Office」を利用し、ディスプレイ輝度を40%にしてテストを行った。
バッテリーが100%(満充電)から5%になるまでの時間は「9時間25分」だった。高負荷な作業をしないのであれば、外部電源がなくても問題なく1日作業できるのは心強い。
「大画面で軽量」は大きな魅力 パフォーマンスもGood!
Acer Swift Edge 16は、16型と大型なディスプレイを搭載しているにも関わらず、薄型軽量ボディーを実現することで持ち運びが容易なことが何よりも魅力だ。有機ELパネルを採用することで、単に大画面であるだけでなく、高い品質と色再現性を実現しており、色味が重要なクリエイティブな作業でも実用的に使える。
性能に関しても、Ryzen 7 7840Uを搭載することで処理の重い作業やゲームプレイも快適にこなすことができる。Ryzen AIについては、活用できるアプリが現状では限られているが、Ryzen 8040シリーズのリリースに合わせてアプリ面での開発促進にも注力することのことなので、今後に期待したい。
性能面で妥協することなく、外出時にも効率的に作業をこなせる本機は、優れた“モバイル”ノートPCといえる。大画面を持ち歩きたいという人は、ぜひ導入を検討してみてほしい。
関連記事
エイサー、有機ELパネルを採用したRyzen搭載16型モバイルノート
日本エイサーは、モバイルRyzenプロセッサを採用した16型モバイルノートPC“Swift Edge”シリーズの新モデルを発表した。Microsoftが「Windows 11」の新機能を紹介 タスクバーから「新しいBing」へのアクセスが可能に iOS版「Phone Linkアプリ」のプレビューも
Microsoftが3月のセキュリティ更新で実装を予定している新機能を発表した。この記事では、主な新機能を紹介する。x86初のAIプロセッサ「Ryzen AI」は何がスゴイのかAMDが説明 市場投入第1弾は「Razer Blade 14」
AMDが、Ryzen 7040シリーズのハイエンドに当たる「Ryzen 7040HSシリーズ」の説明会を開催した。同シリーズは全モデルに「Ryzen AI」というAIプロセッサを搭載しているが、どのような特徴を持っているのだろうか。説明会の内容をもとに解説する。AMDがモバイル向け「Ryzen 8040シリーズ」をリリース Ryzen AIのパフォーマンスを改善(非対応モデルもあり)
AMDがモバイル向け「Ryzen 8040シリーズ」のラインアップを発表した。Ryzen 7040シリーズのマイナーチェンジ版だが、CPUコアとAIプロセッサの処理パフォーマンスを改善したことが特徴だ。エイサー、Core Ultra 7を搭載した薄型軽量の14型モバイルノート
日本エイサーは、最新のCore Ultra 7プロセッサを備えた14型モバイルノートPC「SFG14-72-F73Y/FE」を発売する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.